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第二部
幼い日の母娘の約束①
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お願いね、シャルロッテ。
まだ幼いあなたに大変なお役目を押し付けて、酷いお母様でごめんなさい。
ううん、いいの、わたしやります。
わたしならまだ小さいけれどできるとお母様はしんじてたくしてくださったのでしょう?
大丈夫、女神さまが元気になるまでわたしが女神さまをささえます。わたしとだけけいやくすれば、女神さまの力を少ししか使わないから早くよくなるのでしょう?
あなたはやっぱり賢い子ねシャルロッテ。まだ5歳なのに…ちゃんと理解して…
大きくなるまで一緒に居られなくてごめんないね…
大丈夫、わたしは大丈夫ですお母様、だからそんなに悲しまないで。お母様が安心しておやすみできるようにわたししっかりした王女になります。お兄様もお父様もわたしが怖いひとたちから守ります。
…ありがとうシャルロッテ、可愛い可愛いわたしたちの娘。お父様はきっとお母様がいなくなったら寂しくて泣いちゃうから励ましてあげてね。しっかりしているけれど脆いところがあるから。
はい。
お兄様は、テオドールはしっかりしているし、感情のコントロールが上手いからあまり心配はしていないわ。
ただ、お兄様の隠されたお役目は敵に知られるわけにはいきません。だからお兄様自身にも事情は知らせず秘密にしておいてね。そうならないことを祈るけれど、お兄様に知らせるときは女神様の身に敵の魔の手が迫ったそのとき。それまではシャルロッテ、あなたがーーー
コンコンッ
ノックの音で意識が浮上した。
お母様が亡くなる前にわたしとお話した内容だった。懐かしくてずっと浸っていたいと思う幸せな夢だった。
大丈夫ですお母様、シャルロッテはきちんとお母様との約束を覚えています。お役目もしており、あれから何度か地下の神殿に足を運び女神様にもお会いして捧げ物を献上しているのですよ。ただ、具合がお悪くなり中々お会いできないうちにわたしも女神様と同じく具合を悪くしてしまい周囲に大変心配をかけてしまいました。
ひとえにわたしが未熟な身だからです。もっと体力や魔力や精神力が充実した大人であったならば、あのような無様をさらさずに済んだでしょう。
「お兄様にもお父様にも心配ばかりかけたわ。これではお二人を守るという決意を果たせていませんね。しっかりしなくてはいけないのに」
わたしは女神様の唯一の契約者でお役目をもつ立場なのだから。
「ーですから! シャルロッテ様はお休みになっていますので無理なものは無理です。メトセラール公爵様のご用とはいえ後ほどにまたいらしてください」
ヘルダがノックの主に応対している声が聞こえた。公爵の使いがきたようだ。公爵は時々わたしの体調を伺いに使いを寄越すけれど、いつもはヘルダに確認するだけですぐに帰る。だというのに今日はずいぶん粘っている様子、なにかあるのだろうか?
「ヘルダ、わたしなら大丈夫。公爵様のご用は何?」
リンカ様とおっしゃる方に治していただいて、体の不調や熱は嘘のように良くなり、眠ったおかげで体が軽い。面会も今なら問題ない。
それにしてもあの方は、女神様がおっしゃるように真実、聖女様なのだろう。でなければ瘴気に侵されたわたしを救うことなどできない。女神様からわたしの体調不良が瘴気によるものだとは教えていただいていたけれど、勇者様や聖女様でなければ治せない。世界を救うことが最優先のお二人を呼びつけるわけにいかず、旅が終わったのちにご協力をお願いする予定だった。予想外に早くお会いできて大変ありがたかった。
しかしどういういきさつでお兄様が聖女様と繋がりをもちお連れできたのか疑問だ。一緒にいた男性方は話に聞く勇者様ではないようだし、勇者様と聖女様は別行動をとっているのだろうか? 男性方は護衛だろうか? でも聖騎士にはどう見ても見えないから冒険者だろうか?
特に黒髪の男性はわたしや女神様を睨みつけて、聖女様に髪の毛一筋すらも傷つけさせないとばかりにがちがちに守っていた。まるでお姫様を守る騎士様だった。小説の騎士物語のようでちょっとドキドキする。聞いたら聖女様は教えてくれるかしら?
つらつらと思考を働かせながら使いの用を聞くため、ガウンを羽織り隣部屋の居間へと歩を進めた。
まだ幼いあなたに大変なお役目を押し付けて、酷いお母様でごめんなさい。
ううん、いいの、わたしやります。
わたしならまだ小さいけれどできるとお母様はしんじてたくしてくださったのでしょう?
大丈夫、女神さまが元気になるまでわたしが女神さまをささえます。わたしとだけけいやくすれば、女神さまの力を少ししか使わないから早くよくなるのでしょう?
あなたはやっぱり賢い子ねシャルロッテ。まだ5歳なのに…ちゃんと理解して…
大きくなるまで一緒に居られなくてごめんないね…
大丈夫、わたしは大丈夫ですお母様、だからそんなに悲しまないで。お母様が安心しておやすみできるようにわたししっかりした王女になります。お兄様もお父様もわたしが怖いひとたちから守ります。
…ありがとうシャルロッテ、可愛い可愛いわたしたちの娘。お父様はきっとお母様がいなくなったら寂しくて泣いちゃうから励ましてあげてね。しっかりしているけれど脆いところがあるから。
はい。
お兄様は、テオドールはしっかりしているし、感情のコントロールが上手いからあまり心配はしていないわ。
ただ、お兄様の隠されたお役目は敵に知られるわけにはいきません。だからお兄様自身にも事情は知らせず秘密にしておいてね。そうならないことを祈るけれど、お兄様に知らせるときは女神様の身に敵の魔の手が迫ったそのとき。それまではシャルロッテ、あなたがーーー
コンコンッ
ノックの音で意識が浮上した。
お母様が亡くなる前にわたしとお話した内容だった。懐かしくてずっと浸っていたいと思う幸せな夢だった。
大丈夫ですお母様、シャルロッテはきちんとお母様との約束を覚えています。お役目もしており、あれから何度か地下の神殿に足を運び女神様にもお会いして捧げ物を献上しているのですよ。ただ、具合がお悪くなり中々お会いできないうちにわたしも女神様と同じく具合を悪くしてしまい周囲に大変心配をかけてしまいました。
ひとえにわたしが未熟な身だからです。もっと体力や魔力や精神力が充実した大人であったならば、あのような無様をさらさずに済んだでしょう。
「お兄様にもお父様にも心配ばかりかけたわ。これではお二人を守るという決意を果たせていませんね。しっかりしなくてはいけないのに」
わたしは女神様の唯一の契約者でお役目をもつ立場なのだから。
「ーですから! シャルロッテ様はお休みになっていますので無理なものは無理です。メトセラール公爵様のご用とはいえ後ほどにまたいらしてください」
ヘルダがノックの主に応対している声が聞こえた。公爵の使いがきたようだ。公爵は時々わたしの体調を伺いに使いを寄越すけれど、いつもはヘルダに確認するだけですぐに帰る。だというのに今日はずいぶん粘っている様子、なにかあるのだろうか?
「ヘルダ、わたしなら大丈夫。公爵様のご用は何?」
リンカ様とおっしゃる方に治していただいて、体の不調や熱は嘘のように良くなり、眠ったおかげで体が軽い。面会も今なら問題ない。
それにしてもあの方は、女神様がおっしゃるように真実、聖女様なのだろう。でなければ瘴気に侵されたわたしを救うことなどできない。女神様からわたしの体調不良が瘴気によるものだとは教えていただいていたけれど、勇者様や聖女様でなければ治せない。世界を救うことが最優先のお二人を呼びつけるわけにいかず、旅が終わったのちにご協力をお願いする予定だった。予想外に早くお会いできて大変ありがたかった。
しかしどういういきさつでお兄様が聖女様と繋がりをもちお連れできたのか疑問だ。一緒にいた男性方は話に聞く勇者様ではないようだし、勇者様と聖女様は別行動をとっているのだろうか? 男性方は護衛だろうか? でも聖騎士にはどう見ても見えないから冒険者だろうか?
特に黒髪の男性はわたしや女神様を睨みつけて、聖女様に髪の毛一筋すらも傷つけさせないとばかりにがちがちに守っていた。まるでお姫様を守る騎士様だった。小説の騎士物語のようでちょっとドキドキする。聞いたら聖女様は教えてくれるかしら?
つらつらと思考を働かせながら使いの用を聞くため、ガウンを羽織り隣部屋の居間へと歩を進めた。
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