賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第百十一話 ミリアの目覚め

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「う、うーん」

 ミリアさんがゆっくりと瞼を空けた。ぼんやりとしていて、まだ状況が理解していないように僕には見えた。
 無理に覚醒させる訳にもいかないからか、アマンダ先生はミリアさんがどのような反応を示すのかじっと待っているようだった。

「……あ、あれぇ? お姉さま?」

 ミリアさんがアマンダ先生に反応を示した。声だけ聞くとおっとりとした話し方の女性に思える。

「ミリア! 大丈夫?」

「……大丈夫ってぇ? ちょっとまだ頭の中はぼんやりしているけどぉ……」

 覚醒しきっていないミリアさんはアマンダ先生の問いにそう答えた。

「まだ目覚めたばかりだし、無理しなくていいわ。とりあえずじっとしてなさい」

「……はぁい……」

 僕はアマンダ先生の背中越しに、ひょいとミリアさんを覗き込んだ。正直、一目見て、アマンダ先生の妹と言われてもしっくり来なかった。全然似ていないと思ったからだ。多分、言われないと姉妹だとはわからなかったと思う。
 アマンダ先生と違って、背も小さく、顔は幼い。水色のショートヘアで女性と言うよりかは女の子、それも髪の毛の短さから中性的な男の子に間違われる事もありそうだなと思った。姉妹と言うよりかは姉弟のようだった。
 とその時、僕はアマンダ先生に制止させられた。

「ダメ! あんまり寄らないで!」

 僕はびっくりして一歩下がってしまう。

「え? どうかしました?」

 その時、僕はミリアさんの様子が少し変わった事に気づいた。

「……お、おとこ……お、おとこのこ……」

 何かぶつぶつ呟いて、震えている。さっきよりもミリアさんが小さくなったように感じた。それを見てアマンダ先生は大きくため息を吐いた。

「やっぱりまだダメなのね」

 その後、アマンダ先生は振り返って僕にこう告げた。

「伝え忘れて悪いんだけど、ミリアは男性恐怖症なのよ。あまり男性が近くに寄ると、こうなっちゃうの」

「ごめんなさい! 不用意に近づいちゃって!」

「ううん。私が伝えてなかったのが悪いから気にしないで」

 アマンダ先生は謝った僕に対して首を横に振って答えた。それから、ミリアさんを抱き締めたのだった。
 美人エルフの姉妹の熱い抱擁である。しかも片方は少年のように見える、いや、男の娘と言ってもいいかもしれない。
 これで薄い本が書けると大喜びな人達もいるんだろうな……と僕は少し思ってしまった。

 何故かそこだけ違った空気を出している二人を、僕たちは冷めた目で見続けることしか出来なかった。
 しばらく後、このまま一生続くんじゃないかと思った僕は意を決してその空気を打ち破った。

「えー、ごほん! もう落ち着きましたか?」

 その言葉にアマンダ先生とミリアさんはハッとして離れる。

「え、ええ! もう満足よ!」

 な、何が満足だったんだ? アマンダ先生は……ちなみにミリアさんは満足そうな顔をしていなかった。

「……お姉さま……この方達は……?」

「この子たちは私の生徒たちよ。アインス君とレオナちゃん、カタリナちゃんよ」

 まだ覚醒しきっていないのか、ミリアはぼうっと僕たちの方を見ていた。しかし、次の瞬間、予想外の言葉を発する。

「……もう一人はぁ……?」

 僕は一瞬で理解した。もう一人とはリアのことであると。つまりミリアさんも転生者・・・であると。
 そして、アマンダ先生には未だに話していないこの場では、誤魔化した方が得策だと判断した。

「き、きっとまだ頭がぼんやりしてるんですよ! そんな事よりもミリアさんがここに来た詳しい話でも聞きましょう!!」

 その言葉を聞いて、アマンダ先生はゆっくりと頷いた。どうやらうまくごまかせたみたい。そして、ミリアさんの目を見て尋ねた。

「そうね……ミリア、どうしてこうなったか教えてくれる?」

 そしてミリアさんは話し出した。数日前に夢の中で、ロザリーバレーに危機訪れていると知ったこと。これを避けるには、ミリアさんが森の奥深くまで行かなければならないこと。それにより、時間を稼ぐ……と言った具合だった。ちなみにここまで辿り着いたミリアさんは、その後、村長の力で捕えられ意識を刈り取られていたようだった。だから他の人と違い、村長を倒した事により、意識を取り戻す事が出来たみたい。
 ちなみに、ミリアさんが話をしている間にリアは僕の鞄に隠れてもらった。

 そこまで話をして、ミリアさんはアマンダ先生にこう問いかけた。

「……悪い人を倒したのはお姉さまかしらぁ……」

 その言葉にアマンダ先生は頷く。

「ええ、私よ。それがどうかしたの?」

 するとミリアさんは首を傾げた。

「……うーん……ぼくの夢に出てた光景だと、あの小さな人を倒したのは、お姉さまじゃないように見えたんだけどぉ……思い出せないのよねぇ……」

 小さい人と言う表現に僕は疑問を覚えた。あの悪魔は決して小さくなどない。むしろ大きい。そして、倒した時の光景を見て、あれ・・を人だと思う事はないだろう。
 しかし、夢の中の話だ。実際の光景が見える訳では無いかもしれない。そこを追求するのは意味が無いと僕は考えた。どうやらアマンダ先生も同じように感じたみたいだった。

「まぁ夢の中の話だし、絶対って訳じゃないんじゃないかしら? あまり深く考えても仕方が無いわ。さ、行きましょ。一度村に戻って助けを呼ばないと。あの人たちもまだいるから」

 指をさして、ミリアさんに倒れている人たちを見せたアマンダ先生。それから、ミリアさんの前に後ろ向きに座ってこう言った。

「ほら、まだ歩くのは厳しいだろうから、背負って行ってあげるわ」

 と。
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