ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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閑章2

第116話「雰囲気のギャップ」

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??: あら、こんなところで、奇遇ですね。


守里: え?



図書館で時間を潰していた守里は、突然、隣から話しかけられる。



??: お久しぶり?です。森崎君。


守里: あ、天羽先輩!!



なんと、守里の隣に立っていたのは、能高図書委員長の天羽絢音であった。



天羽: 図書館では、お静かにですよ笑


守里: あ、あぁすいません。



驚いて、大きな声を上げてしまった守里を、笑いながら注意する天羽。



天羽: まさか、森崎君と図書館で会うとは思ってませんでした。


守里: は、はい…僕もです。



なんか、意外な人とここで会ってるよな、最近。


いや、天羽先輩は図書委員長なんだから、意外でもないか。

ん?志帆も別に意外ではない…


ってことは、僕がいることの方が、客観的に見たら意外なことなんだ。


こんな感じで、守里が新たな真実に辿り着き、自分でそれに納得していると…



天羽: それは…へぇ…森崎君も、そういうの読むんですね。


守里: あ、いや、これは…


天羽: 森崎君は漫画とか、推理小説とかが好きなのかな、って思ってました。



めちゃくちゃ当たってる。



守里: 笑、天羽先輩の読み通りですよ。この本は本当に偶然、目に入って、手に取ってみただけなんです。


天羽: そうなんですか。


守里: はい笑



そう言って、手に持っていた本を、本棚に戻す。



天羽: …その本、じっくりと読んでみたらどうですか?


守里: この本をですか?


天羽: はい。そうやって、ポンって気になった本は、意外と今の自分に必要な本だったりするんです。


守里: は、はぁ…


天羽: だから、ぜひ読んでください。



天羽は守里の目を見て言う。



守里: 分かりました。読んでみます笑


天羽: はい笑



守里は本棚に戻そうとしていた本を再び、自身の手の中に戻す。



守里: 天羽先輩も読書をしに?


天羽: そうですね。先日借りた本を返却するついでに、新しく借りる本を探そうかと。


守里: へぇ。


天羽: 森崎君はどうなんです?


守里: 僕は、家にいても暇だったので、適当に歩いてきて、図書館にふらっと入ってきたって感じです笑


天羽: なるほど…普段はその、推理小説を読むんですよね?


守里: はい、たまにですけど。


天羽: では、私おすすめの推理小説を紹介しましょうか?


守里: え?良いんですか?!



あの天羽先輩がおすすめする本なんて、すごい興味が湧く!



天羽: 私は、自分が好きな本の、他人の感想を聞いてみたいんです。


守里: ぜひ、紹介してください!


天羽: 笑、では、こちらへ。



そう言って、天羽は推理小説のあるエリアへ向かい、一冊の本を守里に手渡す。



天羽: これです。


守里: 「新しい世界」ですか…面白そうですね。


天羽: これから読む時間あります?


守里: 今が…



携帯で時間を確認する。



守里: …問題ないです。


天羽: じゃあ、先に読書スペースに行って、読んでいてください。


守里: え、ちょ…



天羽は3階への階段を登って行った。

そんな天羽の背中を、呆然と見つめる守里。


イメージとしては、上品で落ち着いていてクール系かと思ってたけど…

思ったより強引な人だな笑


守里は天羽のギャップに驚きつつも、2冊の本を持って1階の読書スペースの席につく。


まぁ、天羽先輩の言う通り、読んどこう。


そうして守里は、天羽から受け取った推理小説を読み始める。




数十分後…



守里: …


天羽: お待たせしました。


守里: っ!、天羽先輩…って。



天羽の目の前に積まれている本の数に驚く。



天羽: 集中していましたね。引き続き読んでください。


守里: …分かりました。



守里は再び本の世界に集中する。


その横で…



天羽: …



ものすごい速度で、本を読み進める天羽。




2時間後…



守里: ふぅ…


天羽: あ、読み終わりましたか?


守里: はい、めちゃくちゃ面白かったです。


天羽: 良かった笑、あの主人公の…



その後、守里と天羽による感想トークが繰り広げられる。



天羽: ぜひ、他の子にも、この本をおすすめしてください笑


守里: 了解です笑。飛香にでも勧めます。


天羽: 山室さんですか。あの子も本読むの好きですよね。


守里: はい、昔から読書家です。


天羽: そうなんですか…ちなみに祐希ちゃんは昔から変わらないんですか?


守里: あぁ…すみません、そうです。



図書委員として活動中の祐希の姿を想像して、申し訳なくなった守里は、天羽に謝る。



天羽: 笑、別に構いませんよ。仕事は終わらせてくれますし、私達の癒しになってますから。あの子の寝姿は。


守里: それなら良かったです笑


天羽: 森崎君も、たまには図書室に遊びに来てくださいね笑


守里: はい笑


天羽: では、私はそろそろ帰らないといけない時間なので、帰ります。


守里: え?その本は…



守里が本を読み始めた時と変わらず、机の上に積み上がっていた本を指す。



天羽: この本達ですか?全部読み終わりましたよ。


守里: っ!!



嘘だろ…

読むの早すぎだろ。


たった2時間で、某ゲームの中に入っちゃった系墳墓の主の小説並の厚さの本を10冊近く…


これが、図書委員長の力…



天羽: じゃあ、また学校で。



そう言って、机の上に置かれた本を持って、席を立つ。



守里: は、はい。また。


天羽: 笑…あ…



守里の前から去ろうとした天羽の足が止まる。



守里: ?


天羽: ところで、森崎君は…学校は好きですか?



突然、天羽が守里に質問を投げかける。



守里: え?ま、まぁ好きですけど。


天羽: なら良かったです笑



そう言って、天羽は笑みを浮かべながら、守里の目の前から去っていった。


最後の質問はどういうことだったんだろう。

学校が好きですか?…か。


なんか前に、なぁちゃんに似たような質問をされたな。


天羽先輩は何を知りたかったんだ?


う~ん…

分からない…


よし、切り替えよう!


天羽先輩はかなり不思議な人っぽいから、何を考えているか推測しようとするのは無謀だろうし。


そろそろ時間も…


守里は携帯を確認する。



守里: …いや、不在着信多すぎ…



通知OFFにしていた守里の携帯には、たったの2時間で10件を超える不在着信が来ていた。



守里: さすがにもう帰らないと、美月に何されるか分かったもんじゃないな。



って今頃、美月は起きたのか?

3時だぞ…


まぁいいや。

帰ろ。


守里は2冊の本を持って席を立つ。



守里: この本、結局読まなかったな。借りてもいいんだけど…返しに来るの面倒だし、いっか。



こうして、守里は本を元の場所に返して、図書館を後にした。


◇◇◇◇


守里の家


ガチャ



守里: ただいま…



図書館を出て約1時間後に帰宅した守里が、玄関の扉を開けた先には…



美月: ムーーーー



めちやくちゃ怒っている美月が、仁王立ちしていた。



守里: 美月、おはよう。


美月: なんで置いていったの!!!


守里: 美月が寝てたっぽいから?


美月: 起こしてくれればよかったのに!


守里: いや、美月にはしっかり休んで欲しかったからさ。最近忙しかったし。



その言葉を聞き、美月の顔が赤くなり始める。



美月: そ、そうやって私を気遣ってくれるのは嬉しいけど、みぃは守里と一緒にいるのが、1番良いの///!!!



美月は顔を真っ赤にしてそう叫ぶ。



守里: そ、そっか笑



ん?…みぃ?

あれ、今美月、自分のこと、みぃって呼んだ?



美月: 今度からは、私を起こして一緒に行って。


守里: う、うん。



今のは美月だったな…


一応、聞いてみるか…



守里: あのさ、美月。


美月: どうしたの?



通常の顔色に戻りつつあった美月に、守里は意を決して聞く。



守里: さっき、自分のこと「みぃ」って呼んだよね?


美月: っ!!!!!///////////



美月の顔が再び真っ赤に染まる。



美月: そ、そそそ、そんなことないもん!/////


守里: いや、確かに言った。


美月: 絶対に言ってない!!/////


守里: 言った笑



守里は美月の様子を面白がりつつ、詰め始める。



美月: 言ってない!!/////


守里: 言った。


美月: 言ってないって!!/////プイ



美月が赤面したまま、守里から顔を背け、リビングの方に歩き出す。



守里: 笑、絶対言った~



すぐに守里は靴を脱ぎ、美月の前に回り込んで、無理やり美月の顔を見る。



美月: んもう!!////言ってないって言ったら言ってないの!!!これ以上言うと、奈々未さんに言いつけるよ!!


守里: あ、それは勘弁。美月は言ってないです。



奈々未というワードを聞き、一瞬で美月の意見に肯定する守里。



美月: よろしい!!


守里: 笑、はいはい。



これは、後々確かめるべき案件だ笑


そう守里は心に決めた。




to be continued

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