ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第5章 夏休み編

第168話「秘密の共有者」

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梅澤の部屋で、防衛団についての話をする守里と梅澤の2人。



梅澤: …よし、次はお前の話を聞かせてくれよ。ま、どうしても話せないことは話さなくても良いが。


守里: 話せないこと…



う~ん、まず異能力については話せないよな。

父さんも話してる人は、ほとんどいないって言ってたし。

香蓮が秘密を話してくれた以上、こっちが秘密を話さないのは心苦しいけど。


あとは…僕が防衛団の今の団長の息子で、次期団長だってこと。

これはどうだろう…

防衛団員の中でも知ってる人は限られてるみたいだしな…


いや、これは話しとくべきか。



守里: 僕は、防衛団の次期団長なんだ。


梅澤: は?


守里: 僕の父親が、今の防衛団の団長で、次の団長を僕が務めることになってるみたい。


梅澤: いや、は?マジかよ。


守里: うん。僕もマジかよって、未だに思ってる。4月に突然言われただけだし。


梅澤: …それで、坊ちゃんって呼ばれてたのか。あの団員に。


守里: そうそう。あの人は僕の護衛でね。


梅澤: なるほどな…


守里: ま、次期団長って言っても、そんな活動をしてるわけでもないんだけど。


梅澤: そうか…けど、防衛団員を動かせるんだろ?この前もそうしてたし。


守里: 動かすって…頼んでるだけ。


梅澤: 変わんねぇよ笑


守里: とにかく、これが僕と防衛団の関係。


梅澤: 予想以上に強いというか、深い関係だった。


守里: そう?


梅澤: あぁ。びっくりだぜ。


守里: 笑、そっか。


梅澤: ん?ってことは、お前、あの敵の組織についても何か情報を持ってるんじゃないのか?防衛団の次期団長様なんだし笑


守里: 笑、確かに香蓮や若月さんよりも情報は持ってるけど、防衛団も詳しくは分かってないんだ。


梅澤: いいから聞かせろ。


守里: …まず、敵組織の名前は、アンチ。


梅澤: アンチ…


守里: 構成員の数はまだ把握しきれてないけど、かなりいるみたい。それで、ソイツらは下位、中位、上位って感じで階級が分かれてる。


梅澤: それは強さで分かれてんのか?


守里: おそらく。


梅澤: じゃあ、私が戦った奴はどれだ?


守里: 香蓮が、あの路地裏で初めに戦ったのは中位だよ。


梅澤: あれで中位か…


守里: ちなみに、若月さんや葵波さん、愛衣さんが戦ったのも中位。


梅澤: …お前が倒したのは?


守里: アイツは、あそこにいた中位達を束ねてた上位。


梅澤: ということは、お前は少なくとも上位を倒せるレベルってことか。


守里: いや、アイツは上位の中でも、強くなかったみたいだから。


梅澤: マジか…やべぇな…


守里: …できるだけ、アンチとの戦いに巻き込みたくはないんだけど…


梅澤: 今更何言ってんだ。もう遅いぜ笑


守里: 笑、だよね…なら、一緒に頑張ろ。


梅澤: 強くなるのをか?


守里: そう。


梅澤: 笑、了解。なんなら、お前も一緒に若月さんにしごかれるか?


守里: う~ん…


梅澤: 気が向いたら言えよ。すぐに若月さんに報告してやるから笑


守里: 分かった笑


梅澤: 他には何かあるか?


守里: …あ、どうやら、アンチはここら辺だけで活動してるわけじゃないみたいで、他の地域…この伊衛能の外でも拠点が見つかってるらしい。


梅澤: どんだけデカいんだ…


守里: 防衛団も拠点を見つけ次第、潰して行ってるんだけど、まだまだって感じみたい。


梅澤: 防衛団もかなり手こずってるんだな。


守里: うん。


梅澤: …よっしゃ、私を助けてくれた防衛団の人への恩返しのついでに、アンチ征伐、頑張ろ笑


守里: 笑、ありがと。


梅澤: もちろん、一緒にだぞ。


守里: あぁ。僕もみんなを守るために、アンチはどうにかしないといけないからね。


梅澤: 改めて、よろしくな。



そう言って梅澤は立ち上がり、守里の目の前に手を伸ばす。



守里: 笑、よろしく。



その手を握る守里。


と、ここで…



「お兄ちゃん!まだ?!!」


「先輩方!もう食べ終わっちゃいますよ!!」



蓮花と林原の声が、部屋に響く。



梅澤: おい、あんまり大声出すな!


守里: 笑、もう出ようか。あの美味しい香蓮の料理が無くなりそうだし。


梅澤: 笑、そうかよ。



こうして、お互いの秘密を話し、改めてアンチと戦う協力関係を結んだ2人は、香蓮の寝室を出て、リビングに向かった。



林原: お二方、何を話されてたんですか?!モグモグ


蓮花: 教えて!お兄ちゃん!モグモグ


松高: ジー



料理と駄菓子を食べる蓮花と林原、そして、ただじっと守里の方を見る松高。



梅澤: さっき言ったろ、風紀委員関係だって。


松高: ほんとですか?


守里: いや、ほら、二学期に入ったらすぐに、2年生は修学旅行があるからさ、その時の風紀委員の仕事について話してたんだよ。


松高: 修学旅行…なるほど。


林原: 修学旅行ですか~良いな~


蓮花: 蓮花は去年行ったからな~モグモグ


守里: うん、蓮花。


蓮花: 何?お兄ちゃん!


守里: 絶対に、食べ過ぎでしょ。


蓮花: え?そんなこと…



机の上に積み上がっている、駄菓子の袋のゴミを、その場にいる全員が見る。




梅澤: 明らかに、食べ過ぎだな笑


守里: 蓮花、もう終わり。


蓮花: え~


守里: 結真姉さんに怒られるよ。


梅澤: はっ…


蓮花: バレないって!


守里: …僕が言ったら…


蓮花: そんなことするの?お兄ちゃんキラキラキラ


守里: うっ…


蓮花: お兄ちゃんキラキラキラ


守里: はぁ…しょうがない。でも、もうダメだからね。あと晩ご飯はちゃんと食べること。


蓮花: はーい!


林原: 森崎先輩も、蓮花には敵わないんですね笑


松高: 弱点発見キラン


守里: 弱点って…


梅澤: お、おい守里。


守里: ん?どうした?香蓮。



何かを思い出したのか、守里の言葉を聞いた瞬間に、自分の部屋へと走り、戻ってきた香蓮が守里に声をかける。



梅澤: あ、あのさ、明日って…


守里: 明日?


蓮花: 明日は…結真お姉ちゃんの誕生日だけど。


守里: …あぁ笑


梅澤: そ、そうだ。だから、これを…



そう言って、梅澤が手に持った紙袋を守里に渡す。



守里: これは?笑


梅澤: もちろん、結真さんの誕生日プレゼントだ。私の代わりに渡してくれ。


守里: いや、自分で渡しなよ。


蓮花: そうですよ!梅澤さん!


林原: 結真さんって?ボソッ


松高: 梅澤先輩が憧れてるっていう、元生徒会長ボソッ


林原: あぁ~え?じゃあ、2人ってその結真先輩の弟と妹?ボソッ


松高: みたいだねボソッ


梅澤: 私にはまだ無理だ。目を合わせることもできねぇからな。


守里: う~ん…


蓮花: どうしても無理ですか?


梅澤: む、無理だ。


蓮花: 分かりました。今年は蓮花から、お姉ちゃんに渡します。


守里: おい、蓮花。


蓮花: でも、来年は絶対に、梅澤さんから渡してください。


梅澤: …善処する。


蓮花: 笑、ってことで良いでしょ?お兄ちゃん。


守里: 蓮花がそう言うなら…じゃあ、任されたよ。香蓮。


梅澤: 頼む。


蓮花: 梅澤さん!結真お姉ちゃんの好きなとこ教えてください!


梅澤: え?いや…



蓮花が好奇心の目で梅澤に詰め寄る。



守里: 笑、よし僕は香蓮の料理を…


林原: あ、先輩、これどうぞ!


守里: ありがとう、林原さん。


松高: 仕方なくですからね。


守里: 笑、松高さんもありがと。



そうして守里は、蓮花の質問にタジタジになる梅澤を笑いながら見つつ、林原と松高と感想を言い合いながら、梅澤の手料理を食べた。




4時間後…



美月: あぁ~今日も美味しい!


桜: モグモグ


蓮花: …


守里: モグモグ笑


結真: あれ?どうしたの?蓮花。


蓮花: え?いや、なんでもないよ。


結真: 美味しくなかった?


蓮花: ほんと、そんなんじゃないって!パクッパクッ



一気にご飯をかき込む。



蓮花: グッ…ゴホッゴホッ


美月: 笑、何やってるの?蓮花。


結真: 大丈夫?そんないきなりかき込んだら、そうなるに決まってるでしょ。


蓮花: だ、大丈夫。


桜: …蓮花。おやつ、食べ過ぎた?


蓮花: ギクッ!!


結真: ん?蓮花?


蓮花: いや!食べ過ぎてない!!絶対にそんなことしてないよ!!お姉ちゃん!!


結真: 蓮花~?


美月: 分かりやす過ぎ笑


守里: モグモグ笑



無念…蓮花。




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