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第二部
オーランド共同戦線②
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「さて、僕たちはまだ出会っていないことになっているわけですが、表向きどう出会う形にします?」
「俺の日課の北の森の見回りで出会ったことにするつもりさ。森の中では監視を撒きやすいから誤魔化せる」
「やはり監視が付いているか。昨日、王城の門前で何者かの視線を感じた。あれがそうだろう」
魔王は門前でどこかを見ていた。あれは監視者の視線に気づいていたからだったのか。
「そうだろうな。いつしか俺には監視がつくようになった。遠くから常に見張られ、行動を把握されている。国内にいる間ずっとだ。俺に接触してきた人物も監視しているらしい」
「それもメトセラール公爵が?」
「そのようだ。見ていることを以前匂わされたことがある。…邪魔な王子がおかしな動きをしないかと四六時中把握しておきたいのだろう。こんな事情で表向きあんたらと会うと公爵に筒抜けになる。それでこんな時間にこんな場所で秘密の会談の場を設けさせてもらったのさ」
だからわたしたちを昼間は避けに避けて、今こっそり会っているのか。
"ーーヴラド"
"わかってますよ~"
魔王とヴラドがなにやらやりとりをしているけれどなんだろう?
「仲間が合流したので招き入れますね? 入っておいでゲーデ」
知った名を呼ばれると同時に部屋の扉が乱暴に蹴り開けられ、眼帯をつけた青年、四天王のゲーデが現れた。そして縄で束にまとめられ縛られた5人の男たち。
そういえば夕方からこちらに合流するはずだったけれど別行動をしていたのだろうか。
「何者だ!?」
「なぜここに? 外に見張りの者がいただろう?」
「意識を刈り取るだけにとどめてやったことに感謝しろ。次に邪魔だてすれば容赦しない」
また大立ち回りをしたのだろうか。
魔王一派は力技を使いがちな癖があるけれど、対人に対してはもっと穏便にしてくれないだろうか。
"ゲーデ、遅かったではないか! どこで何をしていたのだ?"
"陛下に命じられたことをしていた"
"命じられたこと?"
「王子の監視についていた全員を気絶させて連れてきた」
「は!?」
「乱暴な…!」
「おいおい、あまり騒ぎになるようなやり方はしないでくれ。公爵にばれたらこちらが潰されかねない」
ざわつくテオドール王子たち。たしかに見張りが倒されたとなったら向こうに喧嘩を売る行為だ。
「おいお前」
「殿下に対して無礼な…!」
「なぜ、真っ向から対峙することを避けている?」
魔王がテオドール王子に切り込み、お付きの者たちが憤るも王子は肩をすくめながら答えた。
「俺には公爵に立ち向かうだけの力がない。俺自身の権力も、動かせる人員も少ない。情けないが真正面から行っても叩き潰されるだけだからだ」
「それで協力者として俺たちを頼ったか。情けないな」
「ああ本当にな。もっと俺がしっかりしていたら、地盤を固められていたら国内の味方だけでできたんだろうが…。協力してもらえるからにはじっくり犯罪の証拠を掴んで時間がかかっても必ずーー」
「俺たちと共同戦線を張るからには俺たちの流儀にも付き合ってもらおう。俺たちはちんたら時間をかける気はない。ぬるいやり方はしない主義でな」
「なに?」
「手っ取り早くいく、伯爵?」
「うん。5人も情報元がいるからちゃっちゃっと済ませよう」
ヴラドは立ち上がると気を失っていた男の胸ぐらを掴み、その横っ面をスパーンっと勢いよく張り倒した。衝撃に固まるテオドール王子の一派とわたしをよそに魔王一派は慌てずただ見ている。
「僕には特技がありまして。催眠術で相手になんでもお話ししてもらえる特技でしてね」
王子たちは背を向けて死角になっているからわからなかっただろう。目を覚ました男の瞳に、ヴラドは吸血鬼の真紅に輝かせた魅了の能力のある瞳を合わせ酷薄な声音で命じた。
「僕の下僕になった君にご主人様から命令だ。洗いざらい知っている事をしゃべるんだよ? まずは、雇い主のメトセラール公爵についてかな」
翌朝、またも朝から北の森に視察に向かったテオドール王子は5人の冒険者を引き連れて王城の門をくぐった。
「俺の大事な異国からのお客人だ! 丁重にもてなしてくれ」
「俺の日課の北の森の見回りで出会ったことにするつもりさ。森の中では監視を撒きやすいから誤魔化せる」
「やはり監視が付いているか。昨日、王城の門前で何者かの視線を感じた。あれがそうだろう」
魔王は門前でどこかを見ていた。あれは監視者の視線に気づいていたからだったのか。
「そうだろうな。いつしか俺には監視がつくようになった。遠くから常に見張られ、行動を把握されている。国内にいる間ずっとだ。俺に接触してきた人物も監視しているらしい」
「それもメトセラール公爵が?」
「そのようだ。見ていることを以前匂わされたことがある。…邪魔な王子がおかしな動きをしないかと四六時中把握しておきたいのだろう。こんな事情で表向きあんたらと会うと公爵に筒抜けになる。それでこんな時間にこんな場所で秘密の会談の場を設けさせてもらったのさ」
だからわたしたちを昼間は避けに避けて、今こっそり会っているのか。
"ーーヴラド"
"わかってますよ~"
魔王とヴラドがなにやらやりとりをしているけれどなんだろう?
「仲間が合流したので招き入れますね? 入っておいでゲーデ」
知った名を呼ばれると同時に部屋の扉が乱暴に蹴り開けられ、眼帯をつけた青年、四天王のゲーデが現れた。そして縄で束にまとめられ縛られた5人の男たち。
そういえば夕方からこちらに合流するはずだったけれど別行動をしていたのだろうか。
「何者だ!?」
「なぜここに? 外に見張りの者がいただろう?」
「意識を刈り取るだけにとどめてやったことに感謝しろ。次に邪魔だてすれば容赦しない」
また大立ち回りをしたのだろうか。
魔王一派は力技を使いがちな癖があるけれど、対人に対してはもっと穏便にしてくれないだろうか。
"ゲーデ、遅かったではないか! どこで何をしていたのだ?"
"陛下に命じられたことをしていた"
"命じられたこと?"
「王子の監視についていた全員を気絶させて連れてきた」
「は!?」
「乱暴な…!」
「おいおい、あまり騒ぎになるようなやり方はしないでくれ。公爵にばれたらこちらが潰されかねない」
ざわつくテオドール王子たち。たしかに見張りが倒されたとなったら向こうに喧嘩を売る行為だ。
「おいお前」
「殿下に対して無礼な…!」
「なぜ、真っ向から対峙することを避けている?」
魔王がテオドール王子に切り込み、お付きの者たちが憤るも王子は肩をすくめながら答えた。
「俺には公爵に立ち向かうだけの力がない。俺自身の権力も、動かせる人員も少ない。情けないが真正面から行っても叩き潰されるだけだからだ」
「それで協力者として俺たちを頼ったか。情けないな」
「ああ本当にな。もっと俺がしっかりしていたら、地盤を固められていたら国内の味方だけでできたんだろうが…。協力してもらえるからにはじっくり犯罪の証拠を掴んで時間がかかっても必ずーー」
「俺たちと共同戦線を張るからには俺たちの流儀にも付き合ってもらおう。俺たちはちんたら時間をかける気はない。ぬるいやり方はしない主義でな」
「なに?」
「手っ取り早くいく、伯爵?」
「うん。5人も情報元がいるからちゃっちゃっと済ませよう」
ヴラドは立ち上がると気を失っていた男の胸ぐらを掴み、その横っ面をスパーンっと勢いよく張り倒した。衝撃に固まるテオドール王子の一派とわたしをよそに魔王一派は慌てずただ見ている。
「僕には特技がありまして。催眠術で相手になんでもお話ししてもらえる特技でしてね」
王子たちは背を向けて死角になっているからわからなかっただろう。目を覚ました男の瞳に、ヴラドは吸血鬼の真紅に輝かせた魅了の能力のある瞳を合わせ酷薄な声音で命じた。
「僕の下僕になった君にご主人様から命令だ。洗いざらい知っている事をしゃべるんだよ? まずは、雇い主のメトセラール公爵についてかな」
翌朝、またも朝から北の森に視察に向かったテオドール王子は5人の冒険者を引き連れて王城の門をくぐった。
「俺の大事な異国からのお客人だ! 丁重にもてなしてくれ」
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