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第一部
魔物の森の聖女③
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祭壇に『破邪の指輪』を置き、神聖魔法の結界をその指輪を基軸にして発動した。
結界術は基軸となる点を中心に発動する。
基軸は術者の任意で決めることができ、今回は『破邪の指輪』を基軸にする。
『破邪の指輪』はその名前の通り邪悪を打ち破る機能がある。
瘴気を追い払ったり、弱体化させる破邪の術が込められている。
この世界の最大勢力の教団は『アウレリア教』だ。
創造神アウレリア神を祀っていて世界中にたくさんの信徒を抱える。
わたしたち勇者一行にいたあの神官もこの教団の一員だ。
ほかにも弱小教団が様々あるらしいが力は微々たるものらしい。
神々を祀る神殿に仕える者たち、神官やその一つ上の階級の大神官、さらに上にいる枢機卿や教皇などの神職が使う奇跡、それを破邪の術という。
もっとも戦うのは神官がほとんどで、それ以上は管理職や名誉職のようだ。
なお神官にも階級があるらしいが興味がなくて覚えていない。
ちなみに神の力を借りて魔法を行使するのが、神官。
己の体内魔力を使用して魔法を行使するのを、魔導士と呼ぶ。
魔導士の魔法は人類の研鑽の歴史によって生み出された。
医学や薬学にも通じる人体と魔力の研究と実践で何千年もかけて編み出された人類発の魔法だ。
そのためか学者や研究者肌な人物が多く頭の良さを鼻にかけた自信家がほぼ占める。
自分より学のない相手と見ると見下したり馬鹿にしたりすることが往々にしてあるらしい。
つまりは性格悪い率高い人種。
勇者一行にいた魔導士もそんなんだった。
銀が混ぜられた合金製の指輪にはなんの飾りもなく、ぐるりと一周文字が掘られ、その溝に術が込められているようだ。
発動して数秒待つが思ったような変化が起きない。
「あれ…? 結界を張ったのに瘴気が追い払われも弱くもならない」
「…いや、払われてはいるようだよ。瘴気が流れている。払われたそばからまた湧いている…?」
よく見れば煙が風で流れるように、瘴気も流れがあるのが見える。
そして湧き水のようにこんこんと地面から湧いているようだ。
「土地に瘴気が溜まりに溜まってて表面だけ払ってもまた出てくるのかな…」
これ、キリがないな。
瘴気が延々出てきている。
湧きが止まらない。
このままだといつまで経っても結界の効果が出ない気がする。
…原因は土地にあるわけだよね。
大元の原因の土地を綺麗さっぱり瘴気を取り除く、つまり浄化しないとこの場所は元の姿には戻らないのだろう。
土地、地面に浄化をかけたことはない。
魔力量は足りるだろうか、そもそも土地を浄化ってできるのだろうか。
聖女講座ではそういう方法は習わなかったけどあれは基礎編で、もっと高度な応用編とかであるのだろうか。
うーん、わからないけど、まあ乗りかかった船だ、やってみよう。
街道で魔物に襲われて亡くなった人も出てるし、見て見ぬふりしてこのまま手をこまねくのも後味が悪い。
わたしは術を唱えた。
対象は土地の中の瘴気、魔物と同じ。
だからきっと神聖魔法が効くだろう。
広範囲でわたしを、この結界の中心にして発動する上級神聖魔法。
「ホーリーレイン」
魔力により白い霧が森の上を覆い、一気に視界全てに光の雫が降り注ぐ。
雫は地面に吸い込まれた。
あたり一面の地面が光輝く。
輝きは一瞬。
しかし光がおさまった後、状況は一変していた。
「瘴気が感じられない。森中に漂っていた瘴気が跡形もない。これはすごい…」
地面はおろか全身にまとわりつくような瘴気の気配がなくなっていた。
祭壇の所から湧き出ていた瘴気もまったくない。
それどころか森のあちこちにあった瘴気もない。
魔物の気配もない。
あるのは自然豊かな普通の森。
わたしは立ちくらみがして座り込んだ。
魔力を使い果たしたし、怪我から回復したばかりだからだろう。
それはそうと、「聖女なんかやってられるか」って啖呵きったのに聖女っぽいことをしてしまった。
こんなつもりじゃなかったんだけどな…。
結界術は基軸となる点を中心に発動する。
基軸は術者の任意で決めることができ、今回は『破邪の指輪』を基軸にする。
『破邪の指輪』はその名前の通り邪悪を打ち破る機能がある。
瘴気を追い払ったり、弱体化させる破邪の術が込められている。
この世界の最大勢力の教団は『アウレリア教』だ。
創造神アウレリア神を祀っていて世界中にたくさんの信徒を抱える。
わたしたち勇者一行にいたあの神官もこの教団の一員だ。
ほかにも弱小教団が様々あるらしいが力は微々たるものらしい。
神々を祀る神殿に仕える者たち、神官やその一つ上の階級の大神官、さらに上にいる枢機卿や教皇などの神職が使う奇跡、それを破邪の術という。
もっとも戦うのは神官がほとんどで、それ以上は管理職や名誉職のようだ。
なお神官にも階級があるらしいが興味がなくて覚えていない。
ちなみに神の力を借りて魔法を行使するのが、神官。
己の体内魔力を使用して魔法を行使するのを、魔導士と呼ぶ。
魔導士の魔法は人類の研鑽の歴史によって生み出された。
医学や薬学にも通じる人体と魔力の研究と実践で何千年もかけて編み出された人類発の魔法だ。
そのためか学者や研究者肌な人物が多く頭の良さを鼻にかけた自信家がほぼ占める。
自分より学のない相手と見ると見下したり馬鹿にしたりすることが往々にしてあるらしい。
つまりは性格悪い率高い人種。
勇者一行にいた魔導士もそんなんだった。
銀が混ぜられた合金製の指輪にはなんの飾りもなく、ぐるりと一周文字が掘られ、その溝に術が込められているようだ。
発動して数秒待つが思ったような変化が起きない。
「あれ…? 結界を張ったのに瘴気が追い払われも弱くもならない」
「…いや、払われてはいるようだよ。瘴気が流れている。払われたそばからまた湧いている…?」
よく見れば煙が風で流れるように、瘴気も流れがあるのが見える。
そして湧き水のようにこんこんと地面から湧いているようだ。
「土地に瘴気が溜まりに溜まってて表面だけ払ってもまた出てくるのかな…」
これ、キリがないな。
瘴気が延々出てきている。
湧きが止まらない。
このままだといつまで経っても結界の効果が出ない気がする。
…原因は土地にあるわけだよね。
大元の原因の土地を綺麗さっぱり瘴気を取り除く、つまり浄化しないとこの場所は元の姿には戻らないのだろう。
土地、地面に浄化をかけたことはない。
魔力量は足りるだろうか、そもそも土地を浄化ってできるのだろうか。
聖女講座ではそういう方法は習わなかったけどあれは基礎編で、もっと高度な応用編とかであるのだろうか。
うーん、わからないけど、まあ乗りかかった船だ、やってみよう。
街道で魔物に襲われて亡くなった人も出てるし、見て見ぬふりしてこのまま手をこまねくのも後味が悪い。
わたしは術を唱えた。
対象は土地の中の瘴気、魔物と同じ。
だからきっと神聖魔法が効くだろう。
広範囲でわたしを、この結界の中心にして発動する上級神聖魔法。
「ホーリーレイン」
魔力により白い霧が森の上を覆い、一気に視界全てに光の雫が降り注ぐ。
雫は地面に吸い込まれた。
あたり一面の地面が光輝く。
輝きは一瞬。
しかし光がおさまった後、状況は一変していた。
「瘴気が感じられない。森中に漂っていた瘴気が跡形もない。これはすごい…」
地面はおろか全身にまとわりつくような瘴気の気配がなくなっていた。
祭壇の所から湧き出ていた瘴気もまったくない。
それどころか森のあちこちにあった瘴気もない。
魔物の気配もない。
あるのは自然豊かな普通の森。
わたしは立ちくらみがして座り込んだ。
魔力を使い果たしたし、怪我から回復したばかりだからだろう。
それはそうと、「聖女なんかやってられるか」って啖呵きったのに聖女っぽいことをしてしまった。
こんなつもりじゃなかったんだけどな…。
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