ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

文字の大きさ
176 / 340
第6章 修学旅行編

第176話「謎の多い?転校生」

しおりを挟む
学校案内を頼まれた守里は、陽芽叶と共に、学校中を歩く。


実習校舎



守里: ここが、実習校舎で、部活動生は部室があるからよく来るんだけど、部活に入らないなら、あんまり来ないかな。来るとしたら、理系科目の実験と美術ぐらい。


陽芽叶: 実験室とか美術室があるの?


守里: うん。1階に実験室があって、2階より上に美術室とか資料室、あと各部室もある。


陽芽叶: 部室…どおりで元気な声がたくさん聞こえるわけだ。


守里: 放課後は特にそうだよ。みんな、頑張ってるんだ。目標に向かって。


陽芽叶: …良いな、そういうの。


守里: 伊藤さんは、どの部活に入りたいとかある?


陽芽叶: あんまり、放課後に時間は取れないから、入らないつもり。


守里: そっか。


陽芽叶: 森崎君も、入ってないんでしょ?


守里: え、うん。そうだけど…


陽芽叶: あぁ、葵波先輩に聞いたんだ。


守里: そういうこと……もしかして、僕のこと、葵波先輩に聞いてたりした?


陽芽叶: うん。少しだけね。


守里: 葵波さんか…なんか変なこととか言ってなかった?笑


陽芽叶: う~ん、特には……そうだな…凄い、優しい人っては聞いてた。


守里: 優しい人か笑


陽芽叶: ほんと、話に聞いてた通り…だったよ。転校生の私に親切にしてくれて。森崎君は優しい人だ。


守里: そう?笑、ありがとう。


陽芽叶: 笑




1時間後…


グラウンドと体育館を一通り回り終わり、再び、実習校舎付近に戻ってきた守里と陽芽叶。



守里: 学校案内はこんなもんかな。


陽芽叶: ありがとう!森崎君!いや、守里って呼んでいい?


守里: え?


陽芽叶: あ、嫌…だったかな。そう呼べるぐらいには、話せたし仲良くなれたと思ったんだけど……ごめん…


守里: 笑、大丈夫だよ。全然、どんな風に呼んでくれても。ちょっといきなりで、びっくりしちゃっただけ。


陽芽叶: それなら良かった。じゃあ、改めて、よろしく!守里!!


守里: うん笑


陽芽叶: 守里も、私のことは下の名前で呼んでいいからね。伊藤なんてたくさんいるんだし。


守里: 分かった。陽芽叶さん。


陽芽叶: …笑、じゃあ今日は本当にありがとう!私は、この後ちょっと用事があるから。バイバイ!


守里: うん。また明日。



そう言って、陽芽叶は実習校舎の中に入って行った。


その後ろ姿を眺める守里。



守里: ?



正門とか裏門、教室校舎じゃなくて、実習校舎?

なんの用があるんだろう…


葵波さんと待ち合わせしてたりするのか?


まぁ、いっか。



守里: ふぅ…よし、祐希起こして帰ろ。


祐希、まだ寝てるかな~


◈◈◈


実習校舎

女子バスケ部部室前



陽芽叶: …



葵波からの情報だと、もうそろそろ部室に戻ってくる時間のはずなんだけど…


それにしても、守里、変わらないな笑

顔立ちも体格も大人っぽくなったけど、あの笑顔は変わらない。


あと、あの優しさも。


嬉しいな~

前みたいに、守里って呼べるようにもなったし。


逆に、守里には早く、陽芽叶って呼んで欲しい…


…まだ時間かかるかな。

記憶は全然思い出されてないみたいだし。


やっぱり、しばらく封じられてた分、そう簡単にはいかないか。



陽芽叶: う~ん…




ビリッ




陽芽叶: あ…



来る。



馬道: 帰りにあそこ寄ろう!あそこ!!


紗耶: いや、あそこってどこ。


馬道: そりゃもちろん、バーガーだよバーガー!!


日向子: 良いね!!お腹空いたし!!


西条: 晩ご飯あるでしょ。帰る前に食べたらさ…


馬道: 食べたら?


日向子: な~に?


西条: 太るよ。


馬道: ガハッッ!!


日向子: ハッ!!


紗耶: …



と、騒がしい声が曲がり角の向こうから聞こえてくる。



西条: ほら、ショック受けてないで、さっさと着替えて帰ろ。


紗耶: そうですね!


日向子: は~い。


馬道: でも、食べたい…


西条: 帰りにジュース奢ってあげるから、それで家まで我慢しな。


馬道: ありがとうございます!!美咲先輩!!


西条: でも早くしないと、気が変わっちゃうかもね~


馬道: 急ぎます!!


西条: いや走るな!


馬道: ん?誰です?



走り出した馬道が一足先に、部室の前に立っている陽芽叶を視界に入れた。



西条: 誰かいるの?


馬道: はい!お姫様みたいな子が!


陽芽叶: お姫様って笑


西条: お姫様?


紗耶: 誰でしょう…


日向子: 早く行こ!



そうして、バスケ部の全員が部室前に集まる。



陽芽叶: 皆さん、お疲れ様です。


西条: あ、いえ…


日向子: 伊藤陽芽叶ちゃんだ!!


陽芽叶: 南雲日向子さんですね。


西条: 日向子の知り合い?


日向子: うちのクラスの転校生!!


西条: あぁ、なんかそんな事言ってたね。


馬道: 先輩ですか!!


紗耶: こんにちは!


陽芽叶: 笑、こんにちは。


西条: それで、バスケ部?それとも日向子に用があるんですか?


陽芽叶: はい。南雲さんに用事があって。


日向子: 私?!


陽芽叶: 着替えた後で良いので、時間をもらっても良いですか?


西条: 日向子、どうなの?


日向子: もちろんOK!!!


陽芽叶: ありがとうございます笑


西条: じゃあ、もうちょっと待っててくれる?すぐに着替えさせるから。


陽芽叶: 分かりました。


西条: ほら、行くよ、日向子。他のみんなも。


「はーい!」


陽芽叶: 笑



さすが、女子バスケ部動物園の管理者。


葵波の情報で聞いてたとおりだ。




数分後…


ガチャ



西条: お待たせ。



制服に着替えたバスケ部員が、荷物を持って部室から出てくる。



西条: それじゃあ、日向子。いってらっしゃい。先に帰ってるからね。


日向子: はーい!!


西条: 伊藤さんも、バイバイ。


紗耶: さようなら。


馬道: また会いましょう!!


陽芽叶: 笑、さようなら。


日向子: バイバイ!!!



他の部員達が、実習校舎を出て行った。



陽芽叶: それじゃあ、行こっか。南雲さん。


日向子: え?うん。どこに行くの?


陽芽叶: 屋上だよ。


日向子: 屋上?


陽芽叶: まぁいいから、来て。


日向子: うん!!



2人は階段を上り、実習校舎の屋上へ。




実習校舎屋上



陽芽叶: ふわぁ~風が気持ちいいね!


日向子: そうだね!!


陽芽叶: 笑


日向子: それで話って何?


陽芽叶: いや、南雲さん…日向子ちゃんと仲良くなりたくてさ。


日向子: なんだ~そんなこと?!


陽芽叶: ごめん、大袈裟すぎたかな。


日向子: 全然大丈夫!!


陽芽叶: ありがと。それで、良い…かな?


日向子: 良いよ!!友達になろう!!



そう言って、日向子は陽芽叶の前に手を差し伸ばす。



「友達になろう!」



陽芽叶: …うん!友達。



その手を握る陽芽叶。



陽芽叶: …解除ボソッ




ボワン




日向子: ん?なんか言った?


陽芽叶: 笑、嬉しいって言ったんだよ。


日向子: そっか!私も嬉しい!!これからよろしく!!


陽芽叶: よろしくね笑、日向子。


日向子: わっ笑!陽芽叶ちゃん!!



より固く、繋いだ手を握る2人。



日向子: ところでさ、気になってたんだけど、陽芽叶ちゃんって、お姫様なの?


陽芽叶: え?お姫様?


日向子: うん!みんなに聞いてって言われたんだ!


陽芽叶: あぁ…



さっき、部室の中で話してたのかな。



陽芽叶: そんなんじゃないよ。普通に一般家庭。


日向子: そっか!みんなに伝えとく!


陽芽叶: 笑、よろしく。


日向子: うん!


陽芽叶: じゃあ、私からも1つ聞いていい?


日向子: なに?!


陽芽叶: …日向子はさ、守里のこと、どう思ってるの?


日向子: え?守里?


陽芽叶: うん。森崎守里。


日向子: 守里か~そうだな~


陽芽叶: …


日向子: 大切な幼なじみで…もはや家族!かな笑


陽芽叶: …笑、なるほど。家族か。


日向子: エヘヘ笑、なんか改めて言うと、恥ずかしいな~


陽芽叶: そっか笑


日向子: それにしても、なんでそんなことを?


陽芽叶: いや、日向子ちゃんと守里は、かなり仲が良いって聞いてたから、気になって。私も守里と友達になれたし。


日向子: え?そうなの?!


陽芽叶: うん。さっきまで、守里に学校案内をしてもらっててね。


日向子: あぁ!そんなこと言ってた!守里!!


陽芽叶: ほんと、助かったよ。


日向子: うんうん、守里、良くやった。


陽芽叶: 笑、これでしたかったお話は終わりだよ。日向子ともお友達になれてよかった。


日向子: なら、一緒に帰ろ!!交流を深めるためにも、バーガーに!!


陽芽叶: ごめん。この後、別の用事があって。


日向子: う~ん、残念だ…じゃあ、また今度ね!!


陽芽叶: うん。バイバイ。


日向子: バイバイ!!!



ガチャ


こうして、日向子は笑顔で手を振りながら、屋上を出て行き、陽芽叶1人が残った。



陽芽叶: …無事、成功。今日やらないといけなかったことは、全部終わったかな……葵波に連絡しないと。



携帯を取り出し、メッセージを送る。



陽芽叶: これからの学校生活、楽しみだな~



1人、夕日を見ながら、陽芽叶は微笑んだ。




to be continued
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

チャビューヘ
ファンタジー
いいね、ブックマークで応援いつもありがとうございます! ある日突然、クラス全員が異世界に召喚された。 この世界では「職業ガチャ」で与えられた職業がすべてを決める。勇者、魔法使い、騎士――次々と強職を引き当てるクラスメイトたち。だが俺、蒼井拓海が引いたのは「情報分析官」。幼馴染の白石美咲は「清掃員」。 戦闘力ゼロ。 「お前らは足手まといだ」「誰もお荷物を抱えたくない」 親友にすら見捨てられ、パーティ編成から弾かれた俺たちは、たった二人で最低難易度ダンジョンに挑むしかなかった。案の定、モンスターに追われ、逃げ惑い――挙句、偶然遭遇したクラスメイトには囮として利用された。 「感謝するぜ、囮として」 嘲笑と共に去っていく彼ら。絶望の中、俺たちは偶然ダンジョンの最深部へ転落する。 そこで出会ったのは、銀髪の美少女ダンジョン主・リリア。 「あなたたち……私のダンジョンで働かない?」 情報分析でダンジョン構造を最適化し、清掃で魔力循環を改善する。気づけば生産効率は30%向上し、俺たちは魔王軍の特別顧問にまで成り上がっていた。 かつて俺たちを見下したクラスメイトたちは、ダンジョン攻略で消耗し、苦しんでいる。 見ろ、これが「外れ職」の本当の力だ――逆転と成り上がり、そして痛快なざまぁ劇が、今始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

なんか人類滅亡直前の世界で勇者召喚にて大ハズレみたいな顔をされた【弱体術師】の俺ですが、実は人生4周目にて過去には【勇者】の実績もある最強

ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
なんか人類滅亡直前の世界で勇者召喚にて大ハズレみたいな顔をされた【弱体術師】の俺ですが、実は人生4周目にて過去には【勇者】の実績もある銀河最強レベルの【調停者】

処理中です...