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20 復讐
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ドット伯爵は美しい母に夢中になった。
「僕を養子にするよう伯爵に頼んでほしい」
可能性を見出した私はさらに力を手に入れるため母に入れ知恵をした。周囲の反対もあったらしいが愛妾のたっての頼みをドット伯爵は断れなかった。
はれて伯爵の子息となった私は成人すると王宮で執務補佐の仕事につき働き始めた。
仕事に慣れるにつれ、王宮の者たちの多くが庶民の苦しみも理解せずのうのうと生きていることに、私は徐々に腹が立っていった。
無能なくせにいばり散らす上司。国民から吸い上げた税を自分達の無駄な贅沢に費やす貴族たち。
王都で流行病が横行し薬が買えない貧しい人々が次々と死んでいっても、貴族や役人の怠慢で王のもとまで報告があがっていかない。
業を煮やした私が不正をネタに大物貴族を脅し王に進言させてようやく対策がとられることになった。
私は普通のやり方では物事を動かすことができないと悟り、上司や貴族たちの弱みを握りながら着実に出世していった。
その間さらわれた子どもたちを配下の者に探させたが、取り戻せたのは男の子1人だけだった。
可哀想にその子は幼い頃から奴隷として重労働を課されていた。救い出した時は背中の骨が曲がり、体中鞭打ちの傷だらけだった。長年の過労がたたり、看病の甲斐なく数ヶ月後に命を落とした。
ささやかな幸せを踏みにじられ、やっと見つけた同胞は悲惨な奴隷生活のすえ亡くなった。私はますます怒りを募らせていった。
そもそも私の村の悲劇はこの国が厳しく盗賊を取り締まらなかったせいだ。
ルクセン王は善良そうにみえるが、貴族や役人の無責任さを見破れないのなら、王も同罪だ。
数年が経った。母は祖国再興の夢を叶えられないままあっけなく病死した。
ルクセン王国を滅ぼしてやる。
クシュマトハ王国を滅ぼした子孫が作ったこの国を。
母を失った悲しみと故郷を蹂躙された憎しみはいびつに歪んでいき、私はルクセン王を殺すことばかり考えるようになった。
王と王妃が連れ立って趣味の狩猟に森を訪れた機会を私は逃さなかった。
その頃すでに宰相に就任していた私は、裏の者たちを使って森に凶暴な熊を放つよう指示した。事前に人の血の味を覚えさせた数頭の熊に数日餌を与えないままにしておいた。
そしてお腹をすかせた熊たちは、鉄柵から解放されると目に入る人間めがけ狂ったように襲いかかった。
兵士が王と王妃を守ろうとしたが凶暴な熊たちの前では無力だった。王と王妃はまんまと熊に噛まれ命を落とした。
はは。
ははは!
残りは一人息子のユークリッドだけだ。
温室育ちの経験のあさい若造は私の敵ではない。
私の悲願はもうすぐ成就するだろう。
そう思っていたが思わぬ障害が私に立ち塞がった。
あの怪しい娘、ローザリアだ。
なぜだろう。
あの娘には色々と腹が立つが、同時に気になって仕方がない。
その理由をその時の私はまだ知る由もなかった。
「僕を養子にするよう伯爵に頼んでほしい」
可能性を見出した私はさらに力を手に入れるため母に入れ知恵をした。周囲の反対もあったらしいが愛妾のたっての頼みをドット伯爵は断れなかった。
はれて伯爵の子息となった私は成人すると王宮で執務補佐の仕事につき働き始めた。
仕事に慣れるにつれ、王宮の者たちの多くが庶民の苦しみも理解せずのうのうと生きていることに、私は徐々に腹が立っていった。
無能なくせにいばり散らす上司。国民から吸い上げた税を自分達の無駄な贅沢に費やす貴族たち。
王都で流行病が横行し薬が買えない貧しい人々が次々と死んでいっても、貴族や役人の怠慢で王のもとまで報告があがっていかない。
業を煮やした私が不正をネタに大物貴族を脅し王に進言させてようやく対策がとられることになった。
私は普通のやり方では物事を動かすことができないと悟り、上司や貴族たちの弱みを握りながら着実に出世していった。
その間さらわれた子どもたちを配下の者に探させたが、取り戻せたのは男の子1人だけだった。
可哀想にその子は幼い頃から奴隷として重労働を課されていた。救い出した時は背中の骨が曲がり、体中鞭打ちの傷だらけだった。長年の過労がたたり、看病の甲斐なく数ヶ月後に命を落とした。
ささやかな幸せを踏みにじられ、やっと見つけた同胞は悲惨な奴隷生活のすえ亡くなった。私はますます怒りを募らせていった。
そもそも私の村の悲劇はこの国が厳しく盗賊を取り締まらなかったせいだ。
ルクセン王は善良そうにみえるが、貴族や役人の無責任さを見破れないのなら、王も同罪だ。
数年が経った。母は祖国再興の夢を叶えられないままあっけなく病死した。
ルクセン王国を滅ぼしてやる。
クシュマトハ王国を滅ぼした子孫が作ったこの国を。
母を失った悲しみと故郷を蹂躙された憎しみはいびつに歪んでいき、私はルクセン王を殺すことばかり考えるようになった。
王と王妃が連れ立って趣味の狩猟に森を訪れた機会を私は逃さなかった。
その頃すでに宰相に就任していた私は、裏の者たちを使って森に凶暴な熊を放つよう指示した。事前に人の血の味を覚えさせた数頭の熊に数日餌を与えないままにしておいた。
そしてお腹をすかせた熊たちは、鉄柵から解放されると目に入る人間めがけ狂ったように襲いかかった。
兵士が王と王妃を守ろうとしたが凶暴な熊たちの前では無力だった。王と王妃はまんまと熊に噛まれ命を落とした。
はは。
ははは!
残りは一人息子のユークリッドだけだ。
温室育ちの経験のあさい若造は私の敵ではない。
私の悲願はもうすぐ成就するだろう。
そう思っていたが思わぬ障害が私に立ち塞がった。
あの怪しい娘、ローザリアだ。
なぜだろう。
あの娘には色々と腹が立つが、同時に気になって仕方がない。
その理由をその時の私はまだ知る由もなかった。
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