72 / 84
72 レオアンデッド
しおりを挟む
よだれで濡れた牙を剥き、レオがローザリアを視界にとらえた。
「レオ、その体…!」
黒い皮膚。死人のように澱んだ目。長く伸びた爪と牙。
レオはアンデッドになっていた。
ローザリアはショックで口を覆った。自分を睨む憎しみの目にただならぬ殺気を感じる。
「お前!!」
ネイブがレオの忌まわしい変体に気づき、ローザリアを庇うように前に出た。
ダン…ッ!!
瞬時にネイブはレオアンデッドの爪で隠し部屋の壁に叩きつけられた。
「ぐ…!」
頭から血を流し、ネイブはそれでもローザリアを守ろうと床を這おうとしている。
「やめて!!」
ローザリアが命じるように叫ぶが、レオアンデッドの動きは止まらなかった。
命令が効かない…!
「オ前、殺ス、憎イ、殺ス」
呪文のように私怨を吐きながら、レオアンデッドはローザリアに飛びかかった。
ローザリアは手に霊力を込めようとするも間に合わない。
ガギン!
刀の残像が光る。レオアンデッドの爪を、すんでのところで一之進が刀で受け止めた。
「一之進…!」
「聖女様、無事か!?」
一之進のわずかな隙をレオアンデッドは見逃さなかった。もう一方の爪を力任せに振り下ろす。
ザムッ!
一之進は一歩も引かず、和音刀で斬り込んだ。
ごろんとレオアンデッドの腕が床に転がる。右腕が肩からまるごと切り落とされていた。
レオアンデッドは激痛で顔を歪ませた。神前で清めた和音刀がレオアンデッドにかなりのダメージを与えたようだった。
一之進が手強いと感じたのか、レオアンデッドは隠し部屋から飛ぶように逃げ去っていった。ほっと胸を撫でおろしたローザリアが一之進を見て青ざめた。
「く…」
右手で握っていた刀を取り落とし、一之進はよろめいた。右腕から血が滴っている。レオアンデッドの爪に切り裂かれた傷だった。
一之進がいなくなる──
ぐらり、とローザリアはどん底に突き落とされるような暗いめまいを覚えた。このままでは一之進がアンデッドになってしまうかもしれない。
ローザリアは急いで一之進の腕に手を当て、自分の霊力を送り込んだ。だが、いくら霊力を送っても傷付近に紫色の血管が根のように広がり始め、止まる気配がなかった。
「レオ、その体…!」
黒い皮膚。死人のように澱んだ目。長く伸びた爪と牙。
レオはアンデッドになっていた。
ローザリアはショックで口を覆った。自分を睨む憎しみの目にただならぬ殺気を感じる。
「お前!!」
ネイブがレオの忌まわしい変体に気づき、ローザリアを庇うように前に出た。
ダン…ッ!!
瞬時にネイブはレオアンデッドの爪で隠し部屋の壁に叩きつけられた。
「ぐ…!」
頭から血を流し、ネイブはそれでもローザリアを守ろうと床を這おうとしている。
「やめて!!」
ローザリアが命じるように叫ぶが、レオアンデッドの動きは止まらなかった。
命令が効かない…!
「オ前、殺ス、憎イ、殺ス」
呪文のように私怨を吐きながら、レオアンデッドはローザリアに飛びかかった。
ローザリアは手に霊力を込めようとするも間に合わない。
ガギン!
刀の残像が光る。レオアンデッドの爪を、すんでのところで一之進が刀で受け止めた。
「一之進…!」
「聖女様、無事か!?」
一之進のわずかな隙をレオアンデッドは見逃さなかった。もう一方の爪を力任せに振り下ろす。
ザムッ!
一之進は一歩も引かず、和音刀で斬り込んだ。
ごろんとレオアンデッドの腕が床に転がる。右腕が肩からまるごと切り落とされていた。
レオアンデッドは激痛で顔を歪ませた。神前で清めた和音刀がレオアンデッドにかなりのダメージを与えたようだった。
一之進が手強いと感じたのか、レオアンデッドは隠し部屋から飛ぶように逃げ去っていった。ほっと胸を撫でおろしたローザリアが一之進を見て青ざめた。
「く…」
右手で握っていた刀を取り落とし、一之進はよろめいた。右腕から血が滴っている。レオアンデッドの爪に切り裂かれた傷だった。
一之進がいなくなる──
ぐらり、とローザリアはどん底に突き落とされるような暗いめまいを覚えた。このままでは一之進がアンデッドになってしまうかもしれない。
ローザリアは急いで一之進の腕に手を当て、自分の霊力を送り込んだ。だが、いくら霊力を送っても傷付近に紫色の血管が根のように広がり始め、止まる気配がなかった。
12
あなたにおすすめの小説
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています
h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。
自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。
しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━?
「おかえりなさいませ、皇太子殿下」
「は? 皇太子? 誰が?」
「俺と婚約してほしいんだが」
「はい?」
なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる