24 / 79
13-B・素敵な夏休み
しおりを挟む
な・つ・や・す・み・だぁーっ!
なんだかんだと過ごしているうちに、目出度く夏休みが参りました。
今の学力じゃ卒業も危ういけれど、とりあえず夏休みを楽しもう。
三人には、一日一回でいいから食事の写メを送ってくれと言われている。夏休みだから多少は仕方がないけれど、一日に一回くらいはバランスの取れた食事をしていると確認させて欲しいそうだ。……あの三人は『私係』なのだろうか。ウサギ小屋にいる気分。ニワトリなら卵をお返しできるのに、残念。
今日は制服を着て学園にやって来ました。
ん? 十八歳以上でも制服は着るよ? 学生だからね! 大学生は着てないって? ははは、気にすんな!
夏休みでも特別講習はあるし部活もあるしで、校内は賑わっている。むしろ通常の授業がなくていつでもだれかは休み時間なため、どの時間も騒がしい気がする。購買だけは昼休みに生徒が集中しないので余裕な雰囲気である。
私がひとりで学園に来たのは、購買でパラメータを上げるパンを買うためだ。
人間が販売している購買にランダムボタンはないが、本日のお勧めコーナーがある。普通のコーナーで売っているのを見たことないが、前日の売れ残り品らしい。
学力を上げるクリームパンが売ってたら買い込むぞー! と思っていたら、今日のお勧め品は魅力を上げる野菜のパウンドケーキでした。残念!
ハイテンションなのは、昨夜徹夜してゲームをやりまくったからだと思う。
いや、夏休みは始まったばかりだし、三人とも忙しいから勉強会はしばらくないし、もうすぐスマホゲーのキャンペーン始まるから多少はね? それに学力上げるクリームパン買いに来たし!
夕食はちゃんとコンビニかお弁当屋さんで栄養バランスを考えたお弁当を買おう。などと思いながら、購買の通常コーナーを覗き込む。三人のお弁当は美味しかったけど、たまにはジャンクフード食べたい。
「わあ……」
隣で、どこか聞き覚えのある声が嬉し気な吐息を漏らしたのに気づいて顔を向ける。
そこには、水色の髪を窓からの風になびかせた白皙の美少年がいた。蒼吾君は背が高くて大人っぽいので美青年かな? って感じだが、小柄な彼は完ぺきに美少年である。
……あー。蒼吾君の弟の蒼馬君だあ。
クラスも学年も違うので面識はない。
私はパンを選んでいる振りをして、彼から視線を外した。
チョコを練り込んだクルミパンとモンブランどら焼き買ーおうっと。蒼馬君はお勧め品の野菜のパウンドケーキをあるだけ購入していた。彼は魅力対応のライバルキャラなのでさもありなん。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
『ラストサマーメモリー』は男性向けのエロゲだったので、表示される肌色は基本的に女の子のものだ。
男性主人公の体を除けば、唯一表示される男性の裸体が蒼馬君のものだった。
魅力を上げるために彼の友情ルートに入って、彼とほかの女の子を結びつけるNTRキューピッドプレイをせず一途に進めて行くと、女装を始めた彼との男の娘エンドが待っている。それまでは小柄でも硬くしなやかな少年の体だったのが、女装を始めた途端に中性的でふっくらした女性っぽい体になると言って、前世の友には大変不評だった。
私は……まあゲームだし、愛があればいいんじゃない? とは思うものの、蒼馬君がHの最中に連発する淫語が苦手だった。彼は淫語キャラだったのだ。
もっとも不満を口にしていたのは前世の友と私くらいで、本来の客層である男性陣には好評だったらしい。いきなり体形が変わるのは、男性主人公への強い愛が起こした奇跡なんだってー。
男性向けエロゲにおいて、男の娘キャラの攻略対象の存在は伝統だそうだ。
チョコを練り込んだクルミパンとモンブランどら焼きという、明らかなお菓子パンを購入してしまった私は、飲み物は日本茶か無糖の紅茶がいいと思った。いや、無糖のコーヒーでもいいけど。
なので、それらを求めて校内の自販機を回っていたのだが──ないよ? 日本茶系は売り切れだし、紅茶もコーヒーもお砂糖たっぷりだよ?
そりゃ脳には糖分が必要って聞くから、学生には甘いものなのかもしれないけど!
そんなこんなで彷徨い続けた挙句、私は裏庭自販機に辿り着いていた。
もちろんランダムボタンを押す気はない。
普通にボタン通りの商品が出るほうに、学力の上がらない日本茶があるからだ。しかし、そこには先客がいた。
「このミックスジュース美味しいのに、どうしてほかの自販機には入らないんだろう」
魅力の上がるミックスジュースを手にして可愛く首を傾げている少年は、
「蒼馬君……」
私はがっくりと肩を落とした。
なんだかんだと過ごしているうちに、目出度く夏休みが参りました。
今の学力じゃ卒業も危ういけれど、とりあえず夏休みを楽しもう。
三人には、一日一回でいいから食事の写メを送ってくれと言われている。夏休みだから多少は仕方がないけれど、一日に一回くらいはバランスの取れた食事をしていると確認させて欲しいそうだ。……あの三人は『私係』なのだろうか。ウサギ小屋にいる気分。ニワトリなら卵をお返しできるのに、残念。
今日は制服を着て学園にやって来ました。
ん? 十八歳以上でも制服は着るよ? 学生だからね! 大学生は着てないって? ははは、気にすんな!
夏休みでも特別講習はあるし部活もあるしで、校内は賑わっている。むしろ通常の授業がなくていつでもだれかは休み時間なため、どの時間も騒がしい気がする。購買だけは昼休みに生徒が集中しないので余裕な雰囲気である。
私がひとりで学園に来たのは、購買でパラメータを上げるパンを買うためだ。
人間が販売している購買にランダムボタンはないが、本日のお勧めコーナーがある。普通のコーナーで売っているのを見たことないが、前日の売れ残り品らしい。
学力を上げるクリームパンが売ってたら買い込むぞー! と思っていたら、今日のお勧め品は魅力を上げる野菜のパウンドケーキでした。残念!
ハイテンションなのは、昨夜徹夜してゲームをやりまくったからだと思う。
いや、夏休みは始まったばかりだし、三人とも忙しいから勉強会はしばらくないし、もうすぐスマホゲーのキャンペーン始まるから多少はね? それに学力上げるクリームパン買いに来たし!
夕食はちゃんとコンビニかお弁当屋さんで栄養バランスを考えたお弁当を買おう。などと思いながら、購買の通常コーナーを覗き込む。三人のお弁当は美味しかったけど、たまにはジャンクフード食べたい。
「わあ……」
隣で、どこか聞き覚えのある声が嬉し気な吐息を漏らしたのに気づいて顔を向ける。
そこには、水色の髪を窓からの風になびかせた白皙の美少年がいた。蒼吾君は背が高くて大人っぽいので美青年かな? って感じだが、小柄な彼は完ぺきに美少年である。
……あー。蒼吾君の弟の蒼馬君だあ。
クラスも学年も違うので面識はない。
私はパンを選んでいる振りをして、彼から視線を外した。
チョコを練り込んだクルミパンとモンブランどら焼き買ーおうっと。蒼馬君はお勧め品の野菜のパウンドケーキをあるだけ購入していた。彼は魅力対応のライバルキャラなのでさもありなん。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
『ラストサマーメモリー』は男性向けのエロゲだったので、表示される肌色は基本的に女の子のものだ。
男性主人公の体を除けば、唯一表示される男性の裸体が蒼馬君のものだった。
魅力を上げるために彼の友情ルートに入って、彼とほかの女の子を結びつけるNTRキューピッドプレイをせず一途に進めて行くと、女装を始めた彼との男の娘エンドが待っている。それまでは小柄でも硬くしなやかな少年の体だったのが、女装を始めた途端に中性的でふっくらした女性っぽい体になると言って、前世の友には大変不評だった。
私は……まあゲームだし、愛があればいいんじゃない? とは思うものの、蒼馬君がHの最中に連発する淫語が苦手だった。彼は淫語キャラだったのだ。
もっとも不満を口にしていたのは前世の友と私くらいで、本来の客層である男性陣には好評だったらしい。いきなり体形が変わるのは、男性主人公への強い愛が起こした奇跡なんだってー。
男性向けエロゲにおいて、男の娘キャラの攻略対象の存在は伝統だそうだ。
チョコを練り込んだクルミパンとモンブランどら焼きという、明らかなお菓子パンを購入してしまった私は、飲み物は日本茶か無糖の紅茶がいいと思った。いや、無糖のコーヒーでもいいけど。
なので、それらを求めて校内の自販機を回っていたのだが──ないよ? 日本茶系は売り切れだし、紅茶もコーヒーもお砂糖たっぷりだよ?
そりゃ脳には糖分が必要って聞くから、学生には甘いものなのかもしれないけど!
そんなこんなで彷徨い続けた挙句、私は裏庭自販機に辿り着いていた。
もちろんランダムボタンを押す気はない。
普通にボタン通りの商品が出るほうに、学力の上がらない日本茶があるからだ。しかし、そこには先客がいた。
「このミックスジュース美味しいのに、どうしてほかの自販機には入らないんだろう」
魅力の上がるミックスジュースを手にして可愛く首を傾げている少年は、
「蒼馬君……」
私はがっくりと肩を落とした。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる