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パルメティの街
依頼を受けました
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「……その後、私は近衛兵の拘束から逃れた団員の手によって救い出され、フラシュから逃げるように大陸を彷徨っていました」
その道中で一緒に逃げていた他の聖華騎士団とも散り散りになり、別行動を取る状況となっていたとのことだ。
「その後、アリアスも牢から脱走し処刑を免れ、どこかへと身を隠したと聞いていましたが……」
「エミリアさんはその行き先を見つけたんですね」
「はい。ここより東に進んだ遺跡の付近で、アリアスの風貌によく似た女性の目撃情報がありました」
その情報を頼りに一度現場を視察しに行き、その時に洞窟に飛び込んでしまおうかとも思ったそうだが、洞窟内での戦闘の経験がほとんどない事もありどうにか自制を利かせ、万全を期すためにパルメティで頼れそうな人物を探していた……とホイムは説明を受けた。
「ふむ……話を聞く限り、確かに少しきな臭い気がしますね」
「その話が事実なら、ですが」
ちくりと言葉を刺すアカネをホイムが見やると、プイとそっぽを向いてしまう。
無闇に信じるのは良くないと彼女なりに気を遣ってのことなのだろうが、もう少し言い方を……と思うホイムであった。
「確かに信じてもらうには都合のいい話だと思う」
エミリア自身もそれは自覚していた。
「ですが私の口から言えるのはそれが事実であり、そして私は真実が知りたい……アリアスは、団長が何故そんなことをしでかしたのか、それが知りたいのです」
「確か騎士団長の救出と共に黒幕の成敗もと言っていたが……」
「目撃情報ではアリアスと共に男が一緒にいることも確認されている。そいつが黒幕……もしくは何か重要な秘密を知っているに違いないと私は睨んでいる」
その目撃情報に信憑性があるとしてだが、怪しさ満点の話であるとホイムもアカネも感じていた。
「……今回の件、ギルドを通しての正式な依頼ではありません。払える報酬もごく僅かであります。チームリーダーであるホイム殿が望むのなら、事が終わり次第私はこの首を差し出しても構いません」
「首って……」
「逃亡している元聖華騎士団には、国から懸賞金がかけられているはず。ホイム殿にはそれを受け取っていただきたく」
「分かった! 分かりました! 首とか懸賞とか、そういうのはとりあえず置いておきましょう」
「ですが……」
「まず僕らがすべきなのはそんな事を決めることじゃないでしょう?」
ホイムの言葉を受け、エミリアは深く頭を下げた。その姿勢のまま、ホイムたちの話を静かに聞いた。
「……さ。それじゃあ……どうしましょうか?」
「彼女の依頼を受けるかどうか、でしょうか?」
言わずもがなであるとホイムは頷いた。
「私は関わりにならない方が懸命だと判断します」
「理由は?」
「真偽はどうあれ、一国の姫を手に掛けようとした容疑をかけられた者を傍に置くのは、お勧めしたくはありません」
アカネの意見も間違ってはいない。しかるべきところに任せる方が正しいのかもしれない。
「ルカは困ってるエミリア助けたい」
スカは素直に自分の感じた意見が出てきた。
お人好しな意見であるが、それはホイムも同じことだった。
「……アカネさん」
この場で出た意見を踏まえ、ホイムがアカネに話しかける。
「分かっています。みなまで言わないでください」
そうなることが分かっていたように、アカネはあっさりと引いた。
顔を見合わせる三名の意見はまとまり、黙って顔を伏せていたエミリアに向けてホイムが答えを告げた。
「エミリアさん。あなたの依頼を引き受けます」
その言葉を受けたエミリアは顔を上げることはなく、俯いたまま静かに、
「……感謝する」
と返事をするのが精一杯であった。
「ではまずアカネさんは一度パルメティへ戻って」
「何故ですか!?」
今後のことを話し合う席となったキャンプ地で、まずホイムが提案した内容にアカネは慌てふためいて食ってかかった。
「だってほら、僕らはこれから東の遺跡まで行かなきゃならないでしょう?」
「ええそうですね!」
「予定が数日伸びるじゃないですか」
「ええそうですね!」
「宿泊している宿に一言断りを入れた方がいいですし」
「……それで私をお払い箱にするのですね」
とてもいじけている。
「そんなつもりじゃないですってば。アカネさんにしかできないことなんです」
「私にしか……?」
「急いでパルメティに戻れる足がありますし」
「ええその通りです」
「ちゃんと宿屋の主人に用件を伝えてくれますし」
「ええその通りです」
「エミリアさんやルカには任せられないことなんです」
「承知しました!」
ホイムの期待を受けていることを知り、アカネは張り切りだした。
「あとそれから!」
「はい!」
「ギルドで魔物討伐の報酬も受け取ってくれますか?」
今日ホイム一行が倒した三体に加え、エミリアが倒した一体の合わせて四体全部の報酬をである。
つい先程、エミリアもホイムのギルドチームに一時的にではあるが加えることにした。これによりまとめて報酬を受け取れる算段である。
その道中で一緒に逃げていた他の聖華騎士団とも散り散りになり、別行動を取る状況となっていたとのことだ。
「その後、アリアスも牢から脱走し処刑を免れ、どこかへと身を隠したと聞いていましたが……」
「エミリアさんはその行き先を見つけたんですね」
「はい。ここより東に進んだ遺跡の付近で、アリアスの風貌によく似た女性の目撃情報がありました」
その情報を頼りに一度現場を視察しに行き、その時に洞窟に飛び込んでしまおうかとも思ったそうだが、洞窟内での戦闘の経験がほとんどない事もありどうにか自制を利かせ、万全を期すためにパルメティで頼れそうな人物を探していた……とホイムは説明を受けた。
「ふむ……話を聞く限り、確かに少しきな臭い気がしますね」
「その話が事実なら、ですが」
ちくりと言葉を刺すアカネをホイムが見やると、プイとそっぽを向いてしまう。
無闇に信じるのは良くないと彼女なりに気を遣ってのことなのだろうが、もう少し言い方を……と思うホイムであった。
「確かに信じてもらうには都合のいい話だと思う」
エミリア自身もそれは自覚していた。
「ですが私の口から言えるのはそれが事実であり、そして私は真実が知りたい……アリアスは、団長が何故そんなことをしでかしたのか、それが知りたいのです」
「確か騎士団長の救出と共に黒幕の成敗もと言っていたが……」
「目撃情報ではアリアスと共に男が一緒にいることも確認されている。そいつが黒幕……もしくは何か重要な秘密を知っているに違いないと私は睨んでいる」
その目撃情報に信憑性があるとしてだが、怪しさ満点の話であるとホイムもアカネも感じていた。
「……今回の件、ギルドを通しての正式な依頼ではありません。払える報酬もごく僅かであります。チームリーダーであるホイム殿が望むのなら、事が終わり次第私はこの首を差し出しても構いません」
「首って……」
「逃亡している元聖華騎士団には、国から懸賞金がかけられているはず。ホイム殿にはそれを受け取っていただきたく」
「分かった! 分かりました! 首とか懸賞とか、そういうのはとりあえず置いておきましょう」
「ですが……」
「まず僕らがすべきなのはそんな事を決めることじゃないでしょう?」
ホイムの言葉を受け、エミリアは深く頭を下げた。その姿勢のまま、ホイムたちの話を静かに聞いた。
「……さ。それじゃあ……どうしましょうか?」
「彼女の依頼を受けるかどうか、でしょうか?」
言わずもがなであるとホイムは頷いた。
「私は関わりにならない方が懸命だと判断します」
「理由は?」
「真偽はどうあれ、一国の姫を手に掛けようとした容疑をかけられた者を傍に置くのは、お勧めしたくはありません」
アカネの意見も間違ってはいない。しかるべきところに任せる方が正しいのかもしれない。
「ルカは困ってるエミリア助けたい」
スカは素直に自分の感じた意見が出てきた。
お人好しな意見であるが、それはホイムも同じことだった。
「……アカネさん」
この場で出た意見を踏まえ、ホイムがアカネに話しかける。
「分かっています。みなまで言わないでください」
そうなることが分かっていたように、アカネはあっさりと引いた。
顔を見合わせる三名の意見はまとまり、黙って顔を伏せていたエミリアに向けてホイムが答えを告げた。
「エミリアさん。あなたの依頼を引き受けます」
その言葉を受けたエミリアは顔を上げることはなく、俯いたまま静かに、
「……感謝する」
と返事をするのが精一杯であった。
「ではまずアカネさんは一度パルメティへ戻って」
「何故ですか!?」
今後のことを話し合う席となったキャンプ地で、まずホイムが提案した内容にアカネは慌てふためいて食ってかかった。
「だってほら、僕らはこれから東の遺跡まで行かなきゃならないでしょう?」
「ええそうですね!」
「予定が数日伸びるじゃないですか」
「ええそうですね!」
「宿泊している宿に一言断りを入れた方がいいですし」
「……それで私をお払い箱にするのですね」
とてもいじけている。
「そんなつもりじゃないですってば。アカネさんにしかできないことなんです」
「私にしか……?」
「急いでパルメティに戻れる足がありますし」
「ええその通りです」
「ちゃんと宿屋の主人に用件を伝えてくれますし」
「ええその通りです」
「エミリアさんやルカには任せられないことなんです」
「承知しました!」
ホイムの期待を受けていることを知り、アカネは張り切りだした。
「あとそれから!」
「はい!」
「ギルドで魔物討伐の報酬も受け取ってくれますか?」
今日ホイム一行が倒した三体に加え、エミリアが倒した一体の合わせて四体全部の報酬をである。
つい先程、エミリアもホイムのギルドチームに一時的にではあるが加えることにした。これによりまとめて報酬を受け取れる算段である。
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