縁の鎖

禍の足音

合格通知

合格通知書がソーディア公爵家のタウンハウスに届けられた。
準備もある事から、入学は3ヶ月後になった。

ちょうど公爵家の事件から2年が経ち、ジュエリアがカーネリアンとの婚礼を1年後に控える時期だった。

「ロベルト！直ぐに領地へ使いを出せ！フィサリスに王都へ来るよう伝えるのだ！」

公爵家はフィサリスの合格通知を受け、活気付いていた。



公爵領の邸に、合格通知が届く。
同時にジェイドからの手紙も届いた。

「お嬢様。おめでとうございます。旦那様から、手紙を預かってまいりました。」

ロベルトに扮したディラがフィサリスに、祝いの言葉を伝える。

「ありがとう！！テルルの指導のお陰よ！」
「勿体無い、お言葉です。お嬢様の努力の結果ですよ。」
「ふふふふふ。初めて行く王都と、学園に今からワクワクするわ！直ぐに王都へ行く準備をしなければ！！」
「お手伝いいたします。」

テルルがフィサリスの荷造りを手伝い始めた。

「お嬢様、住まいは如何いたしますか？学園には寮もございますが、公爵家から通うことも可能です。如何なさいますか？旦那様より、お嬢様の考えを聞いて来るよう言われております。」
「寮に入居したら、テルルと離れる事になるのでしょう？」
「私は学園に合格された今、女家庭教師ガヴァネスを辞さなければならないのです。お嬢様が寮に入居されることに関係なく、お暇を頂戴することになりました。」
「え！？そうなの？テルルは、ずっと一緒にいてくれるものだと思っていたわ。」
「申し訳ありません。旦那様からの手紙で、お暇を頂戴いたしました。」

フィサリスは暫く、無言で荷造りを進める。


「ロベルト、寮に入るとタウンハウスに、なかなか帰れなくなるのかしら？」
「その様なことはございません。寮に入居されていても申請を出せば、いつでもお帰りいただけます。」
「そうなのね！だったら、寮に入居するわ。寮に居た方が、お友達ができやすいと思うの。」
「畏まりました。では私は一足先に、王都へ向かいます。ご入学の準備や、寮の手配などを進めさせて頂きます。」


ディラが出立した5日後に、フィサリスも王都を目指して公爵領を後にする。