国を追い出された令嬢は帝国で拾われる

氷雨

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プロローグ

アドルフの後悔、レイラの憂い

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今回はミリアーナの父とレイラ視点です!
いつもより500文字ほど多くなっております!


それでは本編をどうぞ!


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




「アドルフ様、どうか睡眠をとってください!」

「五月蝿い!お前には関係ないことだろう!」

「関係あります!私はこのクルシュナード公爵家の執事です!お願いですからもっと自分の体を大事になさってください!」



「......しかし、私にはあの子だけなんだ..!」



「では、アドルフ様が倒れてしまったらミリアーナ様はどう思うでしょうか?」


「...っ」


「今、お食事を拵えて参りますのでそれまで軽く寝てくださいませ」


「...あぁ......わかった」



「よろしい、それではしばらく失礼致します」

 
バダンッ



「......」



やっと、出て行ったか...まったく昨日からああして言ってくるものだからうるさくて仕方がない...




はぁ...



私はなんて事をしてしまったんだ...


まさかこんな大事になるなんて思いもしなかった......それが分かっていれば婚約など承諾していなかったものを!!

今考えただけで昔の自分が憎くて仕方がない!!
呪い殺したいくらいだ!



14年前に妻をなくして以来何処か空っぽになってしまった心を癒してくれたのはミアだ。


いつもいつも笑顔を振りまき、私が家に帰ることが少なく、辛いだろうに、それでも帰ると必ず笑顔で出迎えてくれる...まだ3歳の子供がだ...!

なんて優しいんだ...我が子供ながら本当に凄いと思う、それに親の贔屓目なしにあの子は可愛い、もう天使だ!!

あの帰って来る時玄関で待っているミアの綺麗な顔が、私が現れた途端花のように綻ぶ様に笑う様はもう天使と言うしかない!


いや、いまはそんなことどうでも良くないがどうでもいい...!


一体昨日のうちに何が起きたと言うんだ?


婚約破棄をされたなどの報告がされた時は、それはもう怒りが抑えられなかったが、その後に舞い込んだミアが攫われたという事件を聞いた途端頭が真っ白になった。
そして、あろう事かミアの従者に手を出してしまった...ロイ君には悪い事をしてしまったな...


それでも、この怒りの矛先をどこに向けたらいいか分からなかった......本当に、私はなんて事をしてしまったんだ...


ダメだ、妻だけでなく、娘まで失ってしまったら私は、私は!!




覚えてろよ、糞王子、お前らの派閥からこの公爵家が抜ければどうなるか思い知らせてやる。



ミアに危害を加えた以上もうこの国に尽くすことは無い、此方からこんな国捨ててやるわ!



そしてこの国を裏側から救いえなくなるほど木っ端微塵に崩壊させてやる。



はっ、国が滅ぶのも近いぞ!今のうちに命乞いを始めておいた方がいいのではないか?



さぁ、いつまで持つかな?




執務室ではただ悪魔のような静かな笑い声が聞こえるばかりだった。






✱ ✱ ✱




私はレイラ・スピンズ。
昨日憎いあの女を森に置き去りにするように家の私兵に命令した。

でも、私の憂いは晴れない...どうして?あの女は消えたのよ?やっぱりいくら人を殺すことに抵抗があるからと言って殺せと命じなかったことを不服に思っているのかしら?


殺しておけばよかったわ...


でも、やっぱり、人は殺せないわよ...


だって、いくら、憎いからと言ってあの女は、あの女は、私の...


いけない!感傷に浸ってはダメよ!
思い出しなさい!私はあの女のせいでどうなった?あの女のせいで私はどんな惨めな思いをした!?


思い出せば何時もそうよ!あいつはいつもいつも私の大切な物を、人を、友情を、愛情を奪っていった!!思い出しなさい!私の今手に残っているものは何!?何も無いじゃない!!

それもこれも全部あの女のせいだ!!





でも、少しスッキリしたことがある。


それは、あいつの婚約者を奪ったことだ。

なんて高揚感なの!
今までの憂いが嘘のように軽くなったわ!


そうよ!このまま復讐し続ければいいんだわ!!



手羽染めに公爵家かしら?


あっはは!!王太子を奪った以上怖いものなんて何も無いわ!!


ミリアーナも、公爵家もこの私が潰してあげる!




今貴方がこの国を離れている間公爵家はどうなる
んでしょうね?


あー、自分がいない間に公爵家が消えていたらあの女をどんな顔をするかしら?


今からとっても楽しみで仕方がない。


精々、苦しむといいわ!!








レイラの心はミリアーナに向けた復讐心しか無かった。


レイラはまだ知らない、ジルクレイドを奪い色々な我儘を言うレイラに目をつけたアドルフに監視され、潰す側ではなく逆に着々と追い詰められることになるとは......知る由もなかった。






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

まさか、ミリアーナが攫われたことで魔王が降臨するなんて...!!((((;゚Д゚)))))))ガクブル

それと、なんかレイラの悲劇のヒロイン感が凄い...!!

誰だこんな設定にしたの!!
私だ!!(o゚Д゚)=◯)`3゜)∵ヘブッ


何この茶番...

次回からは帝国編が始まります!遂に恋愛に持ってける!!

うるさくしてすみませんでした...。
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