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冒険者ギルド

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俺は門兵のおっさんに言われた通りギルドを訪れた。幸い、この世界の文字は全て日本語で読むことが出来た。しかし、街の人の口の動きを観察してみたが、どうやら話している言葉は全く違う言葉のようで、俺だけが日本語に変換されて耳に入ってくるらしい。所謂異世界特有の、言語変換機能だろう。


チラホラと人が疎らにいるギルドに俺は足を踏み入れた。すると、こんな出で立ちのせいか、酷く視線を感じた。

ギルドの中は思ったよりも広々としていて、左側にはいくつものカウンターがあり、等間隔に女の人が待機していて装備を身につけた人達が何やら話し込んでいた。
右側を見ると沢山のテーブルと椅子があり、飲み物を飲んだり、食事をしていたりと人々で賑わっていた。その奥には掲示板のようなものがあり、沢山の紙が貼られていて、ほとんどの人達がその掲示板に集まっていた。



俺は少なくないあちこちから感じる視線を無視して、"受付"とプレートが掲げられている窓口へと歩を進めた。


「すみません」

「こんにちは、どうなさいましたか?」


俺は受付カウンターにいる俺よりも少し低めの受付嬢に声をかけた。

「この街に来る途中に通行証を無くしてしまいました。」

「通行証ですね、茶色の紙はお持ちですか?」

先程貰った茶色の和紙のような紙を受付嬢に渡す。


「お預かり致します。…では、再発行のためもう一度こちらの魔法紙に触れてください」

たしか犯罪を犯したかどうかがわかる紙だっけ。

俺は先程と同じようにちょんと軽く紙に触れた。


「はい、確認致しました。…こちらが新しい通行証になります」

「ありがとうございます…あの、冒険者登録もしたいのですが、できますか?」


この際なので、お金を稼ぐためにも、俺は冒険者登録をしておくことにした。さっきチラリと掲示板のようなものを見かけたのできっとこの世界にも冒険者という職業が存在するだろうと検討をつけ、受付嬢に聞いてみた。


「構いませんよ…冒険者登録なのでこちらの紙に記入をお願いします、文字は書けますか?書けなければ代行致します。」

「あ、大丈夫ですよ(多分)」


そう多分。
俺には異世界特典があるはずだから。


だからきっと大丈夫だろう。

俺はそう信じて、受け取ったペンを走らせた。

さらさらと、名前、年齢を書いていく。

ユキ、18歳…


頭の中では日本語で書いたつもりが、手はサラサラと流れるようにこの世界の文字を書いていき、あっという間に書き終わってしまった。

案の定特典のおかげか問題なく文字を書くことが出来た。
俺はほっと安堵の息を吐き、紙を受付嬢に渡した。

紙を受け取った受付嬢はなにかの機械の中にそれを入れると、シルバーの真新しいカードを持って戻ってきた。


「お待たせ致しました、こちら冒険者カードになります。さしささえなければ冒険者とランク、報酬についてご説明致しますが、如何致しますか?」


「お願いします」


俺は受付嬢からカード受け取りアイテムボックスにしまうと、受付嬢の話を聞いた。


「冒険者のランクにはFランクからSランクまで種類があり、依頼では自分のランクとそのひと段階上のランクまでと、そのひと段階下の依頼を受けることができます。ランクは一定の条件をクリアすると上がります。Cランクからは上がる前に実技試験があり、合格するとランクが上がります。…また、ランク関係なく依頼を受けてなくても倒した魔物や取ってきた薬草などは換金致します。…それから、冒険者には氏名依頼がきたり、危険な魔物が出た場合はランク制限付きの討伐隊が作られることがあります。…ここまででなにか質問はありますか?」


「じゃあ一つだけ、ランクアップの一定条件とは何ですか?」


「はい、一定条件とは例えばFランクであればDランクに上がるのに薬草採取の依頼を10件、民間依頼を3件達成致しますと、Dランクにランクアップとなります、依頼達成数や詳細は全て冒険者カードに記録されていくので、近くランクアップする場合はお教え致しますよ」

「そうなんですか、ありがとうございます」

「はい、では続けますね。…カードの色がありますがあれは…」


その後も、詳しく冒険者についての説明を受けた俺はギルドを後にした。


「それではユキ様、頑張ってくださいね、応援していますよ!」

そう言って手をふって見送ってくれた。


名前はカエラさんと言うらしい。
可愛い受付嬢だった。
けれど、日本に有るまじき身長に驚きはしたが。



門兵のオッサンしかり、受付嬢しかり。
この世界の、と言ってもまだハッキリとは分からないが、少なくともこの街の住民を見る限り平均身長が明らかに日本の平均と大きく異なることが分かった。

俺だって高校生にしては高い188cmの高身長だってのに、受付嬢は180はいかなくてもそれに準ずる身長があったのは確かだ。



それに、おっさんが何故俺を女性だと勘違いをしたのか、それが今はっきりと分かった。

それは俺の身長が女性の高さまでとは行かずとも男性にしては少し小さく、全体的にこの世界の人達と比べると線が細いからだ。

少なくともこの街の男どもは2mはあろうかという巨人ばりだった。


どうやら俺は、日本人からしたら巨人が蔓延る世界に転移してしまったようだ。
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