国を追い出された令嬢は帝国で拾われる

氷雨

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帝国編

令嬢、帝国を目指す

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皆さんありがとうございます!!
これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!


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「マリアさん、シーラちゃん、短い間でしたがどうもありがとうございました」



「いえいいのです、逆にこんな辺鄙な教会にこんなに綺麗で優しいお姉さんが来てシーラも喜んでいましたから」



「そう言って貰えると私も嬉しいです!」


これから私はクラシウス帝国まで向かうことになる。何故ならお金が無いからだ、あそこに行けばきっと何かしら職にありつけるはず!と思った私は今日この教会を発とうとしていた。


「少ないですが、どうぞ持っていってください」



そう言ったマリアさんはスカートのポケットから小さな絹袋を取り出すと、それを私に差し出してきた。



「これは...?」


「旅の資金に使ってください」


「...!!そんな!私は大丈夫ですから!」


いくら私が訳ありで無一文だからといって、教会の、ましてや、少ない教会の資金を貰うなんて!


「いいえ、これは困った人に差し上げるお金です、言わばこの教会の資金であり生活資金とは別なのです、ですから受け取ってください」


本当に受け取ってもいいんだろうか?


でもマリアさんの気持ちを無下にする訳にも行かないし......ここは有難く受け取っておきましょうか...。


「では、有難く受け取らせていただきますね」


「はい、どうぞ」


チャリンっと音がする絹袋を受け取り、マリアさんに貰った服と一緒に、同じく貰ったサイドバックに入れる。


よしっ、別れが辛くなる前に行こうかな。


「マリアさん、シーラちゃん、本当に今までありがとうございました、それでは御機嫌よう!」


「じゃーね、ミリアーナさん!また、会おうね!!」


「神の御加護があらんことを、ミリアーナさんまたいらしてください、ここはもう貴方の第二の家です」


第二の家、か、嫌だわマリアさん、そんなこと言われたら涙が出てきちゃうじゃない、こんな別れの時に言わなくてもいいのに...もう。


私は歩き出すと同時に2人にもう一度「さようなら」と言い、淑女の仮面じゃない、嘘偽りのない純粋な笑顔を向けて手を振った。


いい人達だったな...また、会えるよね?




私はこれから1人で国を超えて、クラシウス帝国まで行かなければいけない、そう考えると不安ばかりが頭を過ぎるが、マリアさん、シーラちゃんの事を思い出せば自然と元気が出てきた。



「よしっ、いざクラシウス帝国へ!!」


行きますわよ~!!







✱  ✱  ✱




私はマリアさんから教えて貰った道を頼りにサントピューレ王国の中心街に行きクラシウス帝国行きの馬車を捕まえた。



「お嬢ちゃん、帝国に行きたいのかい?」


「はい、いくらですか?」

「80ギルだ」


私はさっと業者の人にお金を差し出した。


「毎度あり!」


そうして私は無事馬車に乗り込むと2日はかかると言われているクラシウス帝国まで向かった。









✱ ✱ ✱





ある王城の一室で、2人の男が静かな睨み合いを繰り広げていた。1人は扉の前で腕を広げ、行く手を阻み、もう1人はその男をどうやって扉から離そうかと色々な言葉で揺さぶりをかけては失敗し、揺さぶりを掛けてはまた失敗する、なんて事が先程から繰り返されていた。


「おいアイザック、諦めの悪い男は嫌われるぞ?」


「その言葉そのままそっくり返して差し上げます、陛下」



「む、しかしだな、私だって休みが欲しい...」


「私だって欲しいですよ!?何言ってんすか!」


「おい、やっぱりお前、名前と性格が合っていないぞ?」


「そんなことは分かってますよ!いいから執務机に戻って仕事しろ!仕事!!」




「...うるさ」

「何か言いましたか?」

「......」


扉の前で腕を広げる男は一層目の前の男を警戒し、今度は何をする気かと神経を研ぎ澄ませながら相手の動向を伺い始めた。



「......今なにかよからぬ事を考えていますね?」


そしてその考えが見事に的中し目の前の男が動き出す。


「あ、た、り、だ!!」



そう言うやいなや、男は扉に背を向け思いっきり窓の方へと走り出した。



「...おい、まさかお前!」

「そのまさかだ!!」





男は窓を全開に開くと右足を窓枠に掛け______
______飛び降りた。



「...嘘だろ...」





室内には扉から一歩も動くことが叶わなかった男の呆れにもとれる呟きが虚しく響いた。





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なんかテンポが早くて内容が入ってこなさそうな文章になりました......すいませんorz

今回も見てくださった皆様、どうもありがとうございました。


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