234 / 288
第二部
城内の敵の捜索①
しおりを挟む
「城の中を探すの? 地下じゃなくて?」
「探すのはこの城に潜り込んでいるであろう邪神信仰者、あるいは"ミコ様"とやらだ」
「あ、そうだった」
女神様の要望を聞いて地下神殿を探さなくてはいけない気になっていたけれど、わたしたちの当初の目的はそれだった。けれど……女神は瘴気の影響を受けていると言っていた。邪神信仰者の件と女神の件は関係しているのではないだろうか? そしてオーランド王国内の不穏な状態も。
それを魔王に伝えると頷かれた。同じことを考えていたらしい。
「邪神信仰者どもはこの城に潜り込み何かをしている。地下には神殿がありそこに祀られている女神と、繋がっている王女が瘴気にやられている。邪神信仰者の城内潜り込み、王城内の異変、女神と王女の瘴気汚染。まず間違いなくすべてに邪神信仰者たちが絡んでいるだろう。そして、邪神信仰者どもは各地の神殿を破壊して回ることに熱心だ。これが意味することは?」
「…ここの地下神殿を狙っているってこと?」
「俺はそう考えている」
邪神信仰をする者たちが各地の神殿を破壊し、そこにある地脈が瘴気で汚染されることが大地の死、魔王支配領域が広がることにつながっている。だから神殿を狙うのはありえそうだけれど今まで見た破壊跡は地上にあるものばかりだった。でも地下となるとーー
「地下で破壊行為なんてしたら地上にあるこの城や街は…」
「無事とは思えんな」
恐ろしい事態を想像して背筋が寒くなった。
「まだ起きてはいない。首謀者を捕らえれば未然に防げる」
「そう、だね。やられる前にその人達を止めればいいんだよね。早く見つけ出さないと」
「ああ、すぐ取り掛かるとしよう。まずはリンカ、地下に瘴気があるか探ってくれ。神殿なり地脈なりが瘴気の影響があるなら位置がわかる」
「うん、やってみる」
目を閉じて意識を下に、地下に向けて深く深く降ろしていく。かなり下まで感知をしていくとうっすら黒い影、瘴気に当たった。この深さなら地脈のあたりだろう。あの女神の言い方だと神殿は地脈から近そうだけれどそれはわからなかった。通路とか神殿がありそうな空間があっても瘴気がなければわたしは感知できないからだ。それは仕方ないからどうしようもない。けれどいつか視たラスタ王国や神殿跡での地脈よりもずっと瘴気は少なく胸を撫で下ろした。手遅れではない、まだ完全に汚染されていない今ならわたしの力でも浄化しきれるはずだ。
そのことを伝えると魔王はうなずき「よくやった」とねぎらいの言葉をくれた。
「でも辿り着き方はわからなかったよ。ごめん…」
「それは気にするな。地脈があり瘴気に汚染されかかっているなら、女神の言うようにこの下に神殿があるのだろう」
「でもかなり深いと思うけど、入り口から階段で行くとしたら何階分降りることになるんだろう?」
何キロとかの単位でも足りないのではないかというほど深そうだ。階段だったら体力が絶対に足りない。
「探すのはこの城に潜り込んでいるであろう邪神信仰者、あるいは"ミコ様"とやらだ」
「あ、そうだった」
女神様の要望を聞いて地下神殿を探さなくてはいけない気になっていたけれど、わたしたちの当初の目的はそれだった。けれど……女神は瘴気の影響を受けていると言っていた。邪神信仰者の件と女神の件は関係しているのではないだろうか? そしてオーランド王国内の不穏な状態も。
それを魔王に伝えると頷かれた。同じことを考えていたらしい。
「邪神信仰者どもはこの城に潜り込み何かをしている。地下には神殿がありそこに祀られている女神と、繋がっている王女が瘴気にやられている。邪神信仰者の城内潜り込み、王城内の異変、女神と王女の瘴気汚染。まず間違いなくすべてに邪神信仰者たちが絡んでいるだろう。そして、邪神信仰者どもは各地の神殿を破壊して回ることに熱心だ。これが意味することは?」
「…ここの地下神殿を狙っているってこと?」
「俺はそう考えている」
邪神信仰をする者たちが各地の神殿を破壊し、そこにある地脈が瘴気で汚染されることが大地の死、魔王支配領域が広がることにつながっている。だから神殿を狙うのはありえそうだけれど今まで見た破壊跡は地上にあるものばかりだった。でも地下となるとーー
「地下で破壊行為なんてしたら地上にあるこの城や街は…」
「無事とは思えんな」
恐ろしい事態を想像して背筋が寒くなった。
「まだ起きてはいない。首謀者を捕らえれば未然に防げる」
「そう、だね。やられる前にその人達を止めればいいんだよね。早く見つけ出さないと」
「ああ、すぐ取り掛かるとしよう。まずはリンカ、地下に瘴気があるか探ってくれ。神殿なり地脈なりが瘴気の影響があるなら位置がわかる」
「うん、やってみる」
目を閉じて意識を下に、地下に向けて深く深く降ろしていく。かなり下まで感知をしていくとうっすら黒い影、瘴気に当たった。この深さなら地脈のあたりだろう。あの女神の言い方だと神殿は地脈から近そうだけれどそれはわからなかった。通路とか神殿がありそうな空間があっても瘴気がなければわたしは感知できないからだ。それは仕方ないからどうしようもない。けれどいつか視たラスタ王国や神殿跡での地脈よりもずっと瘴気は少なく胸を撫で下ろした。手遅れではない、まだ完全に汚染されていない今ならわたしの力でも浄化しきれるはずだ。
そのことを伝えると魔王はうなずき「よくやった」とねぎらいの言葉をくれた。
「でも辿り着き方はわからなかったよ。ごめん…」
「それは気にするな。地脈があり瘴気に汚染されかかっているなら、女神の言うようにこの下に神殿があるのだろう」
「でもかなり深いと思うけど、入り口から階段で行くとしたら何階分降りることになるんだろう?」
何キロとかの単位でも足りないのではないかというほど深そうだ。階段だったら体力が絶対に足りない。
0
あなたにおすすめの小説
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
召しませ、私の旦那さまっ!〜美醜逆転の世界でイケメン男性を召喚します〜
紗幸
恋愛
「醜い怪物」こそ、私の理想の旦那さま!
聖女ミリアは、魔王を倒す力を持つ「勇者」を召喚する大役を担う。だけど、ミリアの願いはただ一つ。日本基準の超絶イケメンを召喚し、魔王討伐の旅を通して結婚することだった。召喚されたゼインは、この国の美醜の基準では「醜悪な怪物」扱い。しかしミリアの目には、彼は完璧な最強イケメンに映っていた。ミリアは魔王討伐の旅を「イケメン旦那さまゲットのためのアピールタイム」と称し、ゼインの心を掴もうと画策する。しかし、ゼインは冷酷な仮面を崩さないまま、旅が終わる。
イケメン勇者と美少女聖女が織りなす、勘違いと愛が暴走する異世界ラブコメディ。果たして、二人の「愛の旅」は、最高の結末を迎えるのか?
※短編用に書いたのですが、少し長くなったので連載にしています
※この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる