賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第五十七話 お願い

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「あ、そうだデイビッドさん。知り合いの信用出来る冒険者はいますか? 出来れば複数……」

「え? どうしましたか?」

「ええ、実はお願いがあって……フレイたちを捕まえたグラブルの手下たちの事です。フレイたちを連れてくるのが手一杯で放置してあります。僕には知り合いの冒険者が居ませんし、デイビッドさんの知り合いにそういう方はいないかなと。グラブルは死んでますが、死体を冒険者ギルドに突き出せば報奨金は貰えるはずです。あと、他の野盗は恐らく生きてます」

「恐らく?」

 多分デイビッドさんは怪訝そうな表情で──カエルが押しつぶされているような顔だから、はっきりとはわからないけれども──僕にそう尋ねた。

「ええ、身動きを取れないように、首だけだして穴に埋めて来ましたから。魔物にその状態で襲われてなければ、生きてます。という事ですけどね」

 笑顔でそう答える僕に、デイビッドさんは苦笑いを浮かべていた。

「ぼ、坊ちゃん。可愛い顔に似合わずとんでもない事をするんでゲスね……」

「まぁまぁ。下手に縄で縛って逃げられるよりマシかなと。で、信用出来る……と言うのはここからなんです。洞穴の中の物をフレイたちに渡してあげて欲しいんです。冒険者ならグラブルの報奨金と捉えた名誉が手に入ります。自分が殺した事にすれば良いのですから。他の野盗は知りませんが、もしかしたらその分も追加されるかもしれません。冒険者ランクにも関わってくるかも。それで動いてくれる、信用出来る冒険者が複数いないかな? という事です。物の量から四人以上は人手が欲しいかなと。僕もざっとしか見てないので、その冒険者が全部返してくれたかどうかはわからないですけど。だから極力信用出来そうな人がいいんです」

 と、僕が述べると得心がいった、と言った様子でデイビッドさんは頷いた。

「ああ、そういう事なら別に冒険者じゃなくてもいいでゲスね。私も店をやってますから腕の立つ物を何人か雇っているでゲス。その者達で行ってきますよ」

「是非、お願いします」

「じゃ、その犯罪者の報奨金は坊ちゃんと山分けという事で……ぐへへ」

 そこで僕は右手を上げてデイビッドさんを制した。

「僕はいいですよ。何もしてませんし……まだ月中から雇って頂く分、デイビッドさんにも全員金貨七枚は負担でしょうから、全部デイビッドさんが貰ってください」

「えっ? 月中だから七枚ですよ。月が変わればちゃんと全額払いますよ? 金貨十四枚ですね」

「え? 逆にこの年齢って考えると多くないですか?」

「とは言っても大事な人財でゲスからね。それくらいは当然でゲスよ」

「な、なるほど……」

 顔に似合わないデイビッドさんの言葉に、僕は心底関心してしまった。

「だから別に気にしないで報奨金は貰って大丈夫でゲスよ」

「じゃあ報奨金は……その分、フレイたちにあげて下さい」

「かしこまりましたでゲスよ。ありがとうございますでゲスね、坊ちゃん。ぐへへ」

「こちらこそありがとうございます。デイビッドさん」

 僕がデイビッドさんに礼を述べると、何かを思い出したかのような様子でデイビッドさんは僕に声をかけた。

「あ、そうだ、坊ちゃん」

「どうしました? デイビッドさん?」

「アレックスの荷なら、良い魔石あると思うでゲス。先日、欲しがってませんでしたっけ?」

「あ……今回はいいです。それもフレイたちに渡して下さい」

「それを私が買い取ってもいいでゲス?」

「それはもちろんです。フレイたちが取引する分には、僕は何も……」

 と、僕は首を横に振った。フレイたちに渡して、とは言ったけど、そこから先は僕がお願いするべきことじゃない。

「かしこまりましたでゲスよ。では早速手配させて頂きますでゲス」

 そう言ってデイビッドさんは店の中に入っていってしまった。

「これでフレイたちは大丈夫かな?」

 僕がそう呟くとフレイが僕に礼を述べる。妹たちも深々と礼をしていた。

「アインス様……本当にありがとうございます。何から何まで……」

「ううん。僕は何もしてないよ。お礼は雇ってくれたデイビッドさんにしてあげて。じゃあ僕たちは寮に戻るから。また週末行くと思うから、その時は宜しくね?」

「はい! いつでもお待ちしております」

 そしてフレイたちと僕たちは別れた。その夜の事だった。
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