45 / 56
第七章 天穹守護編
第135話 明るい未来に向かって
しおりを挟む
戦いを終えて、俺は正式に天穹守護となった。
現末席リンドウ・ライテール・ツキシマを第六席に繰り上げ、俺が末席となった。
それに伴い、第六席は引退となる。
元々第六席は、還暦を理由に引退を申し出ていたらしい。
そこをコルチカムが引き止めていた。
新世代が登場するまでの繋ぎとして、無理強いをさせていた模様。
生徒会長ジュレスト。
彼の後任は俺に決まった。
やることと言えば、月に一回の全校集会でとりとめのない話をする程度で、俺がやると与太話になる。
しかし、在校生はみな、真面目に聞いていた。
羞恥心が爆発して死ぬところだった。
ミラ曰く、話が難解で、誰もついていけなかったのが実情らしい。
それから、テオネスの現在について。
今現在テオネスは、向かいの分娩室にいる。
苦しそうな声と、半ば断末魔の絶叫が扉越しに聞こえた。
めちゃくちゃ頑張ってる。
ミラとハルが立会人なので、もし万が一何かあっても、すぐに対応できる。
その前に、俺が動けという話。
スレナとリーズはお留守番だけど、大切な我が家を守る重要な任務を与えたつもりだ。
それに、あまり大人数での来院は好ましくない。
在校生に目撃されたら事だ。
テオネス孕んだの!? なんて聞かれたら、俺は一体どうすればいい。
場所も場所だし、言い訳も苦しいよな。
妹が…好きすぎて…つい。とかほざいてみようか。
俺が退学になるわ。
「おいライネル。わたしも早く体験したいぞ」
メリナが分娩室を指さして、俺の肩を揺する。
羨ましさが表に出てる。
「叔母と甥はヤバすぎです」
「何がやばいのだ。わたしが良ければいいんだ。早くヤろう」
「馬鹿いってら」
と、生意気なことを言ったら、拳骨が飛んできた。
避ける間もなく、頭蓋骨にダメージを受けた。
「元気な子が産まれるといいな…」
メリナがそう言い、長椅子で横になった。
このまま仮眠を取るらしい。
---
そこから三時間が経過して。
分娩室から「おぎゃあ、おぎゃあ」と、余韻を残す泣き声が。
産まれた。
産まれたのだ。
遂に、遂にこの時がやって来た。
俺が叔父になる日がやってきた。
俺とメリナは、無許可で分娩室の中へと入った。
「あ、お兄さんですね。元気な女の子ですよ」
咎めることも無く、助産師が嬉しそうに言う。
テオネスは赤子を抱えていた。
真っ赤な深紅の髪の毛だ。
小さくて、玉のようにぷっくらと頬を膨らませている。
俺をじっと見たかと思えば、泣き出した。
「ほらー、パパでちゅよー」
と、可愛らしい赤ん坊にジョークを飛ばしてみたら、助産師が急に青ざめる。
ハルはムッとしていた。
ミラにはそっぽを向かれた。
「あ…冗談です。はい」
戒めに、ミラの隣へ移動。
しかし避けられる。
汗だくのテオネスが、大事そうに赤子を撫でていた。
「よしよし。頑張ったねー」
己の身よりも、赤子を労う。
実の妹が母になった。
まるで実感が湧かない。
嬉しさと興奮に、にやけてしまう。
「肌、ぷにぷにだな」
メリナが、赤ん坊の頬を優しくつついた。
心做しか、すごく嬉しそう。
「可愛いでしょ?」
「ああ。なんかもう、上からかぶりつきたい」
「やめて」
今度はメリナが、赤ん坊をあやしていた。
慣れた動きでゆりかごを再現。
ハルはうずうずと落ち着かない様子だ。
「あの、そろそろ僕の番…」
待ちかねたハルが、赤ん坊に触れた。
すると、メリナがそっと渡した。
「殺したら、殺すからな」
ド直球にも程がある忠告であった。
でも、これには助産師も頷いていた。
ミラだけ静かだった。
「可愛い子には旅をさせよ、てな感じよね」
「まだ早いだろ」
そう言うと、赤ん坊が「やーやー」と言ってミラの髪を引っ張る。
泣き止むどころか、キャッキャと笑っていた。
そのままミラは触診を受ける。
「ごめんなさいね。今私おっぱい出ないのよ。昔は出たんだけど」
耳寄りな情報を聞いた。
と、心を読まれて睨まれた。
場所を考えろってか。
ごめんなさい。
「安心しろ、わたしが居る」
頼もしいくらい立派な物をお持ちの方が言った。
メリナさんよ、やめときなって。
「メリナのそれって、何が詰まってるの?」
「好循環性、最高鮮度の乳」
「おお。じゃあ出ない時、お願いしようかな」
「任せろ。たらふく飲ませてやる」
そんな飲ませたら身体に悪いだろ。
なんてツッコミを入れたくなる。
「名前はどうするの? まさか決めてなかったとか、無いわよね?」
ミラがそう言うと、テオネスはニカッと微笑んで、赤ん坊を抱き締めた。
「この子には、明るく育って欲しい。昼も夜も狭間も、ずっと眩しく輝いていて欲しい。だから私、ハルと一緒に考えたんだ。この子の名前は『トレミー』。トレミー・ティッカードだよ」
太陽そのものである、テオネスの子供。
トレミー・ティッカード。
大事な大事な、俺の家族だ。
現末席リンドウ・ライテール・ツキシマを第六席に繰り上げ、俺が末席となった。
それに伴い、第六席は引退となる。
元々第六席は、還暦を理由に引退を申し出ていたらしい。
そこをコルチカムが引き止めていた。
新世代が登場するまでの繋ぎとして、無理強いをさせていた模様。
生徒会長ジュレスト。
彼の後任は俺に決まった。
やることと言えば、月に一回の全校集会でとりとめのない話をする程度で、俺がやると与太話になる。
しかし、在校生はみな、真面目に聞いていた。
羞恥心が爆発して死ぬところだった。
ミラ曰く、話が難解で、誰もついていけなかったのが実情らしい。
それから、テオネスの現在について。
今現在テオネスは、向かいの分娩室にいる。
苦しそうな声と、半ば断末魔の絶叫が扉越しに聞こえた。
めちゃくちゃ頑張ってる。
ミラとハルが立会人なので、もし万が一何かあっても、すぐに対応できる。
その前に、俺が動けという話。
スレナとリーズはお留守番だけど、大切な我が家を守る重要な任務を与えたつもりだ。
それに、あまり大人数での来院は好ましくない。
在校生に目撃されたら事だ。
テオネス孕んだの!? なんて聞かれたら、俺は一体どうすればいい。
場所も場所だし、言い訳も苦しいよな。
妹が…好きすぎて…つい。とかほざいてみようか。
俺が退学になるわ。
「おいライネル。わたしも早く体験したいぞ」
メリナが分娩室を指さして、俺の肩を揺する。
羨ましさが表に出てる。
「叔母と甥はヤバすぎです」
「何がやばいのだ。わたしが良ければいいんだ。早くヤろう」
「馬鹿いってら」
と、生意気なことを言ったら、拳骨が飛んできた。
避ける間もなく、頭蓋骨にダメージを受けた。
「元気な子が産まれるといいな…」
メリナがそう言い、長椅子で横になった。
このまま仮眠を取るらしい。
---
そこから三時間が経過して。
分娩室から「おぎゃあ、おぎゃあ」と、余韻を残す泣き声が。
産まれた。
産まれたのだ。
遂に、遂にこの時がやって来た。
俺が叔父になる日がやってきた。
俺とメリナは、無許可で分娩室の中へと入った。
「あ、お兄さんですね。元気な女の子ですよ」
咎めることも無く、助産師が嬉しそうに言う。
テオネスは赤子を抱えていた。
真っ赤な深紅の髪の毛だ。
小さくて、玉のようにぷっくらと頬を膨らませている。
俺をじっと見たかと思えば、泣き出した。
「ほらー、パパでちゅよー」
と、可愛らしい赤ん坊にジョークを飛ばしてみたら、助産師が急に青ざめる。
ハルはムッとしていた。
ミラにはそっぽを向かれた。
「あ…冗談です。はい」
戒めに、ミラの隣へ移動。
しかし避けられる。
汗だくのテオネスが、大事そうに赤子を撫でていた。
「よしよし。頑張ったねー」
己の身よりも、赤子を労う。
実の妹が母になった。
まるで実感が湧かない。
嬉しさと興奮に、にやけてしまう。
「肌、ぷにぷにだな」
メリナが、赤ん坊の頬を優しくつついた。
心做しか、すごく嬉しそう。
「可愛いでしょ?」
「ああ。なんかもう、上からかぶりつきたい」
「やめて」
今度はメリナが、赤ん坊をあやしていた。
慣れた動きでゆりかごを再現。
ハルはうずうずと落ち着かない様子だ。
「あの、そろそろ僕の番…」
待ちかねたハルが、赤ん坊に触れた。
すると、メリナがそっと渡した。
「殺したら、殺すからな」
ド直球にも程がある忠告であった。
でも、これには助産師も頷いていた。
ミラだけ静かだった。
「可愛い子には旅をさせよ、てな感じよね」
「まだ早いだろ」
そう言うと、赤ん坊が「やーやー」と言ってミラの髪を引っ張る。
泣き止むどころか、キャッキャと笑っていた。
そのままミラは触診を受ける。
「ごめんなさいね。今私おっぱい出ないのよ。昔は出たんだけど」
耳寄りな情報を聞いた。
と、心を読まれて睨まれた。
場所を考えろってか。
ごめんなさい。
「安心しろ、わたしが居る」
頼もしいくらい立派な物をお持ちの方が言った。
メリナさんよ、やめときなって。
「メリナのそれって、何が詰まってるの?」
「好循環性、最高鮮度の乳」
「おお。じゃあ出ない時、お願いしようかな」
「任せろ。たらふく飲ませてやる」
そんな飲ませたら身体に悪いだろ。
なんてツッコミを入れたくなる。
「名前はどうするの? まさか決めてなかったとか、無いわよね?」
ミラがそう言うと、テオネスはニカッと微笑んで、赤ん坊を抱き締めた。
「この子には、明るく育って欲しい。昼も夜も狭間も、ずっと眩しく輝いていて欲しい。だから私、ハルと一緒に考えたんだ。この子の名前は『トレミー』。トレミー・ティッカードだよ」
太陽そのものである、テオネスの子供。
トレミー・ティッカード。
大事な大事な、俺の家族だ。
0
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる