ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

文字の大きさ
3 / 340
第1章 出会い編

第3話「ようこそ!地獄の底へ?」

しおりを挟む
ギフトモールの地下駐車場



守里: えーっと確か46番だったよな。



駐車場内をうろつきつつ、目的地を探す。



守里: ここら辺のはずなんだけど…ん?



前方に異様な雰囲気を放つ車がある。



守里: いやいや、あれなわけないよな笑



もう一度手紙に書いてある番号を確認してみる。



守里: ふん、46番。



再び視線を前方に向ける。



守里: え、あの黒いリムジンが止まってる所が目的地かよ…近づきたくすらないのに…



渋々、守里はそのリムジンに向かって歩みを進め、リムジンの前に立つ。

リムジンの窓はスモークになっていて、中が見えない。



守里: いや、まだ父さんが来てないだけかもしれないしな。



そう言いつつ、スマホを確認すると、14時になっている。


あの几帳面な父さんが時間に遅れるってことはないと思うんだけど…

誰にでも想定外のことは起こるからな。気長に待とう。


そんな風に守里が思っていると…


ガチャ


後ろのリムジンの扉が開く。



守里: え…



守里が後ろを振り向くと、そこには黒いスーツを着て、黒のサングラスをかけた男が立っていた。



??1: 坊ちゃん、お待ちしておりました。どうぞお乗り下さい。



そう言って、スーツの男はドアを開けた。



守里: いや、あの…人違いです。



??1: いえ、お父上の方から坊ちゃんを乗せて来るようにと言われておりますので。ニコッ



守里: は、はぁ…



父さんが来るわけじゃないのかよ、ってか…



守里: 怖…



??1: …



スーツの男が扉を開けたまま、笑顔でこちらを見てくる。


いや怖い怖い怖い怖い…

これは乗らないとヤバいやつかも。



守里: 分かりました~ニコッ



こちらも負けじと笑顔で返す。



守里: し、失礼します。



??1: どうぞ。



守里は勇気を振り絞って、黒のリムジンに乗り込んだ。



守里: うわ、座り心地が良すぎる…



緊張しつつも、座席の座り心地に驚く。


するとスーツの男が電話をかけ始めた。


ピ



??1 T: 坊ちゃんを車に乗せた。そっちはどうだ、駐車場に怪しいヤツはいないか。



いや、誘拐犯かよ。

やっぱり乗らない方が良かったか。



??1 T: 分かった。すぐに戻って来い。



ピ


もう1人誰か来るのか。

そうなると、とうとう逃げられなくなるぞ。

??1がこちらを振り返る。



??1: 坊ちゃん、もうすぐで出発しますんで、もう少々お待ちくださいね。ニコッ



守里: は、は、はい。分かりました。



怖っ!この人の笑顔やっぱ怖っ!


逃げたい気持ちを抑えたまま、数分待っていると…


ガチャ



??2: お待たせ、兄貴。



黒いスーツを着て、サングラスをかけた男が運転席に乗ってきた。



??1: おい!遅いぞ。坊ちゃんをお待たせするんじゃない。


??2: すいません。坊ちゃん。


守里: い、いえ~お構いなく~


最初の人の方が偉いのか。

にしても2人とも黒ずくめとは趣味が悪い…

某ハンターかよ。



??1: では坊ちゃん、出発しますんで。


守里: は、はい。


??2: 安全運転で行くっすよ。



どこに連れていかれるんだろ。

どうか父さんのところであってくれ。


守里が自身の無事を願い、俯いている間に、車は駐車場を出る。


ちなみにその間の会話はない。

一応逃走することも考えて、外を見ておこう。


そのまま車は、守里が住む町を越して、隣町の方へ進んで行った。


いや、どこまで行くのよ。

もうここら辺は土地勘があんまりないから、逃げきれないわ。

さよなら皆さん。今までありがとうございました。


守里が感謝を述べている時、古びたビルの地下駐車場に、車が入った。


また地下かよ。


車が止まり、??1が外に出る。


ガチャ



??2: あと半分っすよ、坊ちゃん。


守里: はい…



まだ半分なのかよ。

どこまで行くんだ…


外に出た??1が駐車場の壁をノックする。


何をやってるんだ?


すると壁がスライドし、黒のスーツにサングラスをかけた男が出てきた。


はい、3人目の黒スーツが現れました!!

しかも忍者屋敷かよ!ここは!!



??1: ボソボソ



え?なんか言ってる…ルート?


??1の暗号を聞くと、黒スーツは頷き、壁の向こう側に戻って、??1も車に戻ってきた。


一体何が起こるんだ。


ゴゴゴゴゴコ


へ?


目の前の壁が開いた。



??2: さっ行くっすよ。



守里を乗せた車はそこの中に入っていった。


はぁ、もう何が何だか分からないよ。

さらに地下の方に行くのか…

僕が行くのは地獄の底かな笑




またしばらくして、車が止まった。


ずっと地下を進んでいたため、もうここがどこかは分からない。


??1が再び外に出て、守里の横のドアを開ける。


ガチャ



??1: さっ坊ちゃん、降りて下さい。もうすぐで、お父上とお会いできますよ。


守里: は、はい。降ります。


守里は恐る恐るリムジンから降り、??2も降りる。



??2: さぁ行きましょっか。



??1と??2が守里を挟む形で進んでいく。


はぁ…

本当に父さんに会えるのだろうか。



お、あれはエレベーターか。


前方にエレベーターが見える。



??1: 坊ちゃん、乗って下さい。



守里は言われるとおりに、エレベーターに乗り込む。


??1は2と6を同時に押した。


え?どういうこと?

また新たに数字が追加された。

▽?…数字ですらないじゃないか。


そのボタンが押され、エレベーターはさらに下に進む。


また下かよ~~~


チーン



??1: こっちです。



??1について行くと、重厚な扉が見える。



??2: とうとうお父上との対面っすよ。ここからは1人でお願いするっす。


守里: え、はい。



ここから1人か…

この扉の先には何があるんだ。


そう思いつつ、守里は扉を押し開いた。


ギギギギギ


扉を開き、前方を見た守里の視界に入ったのは、高級そうな椅子に座った男だった。



??: よっ!!久しぶりだな!守里。元気にしてたか?


守里: 父さん!!



目の前にいたのは、守里の父親である"設楽景信したら かげのぶ"だった。



景信: いやーほんとに久々だな。中3の春の引越しの時以来か。最近どうだ?


守里: 楽しく過ごしてるよ、日向子や飛香、春時と一緒に。


景信: 相変わらず、日向子ちゃん達と仲良しそうで安心だ。



景信は笑顔で、暖かい視線を守里に向ける。



守里: ってか、色々と聞きたいことがあるんだけど。


景信: お、なんだ。せっかく会えたんだから、答えてやるよ。


守里: じゃあ、まずはここはどこなの?、いきなり黒いリムジンに乗せられて、1時間ぐらい走って来て…


景信: ハッハッハ、それはすまなかったな。でも、ここがどこかはちょっと答えられないな。


守里: えーいまさっき答えるって言ったじゃん。


景信: いや、その質問に答えることはできないんだが、俺が今からお前に伝えることを聞いたら、理由が分かると思うぞ。


守里: じゃあ、それを聞かせてよ。


景信: 分かった。ただし、これを聞いたら、これまで通りの生活は出来なくなるぞ。


守里: え、そんな話を自分の息子に聞かせようとしてるの?


景信: まぁな。でもお前が聞きたくないって言っても、聞いてもらうから。


守里: じゃあ選択肢ないじゃん。


景信: そうだな。俺も出来れば、お前にこのことを伝えたくはなかったんだが。


守里: うん。


景信: 伝えなければならなくなった。



そう言って、景信は守里の目をじっと見る。

その目を見て、守里は…



守里: 分かった。聞くよ。


景信: そう言ってくれて良かった。では話そう。



どんな話をされるんだろう…



景信: まずは、俺は"防衛団ぼうえいだん"というグループの団長をしている。



ぼ、ぼうえいだん?



守里: は?、頭でも打ったの?


景信: まぁまぁ、これからちゃんと説明するから聞いてなさい。



ということで、父さんは話を再開した。


僕は初っ端のインパクトが強くて、若干ぼーっとしてたけど、なんとか話は理解した。

ざっと父さんの話をまとめると、こんな感じだ。


防衛団というのは、僕の住む町を中心とした"伊衛能いえの"と呼ばれる地域の治安の悪化を防ぐグループであり、警察とも協力関係にあると。

僕の住む町周辺に、反社会組織や、暴走族がいないのは防衛団のおかげみたいで、防衛団の団員が各地で見張り、外敵の侵入と内部での反社会的組織の発生を裏で未然に防いでいるとのことだ。



守里: へ~父さんはそんなグループの頭を張っているのか。


景信: 凄いだろ~で、お前のさっきの質問に関することなんだが、防衛団は今、これまでに類を見ないような、大きな勢力に攻撃されている。


守里: これまでと同じように、防ぐことは出来ないの?


景信: それが、相手は中々構成員も多く、資金も潤沢にあるようで、中々難しくてな。4年前に1度、構成員の侵入を許してしまったんだ。当時は今のように防衛団のシステムが上手く働いていなかったからな。


守里: 4年前…


景信: その時以来、内側から防衛網を乱されたりして、中々危険な状態なんだよ。その内側にいる構成員も見つけることができなくてね。


守里: なるほど、それで団長が殺られるわけにいかないから、父さんは身を隠しているのか。


景信: そういうことだ。今、どこか分からない場所でこうやって話しているのも、敵勢力に俺の居場所が知られることを防ぐためだ。


守里: それで、僕にその話をしたわけは?別に、これまで通りで良かったんじゃない?


景信: それはな…お前が防衛団の次期団長だからだ。


守里: え?




to be continued
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

チャビューヘ
ファンタジー
いいね、ブックマークで応援いつもありがとうございます! ある日突然、クラス全員が異世界に召喚された。 この世界では「職業ガチャ」で与えられた職業がすべてを決める。勇者、魔法使い、騎士――次々と強職を引き当てるクラスメイトたち。だが俺、蒼井拓海が引いたのは「情報分析官」。幼馴染の白石美咲は「清掃員」。 戦闘力ゼロ。 「お前らは足手まといだ」「誰もお荷物を抱えたくない」 親友にすら見捨てられ、パーティ編成から弾かれた俺たちは、たった二人で最低難易度ダンジョンに挑むしかなかった。案の定、モンスターに追われ、逃げ惑い――挙句、偶然遭遇したクラスメイトには囮として利用された。 「感謝するぜ、囮として」 嘲笑と共に去っていく彼ら。絶望の中、俺たちは偶然ダンジョンの最深部へ転落する。 そこで出会ったのは、銀髪の美少女ダンジョン主・リリア。 「あなたたち……私のダンジョンで働かない?」 情報分析でダンジョン構造を最適化し、清掃で魔力循環を改善する。気づけば生産効率は30%向上し、俺たちは魔王軍の特別顧問にまで成り上がっていた。 かつて俺たちを見下したクラスメイトたちは、ダンジョン攻略で消耗し、苦しんでいる。 見ろ、これが「外れ職」の本当の力だ――逆転と成り上がり、そして痛快なざまぁ劇が、今始まる。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!

風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。 185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク! ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。 そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、 チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、 さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて―― 「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」 オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、 †黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!

まほカン

jukaito
ファンタジー
ごく普通の女子中学生だった結城かなみはある日両親から借金を押し付けられた黒服の男にさらわれてしまう。一億もの借金を返済するためにかなみが選ばされた道は、魔法少女となって会社で働いていくことだった。 今日もかなみは愛と正義と借金の天使、魔法少女カナミとなって悪の秘密結社と戦うのであった!新感覚マジカルアクションノベル! ※基本1話完結なのでアニメを見る感覚で読めると思います。

処理中です...