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パルメティの街
加勢が来ました
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ホイムも彼女一人だけが強くある必要はないと考えている。仲間と共に成長し頼ることもパーティのあり方である。
だが一人だけでの強さが大事になる場面も必ずあるので、今は彼女の申し出を尊重することにしたのだった。
戦いの雲行きが怪しくなればいつでも加勢に飛び出せるようにしていたホイムであったが、その気遣いは今の所無用であった。
ホイムを巻き込まぬよう大きく横に飛んだアカネを追うヘビーダノスの視界から、彼女の姿が一瞬で消える。
目にも留まらぬ速さで巨獣の背に飛び乗った彼女の構える刃の切っ先が、その硬皮を貫こうとする。
「チッ!」
だが僅かに表面を削ったのみ。背に乘る異物を振り落とそうとして獣は暴れ回り、アカネの体が宙に舞う。
「風切!」
アカネの扱う技の中で最も切れ味の鋭い一刃のカマイタチが再びヘビーダノスの背を襲う。
今度は皮膚に大きな一文字の傷を刻んだが、致命傷には程遠い。毒蛙ならば容易く両断できる攻撃であるが、硬質な魔獣の皮には効果がイマイチであった。
地表には下りずに樹木に着地するアカネに向かい、大きな体が猪突猛進に突き進む。
木々を圧し折り轟音が響き渡る。異変を感じた森の鳥たちがバサバサと飛び去っていく。
アカネはまたも空を駆ける。彼女の身のこなしならばヘビーダノスの攻撃を受けることはなく、一方的に攻撃を与えることができるだろう。
相手の装甲を一撃で破る術がなければ戦いは長引くだろうが、いつかは決着がつく……だからホイムは手を出さなくてもいいだろうと思った。
同時に、大事なことを失念していた。
ヘビーダノスはつがいの魔獣であることを。
またもドスンと大地が揺れる。
しかしそれはホイムの視界の中で戦うヘビーダノスが震源ではない。
彼はゆっくり背後を振り向く。そこには眼前にいたのと同じくらいの巨体を持つヘビーダノスが立ちはだかっていた。
「あらら……」
「ホイム様!」
異変に気付いたアカネの注意が逸れた一瞬、突き上げられたヘビーダノスの頭角が彼女の体を突き飛ばす。
「……邪魔だ!」
刀で直撃を免れたアカネであったが、その切っ先には焦燥が感じられた。ホイムの危機に、攻撃の精細さが僅かにぶれた。
だがホイムとてピンチに怯えているわけではない。彼にもアカネと同じく、強くなりたいという想いがあった。
両手に魔力を込め迎撃体制に移る。一撃で勝負を決める魔法もあるが、女神からの搾取と同時に与えられた加護による新たなる力も実戦で使おうと考えた。
アカネがソロで手を焼く魔獣。相手にとって不足なし。
迫る巨獣を迎え撃つつもりであったホイムであったが、しかしそれが実行に移されることはなかった。
彼と魔物が相まみえる寸前、ホイムの目の前に飛び込んできた人影があったのだ。
薄汚れたマントに大きな背中。そしてホイムに代わりヘビーダノスの突進を受け止めてもびくともせぬ強靭な肉体。
左腕の盾と自分の体のみで、身の丈を遥かに超える魔物の鼻っ面を抑え込んでいた。
そして盾を鞘として収納していた剣を抜き、その刀身を更に覆う巨大な光の刃が煌めく。
「魔法剣……!?」
驚くホイムの声に構わず光り輝く魔力の刃。横一文字に振るえばヘビーダノスの四肢を全て両断し、ただの岩と化した巨体はゴロリと大地に転がった。
更に縦一文字に振り下ろし、魔獣の体はスパリと裂かれ、あっという間に塵と化した。
突然の乱入者が獲物を横取りしていった。事実だけ見ればそうであるが、状況を呑み込むにはまだホイムの理解は追いついていなかった。
それはアカネも同じである。まだ魔物が一頭残っているものの、主であるホイムの前に唐突に現れた長身の女に対し、不審感しかなかった。
「何者だあいつ……!」
ホイム様を見下ろして見つめ合っているではないか!
その光景に内心イライラの募る彼女の眼下では、つがいを倒され怒るヘビーダノスの片割れが、大口を開けて彼女の体を噛み潰すべく待ち構える。
地獄の釜に通ずるような深い暗闇がアカネの体を呑み込む刹那、
「ッドーン!」
狩りから戻ったルカの飛び蹴りが魔物の巨体を吹き飛ばした。
スタンと大地に降り立ったアカネの隣には、森で仕留めた大きなブラッドベアを背負うルカが首を傾げて立っていた。
「あれ誰?」
「知らん!」
昂ぶる感情に任せて見つめ合う二人に肩を怒らせて詰め寄ろうとするアカネであったが、彼女が近寄るより先に、ホイムの倍はあろうかという長身の女が不意に体を折りたたんだ。
片膝をつき、頭を垂れて跪く女の姿はまるで主人に仕える騎士のようであった。
突然の行為にホイムは狼狽えたが、
「んんなんにいいぃ!?」
それ以上に目を白黒させたのはホイムを一番慕っていると自負しているアカネであったのは言うまでもない。
だが一人だけでの強さが大事になる場面も必ずあるので、今は彼女の申し出を尊重することにしたのだった。
戦いの雲行きが怪しくなればいつでも加勢に飛び出せるようにしていたホイムであったが、その気遣いは今の所無用であった。
ホイムを巻き込まぬよう大きく横に飛んだアカネを追うヘビーダノスの視界から、彼女の姿が一瞬で消える。
目にも留まらぬ速さで巨獣の背に飛び乗った彼女の構える刃の切っ先が、その硬皮を貫こうとする。
「チッ!」
だが僅かに表面を削ったのみ。背に乘る異物を振り落とそうとして獣は暴れ回り、アカネの体が宙に舞う。
「風切!」
アカネの扱う技の中で最も切れ味の鋭い一刃のカマイタチが再びヘビーダノスの背を襲う。
今度は皮膚に大きな一文字の傷を刻んだが、致命傷には程遠い。毒蛙ならば容易く両断できる攻撃であるが、硬質な魔獣の皮には効果がイマイチであった。
地表には下りずに樹木に着地するアカネに向かい、大きな体が猪突猛進に突き進む。
木々を圧し折り轟音が響き渡る。異変を感じた森の鳥たちがバサバサと飛び去っていく。
アカネはまたも空を駆ける。彼女の身のこなしならばヘビーダノスの攻撃を受けることはなく、一方的に攻撃を与えることができるだろう。
相手の装甲を一撃で破る術がなければ戦いは長引くだろうが、いつかは決着がつく……だからホイムは手を出さなくてもいいだろうと思った。
同時に、大事なことを失念していた。
ヘビーダノスはつがいの魔獣であることを。
またもドスンと大地が揺れる。
しかしそれはホイムの視界の中で戦うヘビーダノスが震源ではない。
彼はゆっくり背後を振り向く。そこには眼前にいたのと同じくらいの巨体を持つヘビーダノスが立ちはだかっていた。
「あらら……」
「ホイム様!」
異変に気付いたアカネの注意が逸れた一瞬、突き上げられたヘビーダノスの頭角が彼女の体を突き飛ばす。
「……邪魔だ!」
刀で直撃を免れたアカネであったが、その切っ先には焦燥が感じられた。ホイムの危機に、攻撃の精細さが僅かにぶれた。
だがホイムとてピンチに怯えているわけではない。彼にもアカネと同じく、強くなりたいという想いがあった。
両手に魔力を込め迎撃体制に移る。一撃で勝負を決める魔法もあるが、女神からの搾取と同時に与えられた加護による新たなる力も実戦で使おうと考えた。
アカネがソロで手を焼く魔獣。相手にとって不足なし。
迫る巨獣を迎え撃つつもりであったホイムであったが、しかしそれが実行に移されることはなかった。
彼と魔物が相まみえる寸前、ホイムの目の前に飛び込んできた人影があったのだ。
薄汚れたマントに大きな背中。そしてホイムに代わりヘビーダノスの突進を受け止めてもびくともせぬ強靭な肉体。
左腕の盾と自分の体のみで、身の丈を遥かに超える魔物の鼻っ面を抑え込んでいた。
そして盾を鞘として収納していた剣を抜き、その刀身を更に覆う巨大な光の刃が煌めく。
「魔法剣……!?」
驚くホイムの声に構わず光り輝く魔力の刃。横一文字に振るえばヘビーダノスの四肢を全て両断し、ただの岩と化した巨体はゴロリと大地に転がった。
更に縦一文字に振り下ろし、魔獣の体はスパリと裂かれ、あっという間に塵と化した。
突然の乱入者が獲物を横取りしていった。事実だけ見ればそうであるが、状況を呑み込むにはまだホイムの理解は追いついていなかった。
それはアカネも同じである。まだ魔物が一頭残っているものの、主であるホイムの前に唐突に現れた長身の女に対し、不審感しかなかった。
「何者だあいつ……!」
ホイム様を見下ろして見つめ合っているではないか!
その光景に内心イライラの募る彼女の眼下では、つがいを倒され怒るヘビーダノスの片割れが、大口を開けて彼女の体を噛み潰すべく待ち構える。
地獄の釜に通ずるような深い暗闇がアカネの体を呑み込む刹那、
「ッドーン!」
狩りから戻ったルカの飛び蹴りが魔物の巨体を吹き飛ばした。
スタンと大地に降り立ったアカネの隣には、森で仕留めた大きなブラッドベアを背負うルカが首を傾げて立っていた。
「あれ誰?」
「知らん!」
昂ぶる感情に任せて見つめ合う二人に肩を怒らせて詰め寄ろうとするアカネであったが、彼女が近寄るより先に、ホイムの倍はあろうかという長身の女が不意に体を折りたたんだ。
片膝をつき、頭を垂れて跪く女の姿はまるで主人に仕える騎士のようであった。
突然の行為にホイムは狼狽えたが、
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