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第二部
神子とメトセラール公爵②
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わたし、ブラーム・メトセラールはダミアン・メトセラールの長男として生を受けた。兄弟はいない。母は厳格で支配的な父の従順な下僕のような夫婦。父には外に愛人が何人もいたようだったがそれは貴族家では珍しくもない。父にたいして興味がなかったためどうでもよかった。
珍しいことといえば家の信仰だ。アウレリア教が世界的な主教なのに反し、創造神ゲオルギオスを信仰するゲオルギオス教。外では邪神信仰とも言われ禁忌の信仰。一族、領内で密かに信仰し、外では瘴気を広める活動をしていた。ただそれもそういう信仰として教えられ育ち疑問には思わなかった。
厳格で支配的な父から勉学に武道、魔導にも完璧を求められその通りに従い、後継者として厳しく教育された。遊びや友人を作るのは禁じられたが特に反発心はわかなかった。元々学ぶことは好んでいたし他者と関わるより孤独が落ち着いた。
中央には成人し王宮に行ったのが初めてで活気のある様子に自領との違いを感じた。我が領は閉鎖的で雰囲気が暗いのだとこの時に気づいた。デビュタントのパーティーにも出席したが皆が明るく社交的でなんとも場違いに感じ早々に庭に避難してやり過ごした。
成人したことで父が用意した女性と婚姻した。相手は領内の貴族家の娘、ようは父の部下の中から見繕った。信仰上、他領から娶ると秘密が漏れるとの考えから昔からメトセラール家は自領の中から妻を迎えている。昔からの慣習通りというわけだ。
彼女はリニという名でわたしより一つ下の年齢。彼女も自身の厳格な父からの命令で嫁いできた。お互いに絵姿さえ見せられず顔合わせもなく婚姻式当日に初めて顔を見た。整った顔立ちに礼儀正しい作法、品のある女性だった。
父の命令に粛々と従い、感情の起伏に乏しく、会話も苦手、友人もいない。"人形のようだ"と王に目通りした時に言われた。どういう意味だと思ったものだがなるほど、彼女を見ているとなんとなくわかった。自分も彼女も自己が薄いのだろう。ないわけではないのだがな。
どうやらわたしたち夫婦は似たもの同士らしい。そう思うと親近感が湧いた。初めてといっていいくらい誰かに感情を持った。そしてどうやら、リニも。
珍しいことといえば家の信仰だ。アウレリア教が世界的な主教なのに反し、創造神ゲオルギオスを信仰するゲオルギオス教。外では邪神信仰とも言われ禁忌の信仰。一族、領内で密かに信仰し、外では瘴気を広める活動をしていた。ただそれもそういう信仰として教えられ育ち疑問には思わなかった。
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