結ばれたい想いを剣に乗せて

杉の木ノキ

文字の大きさ
32 / 56
第七章 天穹守護編

第122話 大波乱の幕開け

しおりを挟む
 気づけば二学年になっていた。
 二学年に入ってすぐに行われた実力考査なる物は俺が一位、リードが二位、ルリアが三位。
 実力考査はAクラスと同じ問題が出題されたわけだが、結果はまさかのSクラス総埋めに終わった。
 しかも俺達上位三名は一点違い。
 殆ど変わらない実力が証明された。

 だがどうも腑に落ちない嫌な点もある。
 テオネスの成績が大幅に落ちたのだ。
 入学試験時は9位だったのに、今回は21位。
 常日頃から真面目に授業へ臨み、配布されたテキストをパラパラ読みしていれば成績は落ちないはずなのに。
 俺以上に怠けている気がする。

 いや、テオネスのことだ。
 怠けというより悩みかもしれない。
 進級初日は午前で終わりなので、こっそり聞いてみるか。
 一対一で。

 「なあテオネス。この後時間あるか?」
 
 「…え?あー、あるよ」

 一瞬反応が遅く、僅かに視線を逸らした。
 怪しい。

 「じゃあ軽くランチでも食べない?行きつけの喫茶店があるんだけど」

 「いや……家に帰りたい」

 なんか元気無いな。
 休み時間の動きを見るに友好関係に亀裂があるようには見えないし、なんなら楽しそうに話をしてた。

 「そっか。じゃあ俺も帰る」

 「えぇ!?いやいいよ!食べてきなよ!」

 「…何隠してんだ?」

 「ひっ…な、何も隠して無いよ!」

 あたふたしてて中身の無い返答。
 隠してる反応だろ。

 「はあ。じゃあちょっと待ってろ」

 俺は地面にチョークで魔法陣を描いた。
 
 「お兄…これって」

 「転移魔法陣。コルチカム先生に教えて貰ったんだ」

 「ず…狡いよッ!」

---

 と、テオネスが叫ぶ頃には自宅に着いていた。
 鍵を使用していないのに、中にいる不思議。
 俺はテオネスをソファーに置いて、横に座る。

 「さて早速本題。最近お前たるんでない?」

 「………」

 「成績云々は言うまでもなく、ハルと絡むようになってから帰りが遅い。翌日、寝不足気味で学校に向かう様を度々目撃している」

 「そんなの…お兄も一緒じゃん」

 「だな。でも成績は維持してる。俺は授業中寝たりしない」

 「…私が寝てるって誰に聞いたの?」

 「さあ?誰だろうね」

 そう言った途端、テオネスに両肩を押さえ付けられた。
 信じられない力で、恐ろしい形相で睨まれている。

 「言って」

 意外にも冷静な口調だった。

 「言わない。まず先に、俺の質問に答えろよ」

 「いいから言────────うぷッ…!」

 テオネスが俺を突き飛ばすように離れていき、トイレに駆け出した。
 トイレからは、おぇーっと、何かを吐き出す声が聞こえた。
 吐瀉物が落ちた音はしない。
 声だけだ。

 「大丈夫か?」

 「う…うん。ごめん」

 出てきたテオネスは酷く青ざめていた。
 まるで、隠匿していた秘密が明るみに出たようで。
 もう、鈍い俺でもわかる。

 「最近飯食えてるか?」

 「食べれてない…」

 「匂いが無理なんだろ」

 「うん…」

 俺はテオネスのおでこに手を当てた。
 やはり熱い。

 「熱もあるだろ。眠気はそのせいか?」

 「そう。ここ最近ずっとなんだ…」

 「そうか。ま、一旦横になれ」

 俺はテオネスをゆっくりとソファーに寝かせた?
 参ったな。
 時期といいタイミングといい、本当に最悪だ。

 「最後は何時だ?」

 「……昨日」

 「お前らなぁ…」

 「ごめん…でも好きで好きで仕方なくて、シたくなっちゃうの。ハルは身体を心配してくれるけど、抑えきれない私が誘っちゃうから…」

 「はあ…」

 テオネスは嘔吐きながら涙を流していた。
 そんな姿を見せられたら怒るに怒れない。
 にしても今か。
 学校にどう説明しよう。
 特にコルチカムなんか厄介だぞ。

 「このこと。みんなは知ってるのか?」

 「スレナにしか話してない」

 「だろうな。親友以外に話せるわけないよな」

 「うぅ…」

 妹が妊娠しました。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...