魔王城での聖女生活~異世界に聖女として呼ばれましたが実は世界を守ってた魔王を聖女の力で助けます~

四乃

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第二部

テオドールの家族②

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お母さんとの共通点が見つかりうれしいようで顔がにやにやしている。どうやらお母さん子でもあるらしい。しかし父親の話があまり出ないけれど仲はどうなのだろう。


「あの、お父様、いえ国王陛下はそれを聞いてなんと?」
「固まっていたな。しばらくして"テオドール、母の前ではいい子にしておれ"と忠告を」


国王陛下、奥さんに弱くないか。


「父は母の尻に敷かれていたな。父は寡黙で落ち着いた人だから正反対の性格が母と相性が良かったようだ。夫婦仲が良く子どもながらにうらやましいくらい理想的な夫婦だった」
「…自慢のご両親なんですね」
「そうだとも!」


うらやましい。憧れる両親像だな。
ああ、でも王妃様が亡くなって体調を悪くされているんだっけ。病状はどうなのかだろう。あるいはもしかしてシャルロッテ王女と同じく瘴気に侵されているとか。


「あの、ところで国王陛下のお体は大丈夫なんですか? お見舞いとかは…」
「ああ、毎日行っている。今朝も行った。…大きな声では言えないが心が弱っている病なのだ。静かな土地で療養したほうが良いと提案しているのだが本人が嫌がってな。"妻の思い出が残るし子どもたちと離れたくない"とね。母の死を完全に乗り越えられていないのだろうが、父の想いを大切にして側で支えたい思いも俺自身あるから長い目で見るつもりだ」
「そうですか… お父様も大切に思っているのですね」
「もちろんだ。民を守り、民なくして王族はなしと、愛国心のある素晴らしい君主だ。そして愛が強く、家族を愛しすぎて自身を壊してしまう優しく脆い人。愛にあふれる尊敬する父だ」


父親自慢をする王子を微笑ましく見ていると、王子に微笑みを向けられた。


「君は優しいな。俺を気遣って話を聞いてくれて」
「え…」


気を遣って話しかけたことは察していたようだ。お礼を言われどきマギしている間に王子が肩を翻して目の前の扉に向いた。


「そら、母上の思い出あふれる部屋に到着だ」


テオドール王子が離れて音もなく魔王がわたしの横に移動し王子の背を見つめていた。どことなく険を感じる視線だ。首を傾げながらわたしも扉に向き合った。
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