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END? no,1
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ーーー頬に水を打つ様な冷たさで僕は目が覚めた。
薄暗い。
身体を起こすと廊下が見えた。長くはない。
左右に1つずつドアがある。
僕の背中にもドアが1つあった。
見上げると天井にシミがひろがっていて、水はそこから零れてくる。
ここがどこだか分からない。
思い出そうとして気がついた。
記憶とされるものが何一つない。
人間個人としての情報を何も持ち合わせていないのだ。
背中のドアはこの廊下の端にある。ならば向こう側は外の可能性が高いはずだ。
まだ力の入らない手でゆっくりとノブを回し、重く軋むドアを開けた。
そこは"おそらく"外だった。
葉がひとつも付いていない枯れた木と灰色の空。
無機質な色をした落ち葉が地面を埋めつくしていて、その先には閉鎖感のある霧が立ち込めている。
しかしもう1歩踏み出すと、木が茂り太陽が見えた。
足を進める度に視界が慌ただしく変貌する。
また木が枯れ太陽が黒くなる。虫や鳥が飛び回り、いつの間にか塵しかみえなくなった。
ただ霧だけは居座り続けている。
霧が晴れたとしても今の僕に帰る所はない。なにせ覚えていないのだ。
振り向くと僕が出てきた屋敷があった。
2階建てだが少し古そうな壁だ。
どこか不安な空気があり、不思議な感覚がした。
入口はまだ空いていて中がみえる。
僕は後ずさった。
何かの影が横切ったのだ。何か大きなものが。
今度は明確に『帰りたい』と思った。
が、まだ家すら思い出せはしなかった。
入口から目が離せない。
不意に風がないことに気が付いた。
何故か入口と目が合った気がした。
とたん、周りの木が移動すらしないものの蠢きはじめた。
全身が痺れ、瞼や膝が重くなっていく。
薄れる意識の中で僕は人の嗤う声が聞こえた。
薄暗い。
身体を起こすと廊下が見えた。長くはない。
左右に1つずつドアがある。
僕の背中にもドアが1つあった。
見上げると天井にシミがひろがっていて、水はそこから零れてくる。
ここがどこだか分からない。
思い出そうとして気がついた。
記憶とされるものが何一つない。
人間個人としての情報を何も持ち合わせていないのだ。
背中のドアはこの廊下の端にある。ならば向こう側は外の可能性が高いはずだ。
まだ力の入らない手でゆっくりとノブを回し、重く軋むドアを開けた。
そこは"おそらく"外だった。
葉がひとつも付いていない枯れた木と灰色の空。
無機質な色をした落ち葉が地面を埋めつくしていて、その先には閉鎖感のある霧が立ち込めている。
しかしもう1歩踏み出すと、木が茂り太陽が見えた。
足を進める度に視界が慌ただしく変貌する。
また木が枯れ太陽が黒くなる。虫や鳥が飛び回り、いつの間にか塵しかみえなくなった。
ただ霧だけは居座り続けている。
霧が晴れたとしても今の僕に帰る所はない。なにせ覚えていないのだ。
振り向くと僕が出てきた屋敷があった。
2階建てだが少し古そうな壁だ。
どこか不安な空気があり、不思議な感覚がした。
入口はまだ空いていて中がみえる。
僕は後ずさった。
何かの影が横切ったのだ。何か大きなものが。
今度は明確に『帰りたい』と思った。
が、まだ家すら思い出せはしなかった。
入口から目が離せない。
不意に風がないことに気が付いた。
何故か入口と目が合った気がした。
とたん、周りの木が移動すらしないものの蠢きはじめた。
全身が痺れ、瞼や膝が重くなっていく。
薄れる意識の中で僕は人の嗤う声が聞こえた。
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