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第七章 天穹守護編
第124話 転校生と希望の光
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Sクラス新入生、フラン。
彼女はプルメリア神聖国の第一王女。
花々と煌めく装飾があしらわれたドレスを身に纏い、側近のディルクレムを教室に連れてきた。
ツインテールがよく似合う黄金の髪を持っている。
そしてもう一人、シルバー。
名前の通り、髪色もシルバー。
白蘭剣王の異名を持つ、カトレア王国随一の魔導剣士である。
剣の腕は俺と同格だが、学力はどうだろうか。
ま、さしたる問題は無いだろうけど。
「はい。というわけで新入生を迎えて春を終えます。みんな、わたしの言うことは絶対だからな。逆らうなよ」
セスティーの機嫌がよろしくない。
ほぼ毎日のように、理事長室に通い詰めたツケが回ってきたようだ。
特に、何も無かったし、あるはずも無いのに。
信用無いな、俺。
「というか何で、セスティーがキレんだよ」
と、口に出てきまうくらい謎だった。
---
授業のペースは相変わらず早い。
休み時間になると、シルバーが聞きに来る。
そして、フランもまた尋ねてくる。
「ライネルは、あの説明でわかんの?無理じゃない?」
「前半十五分までの内容ならわたくしも理解出来ましたが、後半三十分は早口で意味不明でした。思わず寝てしまいましたよ」
「そんでもって後ろの護衛さんに起こされてたよね。姫さまヤバすぎ」
「あら。貴方もついで起こされてましたよ」
「うん。だから超迷惑だった」
二人は転校生同士、仲良しこよし。
オマケは一人。
ふざけた会話を聞き逃さないディルクレム。
「俺は子守りではない。次の時間は寝るなよ。寝たら重力20倍で押し潰してやる」
とまあ、圧力をかけたのだった。
---
お昼休み。
俺はディルクレムと共に、理事長室に呼ばれた。
詳細は伏せられている。
ルピナスが書類整理を済ませて、テーブル席に移動したのを確認して、俺達も座った。
「待たなくても良かったんだぞ」
「いえ。目上の人より先に座るのは、マナー違反ですから」
「そんなに気を使うな。目上なら、そう。君と一緒に来た彼」
ルピナスはディルクレムに視線を移した。
「我が、プルメリア神聖国の象徴たる、偏屈お転婆恩人飼い殺し王女を、斯様な名門王立校サフラン・ブレイバードにて受け入れて下さり、感謝の言葉もありません」
ディルクレムが見せた完璧な礼儀作法は、思わず見蕩れてしまうほど壮麗だった。
しかし、やや憎しみ籠る挨拶だ。
フランのこと、実はあまり好きではない?
そんなわけないだろうけど。
「この学校は問題児だらけだ。構わないよ」
「はっ。寛大な心に感謝します」
堅苦しいけど、これが普通なのか。
見習おう。
「今日二人に来てもらった理由は他でもない、君の記憶に関して。ディルクレム君たっての要望だ」
…へ?
ディルクレムが?
「あの…どういうことでしょう?」
「君の記憶。取り戻せるかもしれない」
ルピナスの言葉に、希望の光が差し込んだ。
「ホントですか…!?でも、一体どうやって!」
知りたい。
早く知りたい。
失った彼女との記憶を取り戻して、ミラを笑顔にしたい。
俺は興奮のあまり立ち上がってしまった。
ディルクレムに一旦座るように言われ、腰を落とす。
「お前の叔母の力を借りる。一定期間、時を戻すんだ」
ディルクレムの提案は、地獄の釜に全裸で飛び込むようなものだった。
「…え。それは無理」
「無理ってなんだ。あの人なら可能だろう。というか、それ以外に方法は無い」
「無理です。無理」
正直、もう二度と関わりたくない。
メリナは怖い。
月に一回顔を見せろと言われてから、一度も行ってない。
今行ったら、どの面下げて来たんだと言われて、死ぬまで監禁される。
てか、その前に死ぬ。
下手したら、お前の子を産みたいとか言われるかもしれない。
もしそうなったら、テオネスより先に俺が退学になる。
お先真っ暗だ。
「心配するな、俺に任せろ。既に約束は取り付けてある」
ディルクレムは、ニッと頼もしい笑顔で言った。
勝手な事すんなよ。
そんなに俺を殺したいのか。
「何時ですか?」
「来週末会うことになっている。良かったな」
「いや、全然良くないです」
あれ…?頭がクラクラしてきた。
胃が痛い。
テオネスも今、こんな体なのかな。
ちょっと、えっちぃな。
なんて言ったら、女性陣に袋叩きにあうだろう。
「あ…あの。ルピナス理事長…?」
頼みの綱はルピナス様。
お願いします、助けてください。
「震えて眠れ」
女という奴は、いつだって残酷だ。
ルピナスも悪魔だ。
この瞬間だけは、そう思った。
彼女はプルメリア神聖国の第一王女。
花々と煌めく装飾があしらわれたドレスを身に纏い、側近のディルクレムを教室に連れてきた。
ツインテールがよく似合う黄金の髪を持っている。
そしてもう一人、シルバー。
名前の通り、髪色もシルバー。
白蘭剣王の異名を持つ、カトレア王国随一の魔導剣士である。
剣の腕は俺と同格だが、学力はどうだろうか。
ま、さしたる問題は無いだろうけど。
「はい。というわけで新入生を迎えて春を終えます。みんな、わたしの言うことは絶対だからな。逆らうなよ」
セスティーの機嫌がよろしくない。
ほぼ毎日のように、理事長室に通い詰めたツケが回ってきたようだ。
特に、何も無かったし、あるはずも無いのに。
信用無いな、俺。
「というか何で、セスティーがキレんだよ」
と、口に出てきまうくらい謎だった。
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授業のペースは相変わらず早い。
休み時間になると、シルバーが聞きに来る。
そして、フランもまた尋ねてくる。
「ライネルは、あの説明でわかんの?無理じゃない?」
「前半十五分までの内容ならわたくしも理解出来ましたが、後半三十分は早口で意味不明でした。思わず寝てしまいましたよ」
「そんでもって後ろの護衛さんに起こされてたよね。姫さまヤバすぎ」
「あら。貴方もついで起こされてましたよ」
「うん。だから超迷惑だった」
二人は転校生同士、仲良しこよし。
オマケは一人。
ふざけた会話を聞き逃さないディルクレム。
「俺は子守りではない。次の時間は寝るなよ。寝たら重力20倍で押し潰してやる」
とまあ、圧力をかけたのだった。
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お昼休み。
俺はディルクレムと共に、理事長室に呼ばれた。
詳細は伏せられている。
ルピナスが書類整理を済ませて、テーブル席に移動したのを確認して、俺達も座った。
「待たなくても良かったんだぞ」
「いえ。目上の人より先に座るのは、マナー違反ですから」
「そんなに気を使うな。目上なら、そう。君と一緒に来た彼」
ルピナスはディルクレムに視線を移した。
「我が、プルメリア神聖国の象徴たる、偏屈お転婆恩人飼い殺し王女を、斯様な名門王立校サフラン・ブレイバードにて受け入れて下さり、感謝の言葉もありません」
ディルクレムが見せた完璧な礼儀作法は、思わず見蕩れてしまうほど壮麗だった。
しかし、やや憎しみ籠る挨拶だ。
フランのこと、実はあまり好きではない?
そんなわけないだろうけど。
「この学校は問題児だらけだ。構わないよ」
「はっ。寛大な心に感謝します」
堅苦しいけど、これが普通なのか。
見習おう。
「今日二人に来てもらった理由は他でもない、君の記憶に関して。ディルクレム君たっての要望だ」
…へ?
ディルクレムが?
「あの…どういうことでしょう?」
「君の記憶。取り戻せるかもしれない」
ルピナスの言葉に、希望の光が差し込んだ。
「ホントですか…!?でも、一体どうやって!」
知りたい。
早く知りたい。
失った彼女との記憶を取り戻して、ミラを笑顔にしたい。
俺は興奮のあまり立ち上がってしまった。
ディルクレムに一旦座るように言われ、腰を落とす。
「お前の叔母の力を借りる。一定期間、時を戻すんだ」
ディルクレムの提案は、地獄の釜に全裸で飛び込むようなものだった。
「…え。それは無理」
「無理ってなんだ。あの人なら可能だろう。というか、それ以外に方法は無い」
「無理です。無理」
正直、もう二度と関わりたくない。
メリナは怖い。
月に一回顔を見せろと言われてから、一度も行ってない。
今行ったら、どの面下げて来たんだと言われて、死ぬまで監禁される。
てか、その前に死ぬ。
下手したら、お前の子を産みたいとか言われるかもしれない。
もしそうなったら、テオネスより先に俺が退学になる。
お先真っ暗だ。
「心配するな、俺に任せろ。既に約束は取り付けてある」
ディルクレムは、ニッと頼もしい笑顔で言った。
勝手な事すんなよ。
そんなに俺を殺したいのか。
「何時ですか?」
「来週末会うことになっている。良かったな」
「いや、全然良くないです」
あれ…?頭がクラクラしてきた。
胃が痛い。
テオネスも今、こんな体なのかな。
ちょっと、えっちぃな。
なんて言ったら、女性陣に袋叩きにあうだろう。
「あ…あの。ルピナス理事長…?」
頼みの綱はルピナス様。
お願いします、助けてください。
「震えて眠れ」
女という奴は、いつだって残酷だ。
ルピナスも悪魔だ。
この瞬間だけは、そう思った。
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