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第七章 天穹守護編
第123話 理由なんて、家族だからで十分
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このことはまず、誰に話すべきか。
いや、相談すべきか。
遠からずミラやリーズにはバレるだろうし、薄々勘づかれてるかもしれない。
問題は学校側にどう説明するかだ。
妹の無期限の出席停止。
それを通すには、幾つかの関門を突破しなければならない。
まず一つ目は、学院理事長の許可。
当学院理事長であるルピナスに虚偽の申告をして、テオネスの、今後の在学を認めてもらう必要がある。
彼女の性格からして、穏便に図ってくれるだろう、と甘く考えてはいけない。
第一関門は高く聳え立つ鉄壁の城塞だと認識した上で、最前の言葉選びを心がけよう。
次に書類作成。
テオネスの近状及び休校理由を隠蔽した休校届を学校に提出し、担任から承諾書を貰わなければならない。
ここら辺はルリアに聞こう。
度々事務所に出入りしてるようだし、わからないことは大抵知ってるはずだ。
そして最後に、コルチカム学院長の許可。
ここが一番の難関門。
最早、俺個人での突破は不可能と言っていい。
彼は、学院内における生徒間の恋愛を原則として認めていない。
痴情のもつれなど以ての外。
その上、子を孕んだとなれば、ハルとテオネス両名に即退学を言い渡すだろう。
仮に、妊娠したと告白せずに中途半端なこじつけをすれば、彼はテオネスの近辺を洗う。
ここ数ヶ月の成績表から日常生活を分析し、登校時間や下校時間、下校してから何をしているか、休日の過ごし方、誰と誰がどう繋がってるとか、全部洗う。
もしかしたら、家に上がり込むかもしれない。
言っておくが、これは決して大袈裟な表現じゃないぞ。
彼ならやる。
コルチカムならやる。そう確信している。
なので、絶対に悟られてはならない。
テオネスは今、窮地に立たされているんだ。
俺はそう腹に決め、理事長室の扉をノックした。
「ルピナス理事長、ライネルです。入ってもいいですか?」
物音がするまで、5秒程かかった。
「許可する」
「ありがとうございます。それでは、失礼します」
俺は理事長室の中に入った。
ルピナスは中央に置かれた椅子に座り、俺を待っていた。
お高めのカップを二人分用意して、中に緑色の茶を注いでいた。
「すまないね。ここ最近立て込んでたもので、書類整理をしていた」
「そうでしたか…お忙しい中恐縮です」
「構わんさ。でも、手短に頼む。午後も予定が詰まっているからね」
「はい。では…」
俺はルピナスに、虚偽の事情を話そうとした。
しかし、すんでのところで喉を痛めた。
ルピナスが「ん?」と優しく、まるで聖母のような瞳と声で、話の続きを待っていたからだ。
俺は思った。
嘘をつけない、つきたくない。
もし今ここで偽りを口にすれば、もう二度と信用されなくなりそうで。
テオネスも、守れなくなりそうで。
考えた末、俺は全てをぶちまけてしまった。
テオネスのお腹に子供がいると。
兄として、家族として守りたいと、言ってしまった。
「………」
沈黙。
しかし、ルピナスの表情は変わらず、優しいままだった。
「誰の子かな…?」
「Aクラスの、ハルという男です」
「あー、彼か……なるほど。となると…コルチカムには言えないなぁ」
「やはり、まずいですか」
「まずいなんてものじゃない。もし、あいつに知れたら、間違いなく堕ろせと言われる。下手すれば……母子共々、殺される」
「…は?え?」
殺される…?
どうして、何故。
意味がわからない。
「その反応も無理は無い。なにせ、君はまだ知らないんだから。いや……半分は知っているのか」
「多分…知りませんよ」
「いいや知っている。そもそも、ハル君は何故ここにいるのか。なぜ、監視下に置かれているのか。そして、私たちを含めた天穹守護の役目は一体何か。ここまで言えばわかるだろ?」
「……次代の不穏分子を早期のうちに消し去りたい、ということですね」
「そう。しかし、私個人としては大反対。テオネス君のお腹から産まれてくる子が巨悪になるかはまだわからないし、研究材料として取り上げられるのも度し難い。私は女だ。女の子の味方だ」
「なら、どうか、力を貸してくれませんか…?俺、テオネスを助けたいです。たった一人残された家族なんです、幸せになって欲しいんです。だから、どうか…」
「その点に関しては任せろ。休学の手続きは、私が独断で許可する。ただし、コルチカムには絶対に悟られるな。きちんと裏付けが成された虚偽の申告をしろ。さもなくば、テオネスは殺される。奴は、そういう男だ」
「はい…わかりました」
ルピナスの優しさに心をうたれた。
彼女は横に移動して、そっと俺の手を取り、グイっと力強く引いて俺を抱き締めた。
暖かくて、いい匂いがする…。
「それはそうと。急な話だが、転校生が二人、Sクラスに入る。男女一名づつだ。よろしく」
「あ…はい」
今ねじ込んでくる話か。
「……辛くなったら、何時でも来ていいからね」
最後。
ルピナスは俺の耳元で、そう甘く囁いた。
いや、相談すべきか。
遠からずミラやリーズにはバレるだろうし、薄々勘づかれてるかもしれない。
問題は学校側にどう説明するかだ。
妹の無期限の出席停止。
それを通すには、幾つかの関門を突破しなければならない。
まず一つ目は、学院理事長の許可。
当学院理事長であるルピナスに虚偽の申告をして、テオネスの、今後の在学を認めてもらう必要がある。
彼女の性格からして、穏便に図ってくれるだろう、と甘く考えてはいけない。
第一関門は高く聳え立つ鉄壁の城塞だと認識した上で、最前の言葉選びを心がけよう。
次に書類作成。
テオネスの近状及び休校理由を隠蔽した休校届を学校に提出し、担任から承諾書を貰わなければならない。
ここら辺はルリアに聞こう。
度々事務所に出入りしてるようだし、わからないことは大抵知ってるはずだ。
そして最後に、コルチカム学院長の許可。
ここが一番の難関門。
最早、俺個人での突破は不可能と言っていい。
彼は、学院内における生徒間の恋愛を原則として認めていない。
痴情のもつれなど以ての外。
その上、子を孕んだとなれば、ハルとテオネス両名に即退学を言い渡すだろう。
仮に、妊娠したと告白せずに中途半端なこじつけをすれば、彼はテオネスの近辺を洗う。
ここ数ヶ月の成績表から日常生活を分析し、登校時間や下校時間、下校してから何をしているか、休日の過ごし方、誰と誰がどう繋がってるとか、全部洗う。
もしかしたら、家に上がり込むかもしれない。
言っておくが、これは決して大袈裟な表現じゃないぞ。
彼ならやる。
コルチカムならやる。そう確信している。
なので、絶対に悟られてはならない。
テオネスは今、窮地に立たされているんだ。
俺はそう腹に決め、理事長室の扉をノックした。
「ルピナス理事長、ライネルです。入ってもいいですか?」
物音がするまで、5秒程かかった。
「許可する」
「ありがとうございます。それでは、失礼します」
俺は理事長室の中に入った。
ルピナスは中央に置かれた椅子に座り、俺を待っていた。
お高めのカップを二人分用意して、中に緑色の茶を注いでいた。
「すまないね。ここ最近立て込んでたもので、書類整理をしていた」
「そうでしたか…お忙しい中恐縮です」
「構わんさ。でも、手短に頼む。午後も予定が詰まっているからね」
「はい。では…」
俺はルピナスに、虚偽の事情を話そうとした。
しかし、すんでのところで喉を痛めた。
ルピナスが「ん?」と優しく、まるで聖母のような瞳と声で、話の続きを待っていたからだ。
俺は思った。
嘘をつけない、つきたくない。
もし今ここで偽りを口にすれば、もう二度と信用されなくなりそうで。
テオネスも、守れなくなりそうで。
考えた末、俺は全てをぶちまけてしまった。
テオネスのお腹に子供がいると。
兄として、家族として守りたいと、言ってしまった。
「………」
沈黙。
しかし、ルピナスの表情は変わらず、優しいままだった。
「誰の子かな…?」
「Aクラスの、ハルという男です」
「あー、彼か……なるほど。となると…コルチカムには言えないなぁ」
「やはり、まずいですか」
「まずいなんてものじゃない。もし、あいつに知れたら、間違いなく堕ろせと言われる。下手すれば……母子共々、殺される」
「…は?え?」
殺される…?
どうして、何故。
意味がわからない。
「その反応も無理は無い。なにせ、君はまだ知らないんだから。いや……半分は知っているのか」
「多分…知りませんよ」
「いいや知っている。そもそも、ハル君は何故ここにいるのか。なぜ、監視下に置かれているのか。そして、私たちを含めた天穹守護の役目は一体何か。ここまで言えばわかるだろ?」
「……次代の不穏分子を早期のうちに消し去りたい、ということですね」
「そう。しかし、私個人としては大反対。テオネス君のお腹から産まれてくる子が巨悪になるかはまだわからないし、研究材料として取り上げられるのも度し難い。私は女だ。女の子の味方だ」
「なら、どうか、力を貸してくれませんか…?俺、テオネスを助けたいです。たった一人残された家族なんです、幸せになって欲しいんです。だから、どうか…」
「その点に関しては任せろ。休学の手続きは、私が独断で許可する。ただし、コルチカムには絶対に悟られるな。きちんと裏付けが成された虚偽の申告をしろ。さもなくば、テオネスは殺される。奴は、そういう男だ」
「はい…わかりました」
ルピナスの優しさに心をうたれた。
彼女は横に移動して、そっと俺の手を取り、グイっと力強く引いて俺を抱き締めた。
暖かくて、いい匂いがする…。
「それはそうと。急な話だが、転校生が二人、Sクラスに入る。男女一名づつだ。よろしく」
「あ…はい」
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「……辛くなったら、何時でも来ていいからね」
最後。
ルピナスは俺の耳元で、そう甘く囁いた。
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追記:2025/09/20
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もし気になる方は、
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