《死霊魔術師に転生した俺は、かつての英雄たちを蘇らせ最強軍団を築く》

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第15話:冥府軍総進軍、神の門を砕け

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 夜明けの王都アルザリオは、すでに平時の姿ではなかった。

 空に残った《神の門》は薄く歪みながらも確かに存在し、王都全域に“神意の幕”が張られていた。
 それは聖印を持たぬ者にはただの空の裂け目に見えるが、死者や冥府の英霊にとっては魂を直接蝕む呪いに近い。

 ――この門がある限り、神は再びいつでも降臨できる。

「だから……これを壊す」

 カイル=グラントは静かに言った。

 その周囲には、今までの戦いで契約した全ての英霊たちが並んでいた。
 不死騎士ジル=ヴァン、炎の剣姫エリュシア、知の剣士リューデル、虚無の剣ソルド=アイン。
 さらに名もなき英霊たち、そして無数の死霊軍が並ぶ。

「王都に攻め入る気か……?」

 アサル=レイが声を潜めて問う。

「違う。俺たちは“門”だけを叩く。
 神そのものを再び呼び込まれる前に、この地上への座標を消し去る」

「……一つ間違えば、世界の理をも崩す行為だぞ」

「分かっている。だが、今更だろ?
 俺たちは既に、生者の領域も神の秩序も踏み越えた存在だ」

 ジルが静かに剣を掲げた。

「ならば、最後まで付き合おう。我らが主の戦いに」

     ◆

 こうして、冥府軍は総進軍を開始した。

 王都を囲む堅牢な外壁は、既に防衛線としての意味をほとんど成していなかった。
 それは、敵を阻む壁ではなく、むしろ王太子エリアス自ら“冥府を王都に誘い込む檻”として設計し直していたからだ。

「来たな、カイル」

 玉座の間からその光景を見下ろしながら、エリアスは禁書を指で撫でた。

「王国はお前を選ばなかった。神を選んだのだ。
 ならば、神に護られる世界の在り方を示してやる」

     ◆

 王都の大通りを、冥府の英霊たちが駆け抜ける。

 神意に触れた死霊は時に蒼い炎を吹き出し、苦しみながら進んだ。
 それでも進む。
 その先に、《神の門》を閉じる唯一の機会があると信じて。

「ジル! 左翼を制圧しろ。あそこに王都の術式供給塔がある。
 あれを潰せば神の門の安定度が落ちる!」

「任せろ!」

 重厚な鎧が音を立て、黒い剣が次々と神殿騎士たちを薙ぎ払う。

 同時にエリュシアが炎を纏って中央を突破する。

「どけ、どけどけぇッ! 私の炎は神意すら焼き払うんだよ!」

 その叫びと共に、王都の聖堂が一つ燃え落ちた。

     ◆

 だが最も異質だったのは、やはりソルド=アインだった。

 彼は神の門から垂れ落ちる“神意の糸”そのものを手に取り、噛み千切る。

「お前たちは概念で編まれた存在だろう。
 ならば俺に喰われるためにある」

 門が悲鳴をあげる。
 神の気配が揺れ、空間が不安定に明滅した。

「あと少し……!」

 カイルは杖を掲げ、冥府の総力を一点に収束する。

「《冥府根呪――死者の誓い》!」

 黒い瘴気が街全体を覆い、神の門へと絡みついた。

 門はまるで拒むように光を弾き、冥府の力を拒絶する。
 しかし、その光が弱まっていくのを誰もが感じた。

 ソルドが最後に前に出た。

「カイル。俺はお前に貸しは作らない主義だ。
 だから、この門は俺が“食う”。」

 虚無の剣が再び現れる。

 空に走った一閃は、概念そのものを切り裂いた。

     ◆

 神の門は、崩れ落ちた。

 その瞬間、王都全体に張られていた神意の幕が解け、空がまるで解放されたかのように澄んでいく。

 英霊たちが膝をつきながらも、小さく安堵の吐息を洩らした。

「……終わったか」

 カイルが杖を下ろす。

 だが、そこに響いた声があった。

「……いいや。これで“終わり”など、許されるものか」

 玉座の間より歩み出た王太子エリアスは、既に人ではなかった。

 その瞳には神の光が宿り、背には小さな光輪が浮かぶ。

「カイル。お前の選んだ道も、俺の選んだ道も――どちらももう、引き返せはしない」

 かつての友が、今や神に踏み込んだ者として、冥府の王へと歩み寄る。

 そして物語は、最後の審判へ――。

―――――――――――――――――――――――――

あとがき
お読みくださりありがとうございます。
第15話では、ついに冥府軍が総進軍し、神の門を破壊することで神そのものをこの地から排除しようと試みました。

だが同時に、王太子エリアスは人をやめて神へと踏み込み、最終決戦の舞台が整いました。
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