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12 葬儀
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長年の王室への貢献度から、クアンタ家当主の葬儀は本来なら王家に次ぐ国葬によって行われるはずだった。
しかし、殺害され放火で焼けこげた遺体はすぐに火葬するしかなく、事件の深刻さから、葬儀も最小限の者たちだけで行われた。
資産家だったクアンタ本家には国内に親戚がいたが、一家惨殺という悲惨な事件であったことと、実印によって犯人がかなりの額の借金をクアンタ名義でしていたため、本家を継ぐと名乗り出る者は皆無だった。
これにより名門クアンタ本家はシアラが生存していない限り断絶が決定していた。
王都の教会の祭壇には、あふれんばかりの花が添えられた。
祭壇に棺はなく、シアラの家族の骨壷が並べられている。
デニスの骨壷は子ども用で小さく天使が描かれており、その切ない情景は、ことさら参列者の涙を誘った。
温厚で誰かが困っていたら快く手を差し伸べて来たクアンタ家を慕う人々が、数日途切れない列をなした。
少年姿のシアラは、教会の中には入らず、遠くから葬儀の様子を見守っていた。
その目から涙がいく筋も流れた。
土葬され棺の中でゆっくりと土に還っていくことで天国への階段が準備される。
火で焼かれた者は天国へは行けない。
この国ではそう信じられていた。
お父様、お母様、デニス、ミヤ。
彼らの魂は、無念を抱え、まだこの世を彷徨っているのだろうか。
そうであるのなら。
見てて。
きっと仇を取るから。
シアラは誓った。
その目に暗い炎を灯して。
陛下の代理で、王太子とレイモンドも葬儀に参列していた。
レイモンドは自分とジョゼフィーヌの指示で命を奪ったクアンタ家の人々の骨壷を前にし、さすがにいい気分はしなかった。
早くここを去りたい。
そればかりを考えていた。
そういえば、カノンも葬儀に参列すると言っていた。
どこかにいるのか?
レイモンドはカノンの姿を参列者の中からちらちらと探したが、見つけることはできなかった。
カノンに会えず、残念な気がした。
シアラの縁者だと言ってはいたが、いずれこの国から去る少年だぞ?
もう忘れろ。
自分にそう言い聞かせて馬車に乗った時、御者の目を盗んで、カノンが素早く馬車に乗り込んできた。
「あ!」
「し~~」
カノンは細い指をかわいい唇にあてた。
カノンに扮しているシアラは、神術でお供の兵たちの足首にツタを巻き付かせ、気を逸らせたのだ。
母がすでになく、後ろ盾の薄いレイモンドには、お付きの数も少なかった。
ぱたんと馬車の扉を閉めて、カノンがレイモンドの隣に座った。
「来てたのか」
レイモンドは思わず顔をほころばせた。
「用事もすんだし、お兄さん、僕と遊ばない?」
第二王子に向かってお兄さんとは無礼な態度だと叱るところだが、カノンのことは不思議と許せた。
まあいい。
外国から来たと言っていたから、私が第二王子だとよくわかっていないんだろう。
昨日、念の為、レイモンドは文官に”カノン・クアンタ”という人物が異国にいるかどうかを調べさせていた。
大陸中の国の戸籍を調べられる王立法務院に問い合わせたところ、遠く西方のパル王国の侯爵家令息に、確かにカノン・クアンタという人物がいると判明した。
これは、ディオの魔術で王立法務局の戸籍の記録を書き加えてもらったものだったが、レイモンドを信じさせるには十分だった。
「このあと予定もないし、仕方ないから遊んでやる」
レイモンドは気の重い葬儀からやっと解放されたので、カノンの提案に賛同した。
しかし、殺害され放火で焼けこげた遺体はすぐに火葬するしかなく、事件の深刻さから、葬儀も最小限の者たちだけで行われた。
資産家だったクアンタ本家には国内に親戚がいたが、一家惨殺という悲惨な事件であったことと、実印によって犯人がかなりの額の借金をクアンタ名義でしていたため、本家を継ぐと名乗り出る者は皆無だった。
これにより名門クアンタ本家はシアラが生存していない限り断絶が決定していた。
王都の教会の祭壇には、あふれんばかりの花が添えられた。
祭壇に棺はなく、シアラの家族の骨壷が並べられている。
デニスの骨壷は子ども用で小さく天使が描かれており、その切ない情景は、ことさら参列者の涙を誘った。
温厚で誰かが困っていたら快く手を差し伸べて来たクアンタ家を慕う人々が、数日途切れない列をなした。
少年姿のシアラは、教会の中には入らず、遠くから葬儀の様子を見守っていた。
その目から涙がいく筋も流れた。
土葬され棺の中でゆっくりと土に還っていくことで天国への階段が準備される。
火で焼かれた者は天国へは行けない。
この国ではそう信じられていた。
お父様、お母様、デニス、ミヤ。
彼らの魂は、無念を抱え、まだこの世を彷徨っているのだろうか。
そうであるのなら。
見てて。
きっと仇を取るから。
シアラは誓った。
その目に暗い炎を灯して。
陛下の代理で、王太子とレイモンドも葬儀に参列していた。
レイモンドは自分とジョゼフィーヌの指示で命を奪ったクアンタ家の人々の骨壷を前にし、さすがにいい気分はしなかった。
早くここを去りたい。
そればかりを考えていた。
そういえば、カノンも葬儀に参列すると言っていた。
どこかにいるのか?
レイモンドはカノンの姿を参列者の中からちらちらと探したが、見つけることはできなかった。
カノンに会えず、残念な気がした。
シアラの縁者だと言ってはいたが、いずれこの国から去る少年だぞ?
もう忘れろ。
自分にそう言い聞かせて馬車に乗った時、御者の目を盗んで、カノンが素早く馬車に乗り込んできた。
「あ!」
「し~~」
カノンは細い指をかわいい唇にあてた。
カノンに扮しているシアラは、神術でお供の兵たちの足首にツタを巻き付かせ、気を逸らせたのだ。
母がすでになく、後ろ盾の薄いレイモンドには、お付きの数も少なかった。
ぱたんと馬車の扉を閉めて、カノンがレイモンドの隣に座った。
「来てたのか」
レイモンドは思わず顔をほころばせた。
「用事もすんだし、お兄さん、僕と遊ばない?」
第二王子に向かってお兄さんとは無礼な態度だと叱るところだが、カノンのことは不思議と許せた。
まあいい。
外国から来たと言っていたから、私が第二王子だとよくわかっていないんだろう。
昨日、念の為、レイモンドは文官に”カノン・クアンタ”という人物が異国にいるかどうかを調べさせていた。
大陸中の国の戸籍を調べられる王立法務院に問い合わせたところ、遠く西方のパル王国の侯爵家令息に、確かにカノン・クアンタという人物がいると判明した。
これは、ディオの魔術で王立法務局の戸籍の記録を書き加えてもらったものだったが、レイモンドを信じさせるには十分だった。
「このあと予定もないし、仕方ないから遊んでやる」
レイモンドは気の重い葬儀からやっと解放されたので、カノンの提案に賛同した。
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