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21 狩場の森
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「一緒に行きたい場所がある。来てくれるかい?」
ある晴れた朝、ユークリッドはローザリアを外出に誘った。
「陛下、どこへ?」
付き従っていたレオが訝しんで尋ねると、ユークリッドは「例の場所だ」と短く答えた。
今日は先王と先王妃が亡くなってちょうど半年だ。レオは嫌な予感がした。
もしかして、この娘をあそこに連れて行かれる気か──?
レオの予感は的中した。馬車を降り向かった先は、先王と先王妃が熊に襲われ亡くなった狩場の森だった。
森の入り口にユークリッドはたたずみ、森の奥をしばらく眺めていた。ローザリアはユークリッドの意図を図りかね、下を向き口をつぐんでいた。
「半年前、父上と母上がこの森で亡くなったんだ。熊に襲われて」
寂しげなユークリッドの声に、ローザリアははじめて顔を上げた。暗い森を見つめるユークリッドの横顔に深い悲しみが漂っていた。突然の無惨な死だ。どんなにつらいことか。
「それは……悲しい、つらい」
絞り出したようなローザリアのいたわりの言葉で、ユークリッドはふと、はにかんだ。
「ありがとう。倒れた君を見つけたのもこの森なんだよ。君がいると、さみしさが少しやわらぐ気がするんだ」
レオはユークリッドの表情を見て、心が凍りつく感覚がした。
ここは私と陛下だけの場所だったはずなのに──よりによってこの娘を連れてくるなんて。
時折ユークリッドは亡き両親を偲び、レオだけを連れてここを訪れることがあった。レオにとっても特別な場所だった。
しかも──
レオは、ユークリッドが”さみしい”といった気持ちを吐露した姿を初めて見た。国を守るため両親の事故直後に王位を継いで以来、レオにさえ弱みを吐くことはなかったのに。
陛下にとってこの娘はそんなにも特別なのか?
レオの胸は苦々しい思いで締め付けられた。
ある晴れた朝、ユークリッドはローザリアを外出に誘った。
「陛下、どこへ?」
付き従っていたレオが訝しんで尋ねると、ユークリッドは「例の場所だ」と短く答えた。
今日は先王と先王妃が亡くなってちょうど半年だ。レオは嫌な予感がした。
もしかして、この娘をあそこに連れて行かれる気か──?
レオの予感は的中した。馬車を降り向かった先は、先王と先王妃が熊に襲われ亡くなった狩場の森だった。
森の入り口にユークリッドはたたずみ、森の奥をしばらく眺めていた。ローザリアはユークリッドの意図を図りかね、下を向き口をつぐんでいた。
「半年前、父上と母上がこの森で亡くなったんだ。熊に襲われて」
寂しげなユークリッドの声に、ローザリアははじめて顔を上げた。暗い森を見つめるユークリッドの横顔に深い悲しみが漂っていた。突然の無惨な死だ。どんなにつらいことか。
「それは……悲しい、つらい」
絞り出したようなローザリアのいたわりの言葉で、ユークリッドはふと、はにかんだ。
「ありがとう。倒れた君を見つけたのもこの森なんだよ。君がいると、さみしさが少しやわらぐ気がするんだ」
レオはユークリッドの表情を見て、心が凍りつく感覚がした。
ここは私と陛下だけの場所だったはずなのに──よりによってこの娘を連れてくるなんて。
時折ユークリッドは亡き両親を偲び、レオだけを連れてここを訪れることがあった。レオにとっても特別な場所だった。
しかも──
レオは、ユークリッドが”さみしい”といった気持ちを吐露した姿を初めて見た。国を守るため両親の事故直後に王位を継いで以来、レオにさえ弱みを吐くことはなかったのに。
陛下にとってこの娘はそんなにも特別なのか?
レオの胸は苦々しい思いで締め付けられた。
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