異世界召喚された回復術士のおっさんは勇者パーティから追い出されたので子どもの姿で旅をするそうです

かものはし

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パルメティの街

覗かれました

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 訝しく思いながらも進んでいたエミリアが茂みの陰から顔を覗かせたところ、少し離れた巨木の根元でようやく二人の姿を発見した。
 背中を大木にあずけて座るホイムと、その少年に跨るルカが仲睦まじく情を交わしていた。

「んなッ!?」

 突然男女の交渉事を目撃したエミリアは慌てて茂みの奥に体を引っ込めた。

「な、な、な……」

 驚きすぎて自身の心臓の音がバクバクと響く音しか聞こえてこない。
 もしかしたら見間違いかもしれないと、茂みからそっと頭を出して見る。

「ホイム! すごい! 気持ち、良い!」
「こ、声がおっきいよ……!」

 ルカの首に腕を回して引き寄せたホイムの唇が、嬌声を上げるルカの口を乱暴に塞ぐ様をバッチリと目撃した。

「ひゃぁッ……」

 余りに生々しくて激しい光景に、エミリアは顔から火が出そうになりながら茂みの奥に引っ込んだ。

「あ、あの二人……そういう関係だったのか」

 ドキドキと高鳴る胸に手を当てながら、二人が揃ってキャンプから離れたのはそのためだったのかと理解した。

「ま、待て……ではアカネも」

 話し合いの時の様子からして、彼女がホイムを慕っていることはエミリアにも分かっていた。
 いや、もしかしたら慕っているのではなくて自分のモノを他人である自分と関わらせるのを拒否していた……?

「そんなのはまるで性奴隷ではないか!」

 幼い少年になんたる仕打ち!
 正義感に溢れるエミリアはそんなことは許せない。今一度ホイムがルカに襲われている光景を、地面にうつ伏せになって茂みの下からじっくりと観察する。

「ルカ……またいくよ!」
「うん! うんきて!」

 そのまま二人の体がピクピク震えて動きが止まる。しばらくしてから、二人とても愛おしそうに口づけを交わしながらまたルカが体を上下に動かしはじめた。

「…………」

 じっくりと見入ってみて、二人はとても仲睦まじく、奴隷云々は考えすぎだという結論にエミリアは達した。
 その後も木に手をつかせてお尻を突き上げさせたルカを後ろから責めたてるホイムの雄姿に釘付けになるエミリアは、中々その場を離れることができずにいた。

(た、他人の性行為を覗き見続けるなどとは……へ、変態ではないか!)

 自分の痴態は理解しているが、どうしても止めることができなかった。
 これには、彼女が聖華騎士団として過ごして来た日々が大いに関係していた。
 団長含め三十名という少数精鋭の聖華騎士団。彼女たちが異性と触れ合うのは式典や戦場などが主である。
 城の中でも男性中心の騎士団や近衛隊とは別の寮を与えられ、極力接触する機会は減らされている。
 女性のみの騎士団という神聖性や高潔性を維持するための取り決めであり、騎士団員もそれを自負し、誇りを持っていた。
 そんな環境で暮らしていた聖華騎士団の女性にとって、性交渉など未知の領域。噂や伝聞で行為を知っている程度のものであった。
 また聖華騎士団員は務めを終え、団を抜けるまでは未通の乙女でなくてはならないのも男性との秘め事に初心なことに拍車をかけていた。
 エミリアとて例外ではない。いくら自身が女性らしくないと自覚していようが、未知への好奇心と生理的反応を示してしまっていた。
 二人の動きがまた激しくなるのを食い入るように観察するエミリアであったが、理性的な部分がいい加減に出歯亀行為を止めなければと訴えていた。
 名残惜しい気持ちでいっぱいであったが、激しく喘ぐ二人を残して彼女は静かに退散した。
 テントに戻る道中、エミリアは下腹部に抱いた悶々とした感覚に苛まれていた。

(騎士失格だ……私のド変態め……!)

 清廉潔白が求められる聖華騎士団であった自分があんなことをしでかすなんてと反省しきりである反面、未だ落ち着かぬ体の火照り。

(……私ってこんな奴だったのか)

 テントに潜り込んだエミリアは体を小さく丸めて横になった。

「はあ……」

 まだ気分は昂ぶっていた。衣類に包まれた肌はひどく敏感になっているような気さえした。
 堅物で通っていたエミリアであるが、自分が今性的な興奮を覚えているのは理解していたし、聖華騎士団の中であっても耳年増な同性がこういう時にどうすればいいかを話しているのを聞いたことくらいはあった。
 まさか自分がそのような行為に手を染めようとは思ってもいなかった彼女だったが、本能的に手が伸びるのを我慢することができなかった。
 衣服の中に指を滑り込ませようとしたその時、突然テントにホイムとルカが入ってきた。

「うわっ!?」

 驚いて跳ね起きたエミリアを見た二人は目を丸くしていた。

「あ……起こしちゃいました?」

 眠りを妨げたと思ったホイムが済まなそうに言うのだが、さっきまで交尾をしていた二人の顔を直視できないエミリアは目を泳がせておどおどしてしまう。

「い、いや! 二人が心配で、戻らないから、少し寝れなくて」
「そうでしたか。心配させてしまったみたいですね」

 それから、エミリアの傍にあった毛布を二つ受け取ったホイムは、一つをルカに手渡した。

「ルカは今日も外で寝る?」
「うん。中は落ち着かない」

 ルカだけテントから出ていき、中にはホイムとエミリアだけとなった。

「す、すまない。私がいて狭いから……」
「いえ。彼女は大体外で寝てますから。たまに一緒に中で寝ますけど……だから気にしないでください」

 いつもの事だと教えるホイムはすぐに横になり毛布に包まった。

「それじゃ……おやすみなさ……」

 大変疲れた様子で、あっという間に眠りに落ちたようだった。

「……」

 こんなに幼い少年が、ついさっきまで情事に耽っていたのが信じられない。
 その目で見て、脳裏に焼き付く光景が忘れられずにいるエミリアは、頭の中でそのシーンを延々繰り返してしまい、悶々とした気持ちを発散できないまま夜を過ごしたのだった。
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