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第一部
フェルディナンド・ロンバルディ、そしてバルコニーにて①
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「…勇者の一族にもろくでなしが生まれるんだな」
我に帰って混乱している場をおさめ、わたしの召喚からの一連の流れをフェルディナンドに二人で補足し合いながら説明した。
深く息を吐き出し述べた感想は、現在王位についているウィルの叔父への侮蔑の言葉だった。
彼は話の最中は前傾姿勢で顔をわたしたちに向けていたが、段々と眉間に縦縞が寄っていき、聞き終わると額を右手で覆いうなだれてしまった。
「聖女猊下への恐喝、強要、侮辱罪の上に勇者の殺人未遂? 目眩がする…」
「僕の殺人未遂はまだ発生していないよ。…時間の問題だっただろうけれど」
「お前とんでもない案件持ち込んでくれたな… 世界存亡の危機を救う聖女と勇者の英雄譚は子どもから老人まで子守り唄から聖書までありとあらゆる形で世界中の人間が知ってる。なのによりによって勇者の国の一族の王が魔王も引くほどの外道で罰当たりっぷり。オレの心が耐えられん…」
なにやらわたしの想像よりはるかにショックを受けてしまっている。
呻きを聞くにこの世界の常識として聖女と勇者は英雄視されていて、神様なり聖人のような格のようだ。
そうか、普通の感覚はこうなのか。
わたしは本当にひどい扱いを受けていたんだな。
祀る対象に奴隷契約はまともではない。
「聖女猊下、ご安心ください。私も、このロンバルディ王国も、決して猊下に無礼な行いを致しません。命に変えても御身をお守りします」
フェルディナンド氏、いや殿下にまた跪かれた。
見回したら室内の全員が跪ずいていた。
フェルディナンド殿下の護衛の騎士二人もやってるけどやめて!
いや、女好きなチャラそうなタメ口な王子様はどこいった。
ちゃんとしてるな。
あと猊下って宗教の偉い人につける尊称じゃなかった?
扱いが急に変わって落ち着かない。
「いえっ、あの普通に話してくださいっ」
「しかし、尊きお方にそのような無礼は」
「いいのでやめてくださいっ 落ち着かないので座って普通に話しましょうっ」
しぶしぶといった感じでフェルディナンド殿下とはソファーに座り直し、護衛たちはもとの直立不動で扉前に戻った。
「…では先程の亡命のお話ですが、もちろんお二人ともお受けします。もし反対されても押し通します。しかし心配はいらないかと。我が国の国王陛下はウィリアムを前々から支持しておりましたから喜んで協力したしましょう」
「君のお父上が僕を支持していたとはどういうことだい?」
「父上はお前の父上、先代エルグラン王を盟友だとおっしゃっていた。国民を想い、家族を愛し、勇者一族としての気高さも持つ敬意や尊敬すら抱く王だと。王子の身分だった頃から交流があり、お互い王太子だということもあり親近感もあったそうだ。その息子であるお前も父王と同じく名君となる器だと確信していたそうだ」
「親しかったとは知らなかったな。しかしそうか、光栄だ」
「おれも学園でのお前のこと伝えてたし、父上はお前が王になるの大歓迎なのさ。それが叔父である現国王から殺人未遂だ。これは父上は見過ごさないだろう」
「ありがたい。それにフェルディナンド、突然の訪問にも関わらず協力してくれて感謝する」
「よせよ。お前には学園で散々助けてもらったからな。その借りを返してるだけだ」
「君を助けたのは毎回女性関係の揉め事の仲裁だったが…懲りていないようだね…」
学園のときからとはこれ反省してないな。
我に帰って混乱している場をおさめ、わたしの召喚からの一連の流れをフェルディナンドに二人で補足し合いながら説明した。
深く息を吐き出し述べた感想は、現在王位についているウィルの叔父への侮蔑の言葉だった。
彼は話の最中は前傾姿勢で顔をわたしたちに向けていたが、段々と眉間に縦縞が寄っていき、聞き終わると額を右手で覆いうなだれてしまった。
「聖女猊下への恐喝、強要、侮辱罪の上に勇者の殺人未遂? 目眩がする…」
「僕の殺人未遂はまだ発生していないよ。…時間の問題だっただろうけれど」
「お前とんでもない案件持ち込んでくれたな… 世界存亡の危機を救う聖女と勇者の英雄譚は子どもから老人まで子守り唄から聖書までありとあらゆる形で世界中の人間が知ってる。なのによりによって勇者の国の一族の王が魔王も引くほどの外道で罰当たりっぷり。オレの心が耐えられん…」
なにやらわたしの想像よりはるかにショックを受けてしまっている。
呻きを聞くにこの世界の常識として聖女と勇者は英雄視されていて、神様なり聖人のような格のようだ。
そうか、普通の感覚はこうなのか。
わたしは本当にひどい扱いを受けていたんだな。
祀る対象に奴隷契約はまともではない。
「聖女猊下、ご安心ください。私も、このロンバルディ王国も、決して猊下に無礼な行いを致しません。命に変えても御身をお守りします」
フェルディナンド氏、いや殿下にまた跪かれた。
見回したら室内の全員が跪ずいていた。
フェルディナンド殿下の護衛の騎士二人もやってるけどやめて!
いや、女好きなチャラそうなタメ口な王子様はどこいった。
ちゃんとしてるな。
あと猊下って宗教の偉い人につける尊称じゃなかった?
扱いが急に変わって落ち着かない。
「いえっ、あの普通に話してくださいっ」
「しかし、尊きお方にそのような無礼は」
「いいのでやめてくださいっ 落ち着かないので座って普通に話しましょうっ」
しぶしぶといった感じでフェルディナンド殿下とはソファーに座り直し、護衛たちはもとの直立不動で扉前に戻った。
「…では先程の亡命のお話ですが、もちろんお二人ともお受けします。もし反対されても押し通します。しかし心配はいらないかと。我が国の国王陛下はウィリアムを前々から支持しておりましたから喜んで協力したしましょう」
「君のお父上が僕を支持していたとはどういうことだい?」
「父上はお前の父上、先代エルグラン王を盟友だとおっしゃっていた。国民を想い、家族を愛し、勇者一族としての気高さも持つ敬意や尊敬すら抱く王だと。王子の身分だった頃から交流があり、お互い王太子だということもあり親近感もあったそうだ。その息子であるお前も父王と同じく名君となる器だと確信していたそうだ」
「親しかったとは知らなかったな。しかしそうか、光栄だ」
「おれも学園でのお前のこと伝えてたし、父上はお前が王になるの大歓迎なのさ。それが叔父である現国王から殺人未遂だ。これは父上は見過ごさないだろう」
「ありがたい。それにフェルディナンド、突然の訪問にも関わらず協力してくれて感謝する」
「よせよ。お前には学園で散々助けてもらったからな。その借りを返してるだけだ」
「君を助けたのは毎回女性関係の揉め事の仲裁だったが…懲りていないようだね…」
学園のときからとはこれ反省してないな。
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