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第一部
フェルディナンド・ロンバルディ、そしてバルコニーにて②
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「あ、聖女様、貴方様にも父と会っていただきたいのでウィリアムと共に王都に行っていただきたいのですがよろしいでしょうか?」
「は、はい。わかりました」
とりあえずは彼らと共に王都か、保護してくれそうで助かる。
ウィルの味方をしてくれそうだしこの王子様や護衛騎士たちを見るにわたしも大事にしてくれそうだ。
しばらくの拠点は確保できそうだけどこれからどう動こう。
帰る方法を調べたいけどどうやればいいだろう。
「それから、聖女様の望む『異世界に帰る手段の情報』も王都に行けば手に入る可能性があります」
「え!?」
「『聖女アスカの日記』という400年前の聖女が書いた日記を王家が保管しています。異世界の言語で書かれているので我々には内容がわからないのですが、聖女様には読めるかと。そのなかに手がかりがあるかもしれません」
花が咲くような笑顔で喜びの声を上げて感謝の言葉を口にした聖女様を、侍女に客室に案内するよう指示し見送った。
隣で共に立ち上がり見送った旧友の顔色は悪く、疲労の色が濃い。目の下にうっすら隈もある。
どちらかといえば体力的なものより精神的なものだろう。
「お疲れ、ウィル。よく生きて戻った! 安心して頼れ、そんで今日はゆっくり休め」
「ああ、ありがとうフェルディナンド。世話になる」
力無い声に聞いたもろもろの出来事が浮かぶが話し合いの前よりも気落ちしている様を見て察する。
「嬉しそうに笑ってたな、聖女様。よっぽど帰りたいんだな。まあ、無理もない。俺たちが言うなってやつだろうが」
縋りついて、頭を下げて、謝りたおして「助けてください」と言って引き留めたい。
どんなに無様だろうが世界を救う為に聖女である彼女の助力は喉から手が出るほど欲しい。
けど、それはあまりにも調子の良すぎる話だ。
一連の彼女の扱いはもっての外だが、異世界人に頼るのがおかしいという点が鈍器で頭を殴られたらこうなるのだろうという衝撃を受けた。
考えたことがなかった。
そして考えもせず聖女様と称えて丸投げしていたこの世界と自分を含めた人々が情けない。
王宮に戻ったら自分も色々調べなければと考えを巡らせているとウィルがポツリとこぼした。
「…僕はあんなに嬉しそうなリンカの笑顔を初めて見た…」
「は、はい。わかりました」
とりあえずは彼らと共に王都か、保護してくれそうで助かる。
ウィルの味方をしてくれそうだしこの王子様や護衛騎士たちを見るにわたしも大事にしてくれそうだ。
しばらくの拠点は確保できそうだけどこれからどう動こう。
帰る方法を調べたいけどどうやればいいだろう。
「それから、聖女様の望む『異世界に帰る手段の情報』も王都に行けば手に入る可能性があります」
「え!?」
「『聖女アスカの日記』という400年前の聖女が書いた日記を王家が保管しています。異世界の言語で書かれているので我々には内容がわからないのですが、聖女様には読めるかと。そのなかに手がかりがあるかもしれません」
花が咲くような笑顔で喜びの声を上げて感謝の言葉を口にした聖女様を、侍女に客室に案内するよう指示し見送った。
隣で共に立ち上がり見送った旧友の顔色は悪く、疲労の色が濃い。目の下にうっすら隈もある。
どちらかといえば体力的なものより精神的なものだろう。
「お疲れ、ウィル。よく生きて戻った! 安心して頼れ、そんで今日はゆっくり休め」
「ああ、ありがとうフェルディナンド。世話になる」
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縋りついて、頭を下げて、謝りたおして「助けてください」と言って引き留めたい。
どんなに無様だろうが世界を救う為に聖女である彼女の助力は喉から手が出るほど欲しい。
けど、それはあまりにも調子の良すぎる話だ。
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考えたことがなかった。
そして考えもせず聖女様と称えて丸投げしていたこの世界と自分を含めた人々が情けない。
王宮に戻ったら自分も色々調べなければと考えを巡らせているとウィルがポツリとこぼした。
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