魔王城での聖女生活~異世界に聖女として呼ばれましたが実は世界を守ってた魔王を聖女の力で助けます~

四乃

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第二部

メトセラール公爵との邂逅①

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メトセラール公爵は眼光鋭い眼をわたしたち一人一人に向けた。じっくりと値踏みするような嫌な視線だ。


「また新しい"異国からのお客人"ですかな?」
「ああ、そうだ。北の森で会って意気投合してぜひ城にと招待したんだ」
「また北の森に行かれたのですか… 何度もご注意申し上げておりますが、危険ですから魔王支配領域に近寄るのはおやめください。跡取りの王子の自覚がたりませんな。殿下一人にどうこうできる問題ではないのですから」


人を不快にさせる言い方が上手い人だ。
言葉一つ一つはテオドール王子の身を案じているような内容だけれど、その裏では"どうせ何もできないのだから大人しくしていろ"と言っているようにも聞こえる。


「それに荒事が得意そうな者たちとお近づきになるのも、城に入れるのもよろしくありませんな。殿下の品性が疑われますぞ」


今度は冒険者風に装っているわたしたちを品のない荒くれ者とバカにしている。いやな感じだ。
すると血の気の多い魔王一派、ガエルとゲーデの目つきが不穏になった。これは怒りが爆発したらまずいとハラハラしているとヴラドが笑顔で口を開いた。


「お初にお目にかかり光栄です。僕はヴラド・グリューフェルト。爵位は伯爵です。彼らは僕の護衛の冒険者でして、高貴なる公爵様には荒事が仕事の彼らはお目汚しでしたか。失礼致しました」


ヴラドは場を納めるために腰を低くして相手を立てる物言いをしたのだろう。
すると公爵はヴラドの下手に出る反応に、ただの荒くれ者ではないと判断したのか先程よりは雰囲気を和らげた。


「ほう…伯爵か。異国からはるばるよくお越しになられた。このオーランドはそう見るべき名所もなく面白みのない国だが、何用で?」
「僕はテオドール王子に興味がありまして。ただのファンですよ。王子の旅先でのお話をたくさん聞かせていただきたいのです」
「ファンとはまた… 殿下の諸国漫遊が他国にまで知れているということですか。嘆かわしい」
「おいおい、俺は遊びに諸国に行っているのではないぞ公爵」
「瘴気対策を知るために、ですか? 進展が何もないようですが遊んでいるのでは?」


公爵はオーランド王国に低い評価をくだしているようだ。テオドール王子に対しても瘴気対策に成果が出てないと見ていて、遊び周っているようなものだと考えているらしい。


「ではそろそろ失礼します。この後も政務がありますので。殿下もお忙しいようですからな」


公爵はさらに嫌味を言いながら立ち去った。威圧感と緊張感でなんだか疲れた。
するとテオドール王子が振り向き頭を下げた。


「すまないな、我が国の者が無礼を働いた」
「お前様は悪くないだろう。まったく腹の立つ男だったな! なんだあのねちっこい嫌味は! 男らしく正面切って喧嘩を売ってこい! 受けて立つ!」
「まったく、これだから人間は…」
「はは、まるで自分たちが人間ではないかのような発言だな。幽霊伯爵のお仲間はみんな幽霊なのかな? こんなに暖かいのに」


ゲーデの発言にヒヤリとしていると、静かに近寄ってきたテオドール王子に手のひらを握られた。
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