111 / 123
第百十一話 ミリアの目覚め
しおりを挟む
「う、うーん」
ミリアさんがゆっくりと瞼を空けた。ぼんやりとしていて、まだ状況が理解していないように僕には見えた。
無理に覚醒させる訳にもいかないからか、アマンダ先生はミリアさんがどのような反応を示すのかじっと待っているようだった。
「……あ、あれぇ? お姉さま?」
ミリアさんがアマンダ先生に反応を示した。声だけ聞くとおっとりとした話し方の女性に思える。
「ミリア! 大丈夫?」
「……大丈夫ってぇ? ちょっとまだ頭の中はぼんやりしているけどぉ……」
覚醒しきっていないミリアさんはアマンダ先生の問いにそう答えた。
「まだ目覚めたばかりだし、無理しなくていいわ。とりあえずじっとしてなさい」
「……はぁい……」
僕はアマンダ先生の背中越しに、ひょいとミリアさんを覗き込んだ。正直、一目見て、アマンダ先生の妹と言われてもしっくり来なかった。全然似ていないと思ったからだ。多分、言われないと姉妹だとはわからなかったと思う。
アマンダ先生と違って、背も小さく、顔は幼い。水色のショートヘアで女性と言うよりかは女の子、それも髪の毛の短さから中性的な男の子に間違われる事もありそうだなと思った。姉妹と言うよりかは姉弟のようだった。
とその時、僕はアマンダ先生に制止させられた。
「ダメ! あんまり寄らないで!」
僕はびっくりして一歩下がってしまう。
「え? どうかしました?」
その時、僕はミリアさんの様子が少し変わった事に気づいた。
「……お、おとこ……お、おとこのこ……」
何かぶつぶつ呟いて、震えている。さっきよりもミリアさんが小さくなったように感じた。それを見てアマンダ先生は大きくため息を吐いた。
「やっぱりまだダメなのね」
その後、アマンダ先生は振り返って僕にこう告げた。
「伝え忘れて悪いんだけど、ミリアは男性恐怖症なのよ。あまり男性が近くに寄ると、こうなっちゃうの」
「ごめんなさい! 不用意に近づいちゃって!」
「ううん。私が伝えてなかったのが悪いから気にしないで」
アマンダ先生は謝った僕に対して首を横に振って答えた。それから、ミリアさんを抱き締めたのだった。
美人エルフの姉妹の熱い抱擁である。しかも片方は少年のように見える、いや、男の娘と言ってもいいかもしれない。
これで薄い本が書けると大喜びな人達もいるんだろうな……と僕は少し思ってしまった。
何故かそこだけ違った空気を出している二人を、僕たちは冷めた目で見続けることしか出来なかった。
しばらく後、このまま一生続くんじゃないかと思った僕は意を決してその空気を打ち破った。
「えー、ごほん! もう落ち着きましたか?」
その言葉にアマンダ先生とミリアさんはハッとして離れる。
「え、ええ! もう満足よ!」
な、何が満足だったんだ? アマンダ先生は……ちなみにミリアさんは満足そうな顔をしていなかった。
「……お姉さま……この方達は……?」
「この子たちは私の生徒たちよ。アインス君とレオナちゃん、カタリナちゃんよ」
まだ覚醒しきっていないのか、ミリアはぼうっと僕たちの方を見ていた。しかし、次の瞬間、予想外の言葉を発する。
「……もう一人はぁ……?」
僕は一瞬で理解した。もう一人とはリアのことであると。つまりミリアさんも転生者であると。
そして、アマンダ先生には未だに話していないこの場では、誤魔化した方が得策だと判断した。
「き、きっとまだ頭がぼんやりしてるんですよ! そんな事よりもミリアさんがここに来た詳しい話でも聞きましょう!!」
その言葉を聞いて、アマンダ先生はゆっくりと頷いた。どうやらうまくごまかせたみたい。そして、ミリアさんの目を見て尋ねた。
「そうね……ミリア、どうしてこうなったか教えてくれる?」
そしてミリアさんは話し出した。数日前に夢の中で、ロザリーバレーに危機訪れていると知ったこと。これを避けるには、ミリアさんが森の奥深くまで行かなければならないこと。それにより、時間を稼ぐ……と言った具合だった。ちなみにここまで辿り着いたミリアさんは、その後、村長の力で捕えられ意識を刈り取られていたようだった。だから他の人と違い、村長を倒した事により、意識を取り戻す事が出来たみたい。
ちなみに、ミリアさんが話をしている間にリアは僕の鞄に隠れてもらった。
そこまで話をして、ミリアさんはアマンダ先生にこう問いかけた。
「……悪い人を倒したのはお姉さまかしらぁ……」
その言葉にアマンダ先生は頷く。
「ええ、私よ。それがどうかしたの?」
するとミリアさんは首を傾げた。
「……うーん……ぼくの夢に出てた光景だと、あの小さな人を倒したのは、お姉さまじゃないように見えたんだけどぉ……思い出せないのよねぇ……」
小さい人と言う表現に僕は疑問を覚えた。あの悪魔は決して小さくなどない。むしろ大きい。そして、倒した時の光景を見て、あれを人だと思う事はないだろう。
しかし、夢の中の話だ。実際の光景が見える訳では無いかもしれない。そこを追求するのは意味が無いと僕は考えた。どうやらアマンダ先生も同じように感じたみたいだった。
「まぁ夢の中の話だし、絶対って訳じゃないんじゃないかしら? あまり深く考えても仕方が無いわ。さ、行きましょ。一度村に戻って助けを呼ばないと。あの人たちもまだいるから」
指をさして、ミリアさんに倒れている人たちを見せたアマンダ先生。それから、ミリアさんの前に後ろ向きに座ってこう言った。
「ほら、まだ歩くのは厳しいだろうから、背負って行ってあげるわ」
と。
ミリアさんがゆっくりと瞼を空けた。ぼんやりとしていて、まだ状況が理解していないように僕には見えた。
無理に覚醒させる訳にもいかないからか、アマンダ先生はミリアさんがどのような反応を示すのかじっと待っているようだった。
「……あ、あれぇ? お姉さま?」
ミリアさんがアマンダ先生に反応を示した。声だけ聞くとおっとりとした話し方の女性に思える。
「ミリア! 大丈夫?」
「……大丈夫ってぇ? ちょっとまだ頭の中はぼんやりしているけどぉ……」
覚醒しきっていないミリアさんはアマンダ先生の問いにそう答えた。
「まだ目覚めたばかりだし、無理しなくていいわ。とりあえずじっとしてなさい」
「……はぁい……」
僕はアマンダ先生の背中越しに、ひょいとミリアさんを覗き込んだ。正直、一目見て、アマンダ先生の妹と言われてもしっくり来なかった。全然似ていないと思ったからだ。多分、言われないと姉妹だとはわからなかったと思う。
アマンダ先生と違って、背も小さく、顔は幼い。水色のショートヘアで女性と言うよりかは女の子、それも髪の毛の短さから中性的な男の子に間違われる事もありそうだなと思った。姉妹と言うよりかは姉弟のようだった。
とその時、僕はアマンダ先生に制止させられた。
「ダメ! あんまり寄らないで!」
僕はびっくりして一歩下がってしまう。
「え? どうかしました?」
その時、僕はミリアさんの様子が少し変わった事に気づいた。
「……お、おとこ……お、おとこのこ……」
何かぶつぶつ呟いて、震えている。さっきよりもミリアさんが小さくなったように感じた。それを見てアマンダ先生は大きくため息を吐いた。
「やっぱりまだダメなのね」
その後、アマンダ先生は振り返って僕にこう告げた。
「伝え忘れて悪いんだけど、ミリアは男性恐怖症なのよ。あまり男性が近くに寄ると、こうなっちゃうの」
「ごめんなさい! 不用意に近づいちゃって!」
「ううん。私が伝えてなかったのが悪いから気にしないで」
アマンダ先生は謝った僕に対して首を横に振って答えた。それから、ミリアさんを抱き締めたのだった。
美人エルフの姉妹の熱い抱擁である。しかも片方は少年のように見える、いや、男の娘と言ってもいいかもしれない。
これで薄い本が書けると大喜びな人達もいるんだろうな……と僕は少し思ってしまった。
何故かそこだけ違った空気を出している二人を、僕たちは冷めた目で見続けることしか出来なかった。
しばらく後、このまま一生続くんじゃないかと思った僕は意を決してその空気を打ち破った。
「えー、ごほん! もう落ち着きましたか?」
その言葉にアマンダ先生とミリアさんはハッとして離れる。
「え、ええ! もう満足よ!」
な、何が満足だったんだ? アマンダ先生は……ちなみにミリアさんは満足そうな顔をしていなかった。
「……お姉さま……この方達は……?」
「この子たちは私の生徒たちよ。アインス君とレオナちゃん、カタリナちゃんよ」
まだ覚醒しきっていないのか、ミリアはぼうっと僕たちの方を見ていた。しかし、次の瞬間、予想外の言葉を発する。
「……もう一人はぁ……?」
僕は一瞬で理解した。もう一人とはリアのことであると。つまりミリアさんも転生者であると。
そして、アマンダ先生には未だに話していないこの場では、誤魔化した方が得策だと判断した。
「き、きっとまだ頭がぼんやりしてるんですよ! そんな事よりもミリアさんがここに来た詳しい話でも聞きましょう!!」
その言葉を聞いて、アマンダ先生はゆっくりと頷いた。どうやらうまくごまかせたみたい。そして、ミリアさんの目を見て尋ねた。
「そうね……ミリア、どうしてこうなったか教えてくれる?」
そしてミリアさんは話し出した。数日前に夢の中で、ロザリーバレーに危機訪れていると知ったこと。これを避けるには、ミリアさんが森の奥深くまで行かなければならないこと。それにより、時間を稼ぐ……と言った具合だった。ちなみにここまで辿り着いたミリアさんは、その後、村長の力で捕えられ意識を刈り取られていたようだった。だから他の人と違い、村長を倒した事により、意識を取り戻す事が出来たみたい。
ちなみに、ミリアさんが話をしている間にリアは僕の鞄に隠れてもらった。
そこまで話をして、ミリアさんはアマンダ先生にこう問いかけた。
「……悪い人を倒したのはお姉さまかしらぁ……」
その言葉にアマンダ先生は頷く。
「ええ、私よ。それがどうかしたの?」
するとミリアさんは首を傾げた。
「……うーん……ぼくの夢に出てた光景だと、あの小さな人を倒したのは、お姉さまじゃないように見えたんだけどぉ……思い出せないのよねぇ……」
小さい人と言う表現に僕は疑問を覚えた。あの悪魔は決して小さくなどない。むしろ大きい。そして、倒した時の光景を見て、あれを人だと思う事はないだろう。
しかし、夢の中の話だ。実際の光景が見える訳では無いかもしれない。そこを追求するのは意味が無いと僕は考えた。どうやらアマンダ先生も同じように感じたみたいだった。
「まぁ夢の中の話だし、絶対って訳じゃないんじゃないかしら? あまり深く考えても仕方が無いわ。さ、行きましょ。一度村に戻って助けを呼ばないと。あの人たちもまだいるから」
指をさして、ミリアさんに倒れている人たちを見せたアマンダ先生。それから、ミリアさんの前に後ろ向きに座ってこう言った。
「ほら、まだ歩くのは厳しいだろうから、背負って行ってあげるわ」
と。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる