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11 調査結果
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異常な状況に困惑しているアダムスの前にあのとき調査に訪れた男が姿を現した。男は陛下にうやうやしく礼をした。
「これより、メアリ・キャシーに関する調査結果を御前に申し上げます」
え?
メアリの調査結果??
一体どういうことなんだ?
アダムスは痛くもない腹を探られるような嫌な気分になった。陛下が男を促すように静かにうなずいた。男は書簡を広げると、ろうろうと調査結果を読み上げ始めた。
- - - - - - - - - -
件名:平民メアリ・キャシーに関する調査報告
王国調査局より王侯貴族会議へ
○基本情報
調査対象:メアリ・キャシー
年齢:三十五歳
婚姻歴:三度の離婚歴あり
子女:一女を有す
- - - - - - - - - -
ここまで聞いてアダムスは耳を疑った。
メアリの年齢が35歳!?
メアリは僕に18歳だと言っていた。
離婚歴どころか、子供までいるなんて絶対に嘘に決まってる!
この報告書は間違っている!
アダムスは、か細い手を握りしめ視線を落としているメアリを思い浮かべた。
可哀想に、メアリ。
国の調査というのは事実を捻じ曲げてひどいもんだな。
僕だけが本当のメアリを知ってるんだ。
アダムスは心の中でメアリを励ました。男は続けて読み上げた。
- - - - - - - - - -
○生活態度
食欲旺盛にして常軌を逸す。
家の食糧庫を空にするほどの大喰らい。
言動に虚実多く、虚言癖ありと周囲に認識される。
これらの性質により家族・親族から疎まれ、三度の離婚に至る。
- - - - - - - - - -
「なんて失礼な!」
アダムスは思わず声を上げた。
あんなか弱い女性を大喰らいと呼ぶなんて!
これは国の横暴だ!
アダムスはまた今にも泣きそうな顔をしているメアリを思い浮かべた。
メアリというのはこんなにいたいけな女性なんだ。
男が守ってやらないといけないんだ。
冷血なエバンジェリンとは大違いなんだ。
アダムスはこのときまだメアリを信じていた。男は続けてさらなる驚愕の事実を読み上げて行った。
- - - - - - - - - -
○メアリに関する証言
エバンジェリン様からアダムス宛の手紙を全て奪い隠していた可能性あり。
エバンジェリン様からアダムス宛に贈られた梨、10ケースを全て独り占めにし平らげた可能性あり。
エバンジェリン様からアダムス宛に贈られたお守りを勝手に盗んだ可能性あり。
- - - - - - - - - -
は?
は?
手紙?
エバンジェリンから?
は?
一通ももらっていなかったぞ?
メアリが隠してた?
梨も、お守りも?
僕のメアリがそんなことするはずがないじゃないか!!
デタラメ書きやがって!!
アダムスは怒りではらわたが煮えくり返りそうだった。
- - - - - - - - - -
○総括
以上の事実を総合するに、メアリは容姿の若さに惑わされることなく、慎重に取り扱うべき人物と認められる。
その行状は家計を傾け、人心を乱す恐れあり。
- - - - - - - - - -
「本件調査の結果をここに記録し、王侯貴族会議の審理に付す。以上」
男は書簡を丸め退室した。
王妃様が陛下に何か耳打ちした。貴族たちが眉をひそめ、ヒソヒソと話し合っている。暗くうつむいているエバンジェリンの背中にオースト侯爵が励ますように手を添えていた。
こんな報告書、絶対に嘘っぱちだ!
メアリ大丈夫だよ。
僕は最後までメアリの味方だ。
アダムスは調査員の男が去るまでその背中を睨みつけていた。
「ではメアリを呼べ」
陛下が号令した。
「これより、メアリ・キャシーに関する調査結果を御前に申し上げます」
え?
メアリの調査結果??
一体どういうことなんだ?
アダムスは痛くもない腹を探られるような嫌な気分になった。陛下が男を促すように静かにうなずいた。男は書簡を広げると、ろうろうと調査結果を読み上げ始めた。
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件名:平民メアリ・キャシーに関する調査報告
王国調査局より王侯貴族会議へ
○基本情報
調査対象:メアリ・キャシー
年齢:三十五歳
婚姻歴:三度の離婚歴あり
子女:一女を有す
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ここまで聞いてアダムスは耳を疑った。
メアリの年齢が35歳!?
メアリは僕に18歳だと言っていた。
離婚歴どころか、子供までいるなんて絶対に嘘に決まってる!
この報告書は間違っている!
アダムスは、か細い手を握りしめ視線を落としているメアリを思い浮かべた。
可哀想に、メアリ。
国の調査というのは事実を捻じ曲げてひどいもんだな。
僕だけが本当のメアリを知ってるんだ。
アダムスは心の中でメアリを励ました。男は続けて読み上げた。
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○生活態度
食欲旺盛にして常軌を逸す。
家の食糧庫を空にするほどの大喰らい。
言動に虚実多く、虚言癖ありと周囲に認識される。
これらの性質により家族・親族から疎まれ、三度の離婚に至る。
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「なんて失礼な!」
アダムスは思わず声を上げた。
あんなか弱い女性を大喰らいと呼ぶなんて!
これは国の横暴だ!
アダムスはまた今にも泣きそうな顔をしているメアリを思い浮かべた。
メアリというのはこんなにいたいけな女性なんだ。
男が守ってやらないといけないんだ。
冷血なエバンジェリンとは大違いなんだ。
アダムスはこのときまだメアリを信じていた。男は続けてさらなる驚愕の事実を読み上げて行った。
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○メアリに関する証言
エバンジェリン様からアダムス宛の手紙を全て奪い隠していた可能性あり。
エバンジェリン様からアダムス宛に贈られた梨、10ケースを全て独り占めにし平らげた可能性あり。
エバンジェリン様からアダムス宛に贈られたお守りを勝手に盗んだ可能性あり。
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は?
は?
手紙?
エバンジェリンから?
は?
一通ももらっていなかったぞ?
メアリが隠してた?
梨も、お守りも?
僕のメアリがそんなことするはずがないじゃないか!!
デタラメ書きやがって!!
アダムスは怒りではらわたが煮えくり返りそうだった。
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○総括
以上の事実を総合するに、メアリは容姿の若さに惑わされることなく、慎重に取り扱うべき人物と認められる。
その行状は家計を傾け、人心を乱す恐れあり。
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「本件調査の結果をここに記録し、王侯貴族会議の審理に付す。以上」
男は書簡を丸め退室した。
王妃様が陛下に何か耳打ちした。貴族たちが眉をひそめ、ヒソヒソと話し合っている。暗くうつむいているエバンジェリンの背中にオースト侯爵が励ますように手を添えていた。
こんな報告書、絶対に嘘っぱちだ!
メアリ大丈夫だよ。
僕は最後までメアリの味方だ。
アダムスは調査員の男が去るまでその背中を睨みつけていた。
「ではメアリを呼べ」
陛下が号令した。
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