ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

文字の大きさ
332 / 340
第9章 飛香編

第332話「拠点襲撃 in 大阪 part2」

しおりを挟む
21時58分


地下鉄保守用通路



康二: ふぅ……


和地: ………



おそらく竹川が逃走の際に使用するであろう地下通路に続く扉のすぐ近くで、和地と康二は作戦開始を待つ。



和地: ……康二。


康二: はい?


和地: 肩の力抜け。


康二: ……だな。


和地: ………いや、よくよく考えたら、お前。特級に上がってからは、こんなに大きな作戦は初めてだろ。


康二: …あぁ、初めてだ。だから、正直、手の震えが全く治まらないんだ。



そう言って、康二は悔しそうな表情で自分の震える手を握る。



和地: ……すまんな、気づいてやれず。


康二: いや。こっちこそ、こんなに不甲斐なくて……


和地: 何言ってんだ。誰でも最初は…しかもこんなにデカい山だと、倒れそうになるぐらいに緊張するもんだ。それを考えると、手が震えるだけに留まってるお前は、まだマシな方だって笑。な?川藤。


川藤: 笑、あぁ。康二、大丈夫だ。俺らがついてる。だから、自分が今できることをやるんだ。そのサポートと尻拭いは俺らがやってやる。



イヤホンマイクを通して、他の情報部の団員に指示を出していたのを中断し、川藤はニッコリと康二に笑いかける。



康二: …ありがとう。頑張るよ。


和地: 笑、よし、そろそろ作戦開始だ。俺とお前は、作戦開始から5分後に、ここからビルの真下にある地下駐車場に向かって走る。接敵したら、とにかく敵を後ろに通さないことを意識しろ。通路の幅的に、俺らが並んで両手を広げれば、人が通れるようなスペースはできないから。立ち回りを意識しろ。立ち回り次第で、たとえ敵が10人でも、完全に敵を無力化、もしくは増援の酒巻達が来るまでは持ちこたえられるから。


康二: うん。


和地: …川藤、他の様子は。


川藤: ビルの1階から攻める班は、既に入口付近で突入体勢が整い、屋上から攻める班は、監視カメラや重量センサーがないことを確認している場所に、全員がヘリから降り立ち、同じく突入体勢が整ってる。あと、3級のサポート班も愛理ちゃんの情報部班も、作戦開始を待つだけになってる。


和地: 了解。


康二: ……


和地: 大阪での戦いは今日で終わらせる。笑、早く妻と子供に会いたいからな。


川藤: おいおい、それはフラグっていうんだよ笑


和地: おっと、つい本音が出ちまった笑。まぁとにかく、アンチとの戦いを次に進めるためにも、この作戦を失敗するわけには行かない。気合い入れろ。


康二: は~い!!


川藤: おう。




防衛団仮拠点



1級団員(作戦部)1: 作戦開始まで残り1分!


敦貴: ……


??: ふぅ……


敦貴: ん……神田さんでも緊張するんですね笑



他の団員と並んで、ビルの構内図が映されたモニターを見ながら、ヘッドセットのアームを摘んでいる作戦部の1級団員…七星と祐希の父親である"神田湊士かんだ みなと"にそう声をかける敦貴。



湊士: まぁね笑。って敬語はやめてくれって前から言ってるじゃないか。今は、敦貴君の方が、階級が上なんだから。


敦貴: いえ。私は、自分よりも上だと思っている人には敬語を使わせていただきますから。


湊士: 全く……もう君は一人前で、私よりも立派なんだから………まぁともかく、この作戦は必ず成功させよう。


敦貴: はい、必ず。


湊士: うん笑。さぁ、時間だ。


敦貴: では……皆!準備はできているか!



頭につけているヘッドセットのマイクに向けて、敦貴は話し出す。



敦貴: この作戦で死んでくれとは言わない。が、全員の遺書は受け取り、もしもの時は必ず親族、最愛の人、大切な友人に必ず届ける。だから、全身全霊をかけて、この作戦を成功させるために動いてくれ!!カウントダウン開始!!


1級(作)1: はい。作戦開始、22時00分まで、残り10秒!9、8、7……



カウントダウンの声が、この仮拠点にも、作戦に参加している全団員の耳にも響き、段々と士気を高揚させる。



康二: ……


和地: …


ポンポン


康二: っ……


川藤: 笑




椎名: ふぅ……




酒巻: よし…




敦貴: ……


1級(作): 3、2、1!!


敦貴: 作戦開始!!!!



この敦貴の声で、アンチ大阪拠点襲撃作戦が始まり、それと同時に、戦闘部の団員達が、ビルの1階入口と屋上から、ビル内に突入した。




アンチ大阪拠点ビル

10階中央の部屋



ガチャ!!



??1: 失礼します!


竹川: どうした、そんなに焦って。扉は乱暴に扱うものじゃないよ、紺堂君。



そう言って、近畿地方を任されたアンチの幹部、竹川風磨は、パソコンの画面に向けていた視線を、勢いよく扉を開けて、部屋の中に入ってきた、戦闘専門の上位構成員、"紺堂侑こんどう あつむ"に向けた。



紺堂: すみません。


竹川: うん。それで、用件は?


紺堂: はい。黒スーツの男達が、1階と屋上から同時に侵入してきました。おそらく、防衛団かと。


竹川: ……そうか…



その報告を聞いた竹川は、特に驚いた表情も見せず、かけている眼鏡をクイッと直しつつ、次に自分が取るべき行動を考える。



竹川: なら、紺堂君はここに残って、10階から構成員に指示を出して、防衛団を迎撃。


紺堂: はい!


竹川: 玄世と藍染君は、私と共に地下道の方に移動するよ。


青垣: はい。


藍染: 了解です。



竹川の言葉に、幹部側近の"青垣玄世あおがき げんせい"と、戦闘専門の上位構成員"藍染武流あいぞめ たける"は、すぐに返事をし、壁際から竹川のデスクの傍に動いた。



竹川: ……っと、よし。このパソコンのデータは全部、本体の方に送ったし……玄世、壊して。


青垣: はい。


ブンッ!!!


バキッ!!!



巨体から放たれた手刀が、ノートパソコンを叩き折る。



竹川: じゃあ、行こう。あ、紺堂君は……


紺堂: 何でしょう。


竹川: もし、敵に捕まりそうになったら、死んでね。


紺堂: もちろんです。



間髪を入れずに、紺堂は決心に満ちた表情で答える。



竹川: うん。良い表情だ。じゃ、後はよろしく。


紺堂: お任せ下さい。



そうして、竹川は青垣と藍染を引き連れて、デスクの後方にあるエレベーターに乗り込むのだった。




ビル1階


作戦開始と同時に、ビルの1階に突入した、七星と祐希の母親である"神田由夢かんだ ゆめ"が率いる地上班は、階段を目指して走る。


それと同時に、上に行かせまいと襲いかかってくるアンチの構成員を倒して行っていた。



中位構成員1: さっさとし…


由夢: 邪魔だよ。


ドスッ!!


中位1: グッ!


ブンッ!!


中位1: ガハッ!!



右手に持つ特殊警棒で、向かってきた中位1の腹を突いた後、顎を弾き、気絶させる。



中位2: このっ!!


中位3: やれぇ!!



それを見て、その倒れた中位1の後ろから来ていた構成員達も、走る足を速め、由夢の方に襲いかかるが……



由夢: …任せたよ!!


1級団員(戦闘部)1: おう!


1級(戦)2: ある程度、減らしたら、どんどん後ろに回していけ!!2級に相手をさせる!


由夢: 分かってる!



そう叫んで、由夢は襲いかかってきた構成員達を躱し、前へと走る。



中位2: おい!逃げ…


1級(戦)1: 邪魔すんなって。


ボスッ!!


中位2: グハッ!!



横を走り抜けた1級(戦)1のボディーブローが腹にめり込み、中位2は床に膝をつく。



2級団員1: くらえ!


バコッ!


中位2: ガッ……



そしてすぐに、1階の制圧を目標としている2級団員により、顔面を蹴られ、気絶させられた。



2級1: よし!パッパとコイツらを片付けて、俺らも上に行くぞ!!


2級「おう!!」



そうして、由夢を先頭にした班は、とにかく上…10階に向かって、ある程度、敵を減らしながら進み、その後始末と階の制圧を残った2級団員で行うことで、拠点の攻略を進めて行くのだった。




to be continued

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

チャビューヘ
ファンタジー
いいね、ブックマークで応援いつもありがとうございます! ある日突然、クラス全員が異世界に召喚された。 この世界では「職業ガチャ」で与えられた職業がすべてを決める。勇者、魔法使い、騎士――次々と強職を引き当てるクラスメイトたち。だが俺、蒼井拓海が引いたのは「情報分析官」。幼馴染の白石美咲は「清掃員」。 戦闘力ゼロ。 「お前らは足手まといだ」「誰もお荷物を抱えたくない」 親友にすら見捨てられ、パーティ編成から弾かれた俺たちは、たった二人で最低難易度ダンジョンに挑むしかなかった。案の定、モンスターに追われ、逃げ惑い――挙句、偶然遭遇したクラスメイトには囮として利用された。 「感謝するぜ、囮として」 嘲笑と共に去っていく彼ら。絶望の中、俺たちは偶然ダンジョンの最深部へ転落する。 そこで出会ったのは、銀髪の美少女ダンジョン主・リリア。 「あなたたち……私のダンジョンで働かない?」 情報分析でダンジョン構造を最適化し、清掃で魔力循環を改善する。気づけば生産効率は30%向上し、俺たちは魔王軍の特別顧問にまで成り上がっていた。 かつて俺たちを見下したクラスメイトたちは、ダンジョン攻略で消耗し、苦しんでいる。 見ろ、これが「外れ職」の本当の力だ――逆転と成り上がり、そして痛快なざまぁ劇が、今始まる。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!

風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。 185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク! ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。 そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、 チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、 さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて―― 「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」 オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、 †黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!

まほカン

jukaito
ファンタジー
ごく普通の女子中学生だった結城かなみはある日両親から借金を押し付けられた黒服の男にさらわれてしまう。一億もの借金を返済するためにかなみが選ばされた道は、魔法少女となって会社で働いていくことだった。 今日もかなみは愛と正義と借金の天使、魔法少女カナミとなって悪の秘密結社と戦うのであった!新感覚マジカルアクションノベル! ※基本1話完結なのでアニメを見る感覚で読めると思います。

処理中です...