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24 メアリが会いにきた
メアリがアダムスを訪ねてきた。アダムスはメアリに会うことに乗り気でなかったが結婚を約束してしまった手前仕方なく会うことにした。
殺人未遂の嫌疑までかけられているメアリには監視の兵がつけられていた。遠巻きにこちらを見ている兵が二人見えた。アダムスはメアリと会っていることがエバンジェリンに伝わらないかヒヤヒヤしながらメアリを迎えた。
「メアリ手短にね。父上に見つかったら厄介だから」
「私は潔白です。アダムス様は当然私を最後まで信じてくださいますよね?」
目を潤ませ上目遣いでメアリがアダムスに訴えかけた。いや無理だと内心呟きながらもアダムスははっきり拒絶する勇気がなかった。
「う……あ、ん、もちろん信じたいよ、君を。けど、あの調査結果や証人は──」
「嬉しい!アダムス様!」
アダムスが最後まで話し終えないうちにメアリが抱きついてきた。抱きつかれた瞬間脳裏を掠めたのはエバンジェリンの顔だった。
う……
エバンジェリンとは違う……
アダムスはメアリの匂いに嫌悪感を感じた。
「そうそう、エリラに注文していたウエディングドレスが昨日届いたんです!この審議が終わったらはれて私たちは結婚できますわ」
メアリがはしゃいだように言った。
「エ!エリラ!??」
アダムスは仰天した。その名に聞き覚えがあった。確かエリラと言えば国一番の高級仕立て屋で王侯貴族の御用達の店だった。
「まさかメアリ、あ、あのエリラに注文したのか!?」
泡を食ったようなアダムスを不思議そうにメアリは見上げた。
「ええ、もちろん。貴族のアダムス様が婚礼衣装代も持ってくださいますよね?」
アダムスはめまいを覚えた。普段着のドレスでさえ数十万リルもする超高級店だ。ウエディングドレスなどになればその何倍になるか……
「メ、メアリ……何か買う時は事前に僕に相談してくれないと」
メアリははっとして謝った。
「ごめんなさい、アダムス様。そうすべきでした。では申し上げますわ。王室御用達のラグラン製のベッドや家具一式、王室御用達のウェッザ製食器一式にそれと──」
「もういい!やめてくれ、聞きたくない!!」
アダムスはメアリを突き飛ばした。
「どうされたんですの?」
メアリはきょとんとしている。
「僕を脅かしてるのか!?そもそも資金源もないのにそんなに注文できるはずないだろう!?」
アダムスがメアリを責めるとメアリはあっけらかんとこう答えた。
「アダムス様の婚約相手であるエバンジェリン様の名前を出したら、どんな高額なものも注文できましたわよ?」
「えっ」
メアリはエバンジェリンからアダムスを奪い取ったのにエバンジェリンの名前を利用して高額商品を買っていた。
どうかしてる。
アダムスは恐ろしくなって追い払うようにメアリを家に帰した。すると間もなく別の訪問者がやってきた。
「旦那様っ!アダムス様っ!」
玄関で対応した執事が蒼白になって居間にいるアダムスと男爵の元に転がるように走ってきた。
「どうした、そんなに慌てて。私は疲れているんだ」
げんなりとした顔の男爵に執事が紙の束を差し出した。
「請求書です!!!全て目が飛び出るほどの高額の!!!」
「ええっ!!」
男爵が奪い取るように請求書に目を通すとそこには高額な買い物のリストがずらりと羅列されていた。
首都の一等地にある新居(プール付き)
金細工を施した最上級グレードの馬車
ダイヤの婚礼アクセサリー一式
南部の農地100万ヘクタール
北海の大型船での漁業権
最高ランクの黒毛牛10万頭
元王家のシェフグループをスカウト済み(30年契約)
その他さきほどメアリが言っていたウエディングドレスや高級家具、食器の名前も記されていた。
「そ、総額、100億リラ──!!!???」
男爵は泡を吹いて卒倒した。
「旦那様!!」
「父上っ!!」
執事と一緒に父を抱き起こしながらアダムスは奈落の底に突き落とされていく気分だった。
まさかこんなことになるなんて──!!
アダムスは気付くのが遅かった。メアリはとんでもない女だった。
殺人未遂の嫌疑までかけられているメアリには監視の兵がつけられていた。遠巻きにこちらを見ている兵が二人見えた。アダムスはメアリと会っていることがエバンジェリンに伝わらないかヒヤヒヤしながらメアリを迎えた。
「メアリ手短にね。父上に見つかったら厄介だから」
「私は潔白です。アダムス様は当然私を最後まで信じてくださいますよね?」
目を潤ませ上目遣いでメアリがアダムスに訴えかけた。いや無理だと内心呟きながらもアダムスははっきり拒絶する勇気がなかった。
「う……あ、ん、もちろん信じたいよ、君を。けど、あの調査結果や証人は──」
「嬉しい!アダムス様!」
アダムスが最後まで話し終えないうちにメアリが抱きついてきた。抱きつかれた瞬間脳裏を掠めたのはエバンジェリンの顔だった。
う……
エバンジェリンとは違う……
アダムスはメアリの匂いに嫌悪感を感じた。
「そうそう、エリラに注文していたウエディングドレスが昨日届いたんです!この審議が終わったらはれて私たちは結婚できますわ」
メアリがはしゃいだように言った。
「エ!エリラ!??」
アダムスは仰天した。その名に聞き覚えがあった。確かエリラと言えば国一番の高級仕立て屋で王侯貴族の御用達の店だった。
「まさかメアリ、あ、あのエリラに注文したのか!?」
泡を食ったようなアダムスを不思議そうにメアリは見上げた。
「ええ、もちろん。貴族のアダムス様が婚礼衣装代も持ってくださいますよね?」
アダムスはめまいを覚えた。普段着のドレスでさえ数十万リルもする超高級店だ。ウエディングドレスなどになればその何倍になるか……
「メ、メアリ……何か買う時は事前に僕に相談してくれないと」
メアリははっとして謝った。
「ごめんなさい、アダムス様。そうすべきでした。では申し上げますわ。王室御用達のラグラン製のベッドや家具一式、王室御用達のウェッザ製食器一式にそれと──」
「もういい!やめてくれ、聞きたくない!!」
アダムスはメアリを突き飛ばした。
「どうされたんですの?」
メアリはきょとんとしている。
「僕を脅かしてるのか!?そもそも資金源もないのにそんなに注文できるはずないだろう!?」
アダムスがメアリを責めるとメアリはあっけらかんとこう答えた。
「アダムス様の婚約相手であるエバンジェリン様の名前を出したら、どんな高額なものも注文できましたわよ?」
「えっ」
メアリはエバンジェリンからアダムスを奪い取ったのにエバンジェリンの名前を利用して高額商品を買っていた。
どうかしてる。
アダムスは恐ろしくなって追い払うようにメアリを家に帰した。すると間もなく別の訪問者がやってきた。
「旦那様っ!アダムス様っ!」
玄関で対応した執事が蒼白になって居間にいるアダムスと男爵の元に転がるように走ってきた。
「どうした、そんなに慌てて。私は疲れているんだ」
げんなりとした顔の男爵に執事が紙の束を差し出した。
「請求書です!!!全て目が飛び出るほどの高額の!!!」
「ええっ!!」
男爵が奪い取るように請求書に目を通すとそこには高額な買い物のリストがずらりと羅列されていた。
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「そ、総額、100億リラ──!!!???」
男爵は泡を吹いて卒倒した。
「旦那様!!」
「父上っ!!」
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