星典 魔の章

カズミ

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優美の章

予兆

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「それで、例のものは見つかった?」
「まだ。けどこの程度ならすぐ見つかる。それより面白いものが大量にあるよ、この船。」
そんな会話をしている二人だが、周囲には気を失ったモノたちが散乱していた。
「ほらこれ、照準に入れた人の匂いを採点する望遠鏡、面白そうでしょ?」
「まんまり、というか何でそんなものがきになるの?」
「自分の匂いって人からどう感じられているか、気にならない?私は気になる。」
「はあ、わかった。それなら途中でその望遠鏡を見つけたら使ってみましょう。」
そうして道中、寄り道をしながら進む二人。妨害もあるものの一切気にせず押し通る。やがて、監視室のような場所に辿り着く。
「ここに情報があるのよね?」
「多分ね、取り敢えず手分けして探そう。」
しばらく探す二人、しかし目当てのものは見つからなかったようだ。
「見つからないわね。」
「仕方ない、古典的な方法にはなるけれど探知魔法で探す。」
「できるの?」
「特定の文字に反応する探知をすれば…。ほら、見つかった。」
そうしてとある一枚の書類を手に取る。そこには目的のものの情報が書いてあった。
「どうやら一種の暗示みたいだ。ほらここ、私でもこれを読まなきゃ気づかなかった。」
「相当な魔術ね、流石は知恵の眷属と言ったところかしら。」
そう言って、魔術を行使して壁を消す。すると、そこには扉があった。そして扉を通り抜けるとそこには輝く珠があった。
「本当、すごい力よね。これ一つで大陸は愚か世界を滅ぼすことができるんですもの。」
そう言ってそれを手に取る。
「それじゃあ、例の器は?」
「はいこれ、どっちか決めて。」
そういうと、魔術で何かを呼び出す。そして、その場に二人の男女が現れる。共通する銀髪と魔力の質。決して関係がないとは言えないほどによく似ている。そうして二人を見つめて少し考えた結果、
「こっちにするわ。」
と答える。
「了解、それじゃあこっちは回収しとく。」
そうしてその場から青年が消える。残った少女に近寄ると、そっと彼女の頬を撫でる。
「彼女、どのくらい覚えているの?」
「さあ、でもあなたのことくらいは覚えてるんじゃない?」
そうして、少女の胸に世界すら滅ぼせる宝珠を押し付ける。そして、それは徐々に押し込まれて…。
「さあ、お目覚めの時間よ。」
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