魔王城での聖女生活~異世界に聖女として呼ばれましたが実は世界を守ってた魔王を聖女の力で助けます~

四乃

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第二部

それぞれの城内調査①

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「やはり魔法陣の先は城内に繋がっているな。少々歩くことになる。行けるか、リンカ」
「うん、大丈夫」
「よし。警戒しながら向かうとしよう」


魔力を魔法陣に流してすぐに位置の特定ができたらしく、魔王は扉を開けて廊下に出た。わたしも彼に続いて廊下に出ると足元を灰色の小さいものがさっと走り抜けた。


「きゃっ!?」
「いいか、お前は天井裏を、こっちのお前は床下を、そこのお前は地下室を探すように!」


灰色のものたち、灰色の毛皮で尻尾が長い生き物、ネズミ。そのネズミを何匹も足元に集め、しゃがみ込んで話しかけていたのは筋骨隆々な魔獣使い、ガエルだった。となりには犬サイズになったフェンリルのロウもいる。昨日帰らせたけれどまた呼び出したようだ。
しかしネズミは魔獣ではなく動物のはずで、彼の専門ではないはずだけれどどういう状況だろうか。あと古い建物にはつきものだけれどネズミは王宮内にもいたのか。


「では解散! 朗報を期待しているぞ!」


すると一斉に灰色たちがそこかしこに走り出し、うちの一匹がまた足元を走り抜けていった。


「ネズミ使いに転職したのか?」
「なに、魔獣も動物も俺様にかかれば同じこと! 
従属の術で契約せずとも俺様と契約しているロウがいれば通訳をしてもらい対話ができるからな。城に何世代にも渡って暮らしている彼らに地下への入口となりそうなところがないか探ってもらおうと思い交渉していたのだ」
「契約はせず交渉か。対価は?」
「山のようなチーズで支払う! 俺様のポケットマネーでな。あと契約をするのは惚れ込んだ魔獣だけだ!」
「それならヴラドに経費の使い込みを咎められることがなく問題ないな。お前はそのまま獣を使い情報収集をしろ」
「おう! 聖…リンカ殿ともどもまた後でな!」
「うん、後で…」


ネズミは便利そうだけど衛生面とか病原菌とか持ってないか不安だ。それに城に他にいる動物って馬とか鳥とか、ニョロりとしたのとか、わたしの苦手な虫とかとも交渉するのかな。動物ってどこからどこまでが動物だろうか。 


「それでわたくしお叱りを受けてしまいまして…」
「君が傷つくのを見ていられないな。ただ、涙に濡れたその亜麻色のまつ毛は美しくて魅力的なことに気付いてしまった。その美しい君の目元をずっと眺めていたくなってしまった僕を許してね」
「伯爵様っ」
「次っ、次はわたくしの話を聞いてくださいませんこと?」
「ああ、ぜひ聞かせておくれ、空のような吸い込まれそうな青い瞳の君」
「次はわたしとっ」
「わたしの方が先にお声がかりいただいたのよっ」
「こらこら、愛らしいじゃれあいを見ていたいが、僕はどこにも行かないから慌てないで。みんなとお話ししたいからね」
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