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第八章 時神の千剣編
第136話 同じ色だと嫌いになれない
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天壊人。
それは世界各地で目撃されている怪物。
その力は守護者を切り裂き、天空をわかつ。
一呼吸の間に数十、或いは数百の太刀を振るうというのだ。
にわかには信じがたい話である。
この話は、御伽噺のように伝え聞いていた。
度々両親が口にしていた。
ガキの頃の俺はそいつに関して何の興味も無かったが、今は違う。
親族に末裔が加わったので、興味無いよ、なんて言えるはずもない。
形式上は同居人とするが、いつコルチカムが乗り込んでくるか…ヒヤヒヤするな。
「あややっ、あやっ」
テオネスの子供、トレミー・ティッカード。
俺の姪っ子にあたる、赤髪の女の子だ。
毎夜元気よく夜泣きするので、その度にびっくりする。
まあ、自分も泣き虫だったので、何も言いませんよ。
可愛い可愛い姪っ子です。
「うーん…出ないなぁ」
テオネスは、ひたすら自分の乳を揉んでいた。
母乳が出なくて困っているらしい。
「……」
まじまじと眺める気持ち悪い兄貴。俺。
テオネスの真後ろで、ギョッとした顔をするスレナ。
「母性に反応する男性って、意外と多いらしいですよ」
「マジで?」
「マジです。私も、もう出るのー? て、よく聞かれます。以前話したあの大臣補佐官にセクハラ紛いの質問ばっかされますよ」
立派過ぎるものをお持ちだもんな。
というか、消していいか? そいつ。
ピチピチの16歳になんて質問してんだ。
「ねぇお兄ちゃん」
「ん? なんだ?」
「お兄ちゃんが揉めば、出るかな?」
「出るでしょう! 多分!」
そう言った途端、ドタドタと慌ただしく階段を駆け下りてくる少女がいた。
あ、少女ではなかった。
少女に見える大人だった。
「出て行きなさい!」
ミラお母さまに追い出された。
絶賛涙が止まりません。
---
今日は休日だ。
鍛錬にもってこいの休日だ。
ということで、メリナ宅へおじゃま。
恐ろしい拷問器具が床に散乱していた。
「あの、これなんですか?」
「絶対に帰さん」
「いや帰して」
冗談はさておき、早速鍛錬開始。
メリナ様ご指導の元、剣を構えた。
「一合目、不意打ちを狙った袈裟懸け。二合目、誘導の真向斬り。三合目、必殺の一文字斬り。意図が見え見えだ」
ボロクソに批評された。
精神が削り取られた気がした。
「そう、わかるもんですか?」
「わかる」
「ご教授を」
「剣士職である以上、次の動作が確実に露呈する。足の向きから60パーセント、構えから40パーセント前後露呈する。その構え、その体勢から放つことが可能な斬撃、間合いを敵に教えてしまう」
「つまり、下手に構えない方がいいと?」
「馬鹿め。構えなければ、隙だらけだろ」
「そりゃそうか」
「あ?」
「すみません…」
タメ口は怒られるので、今後自重しよう。
またメリナに唇を奪われる。
いや、もう奪われた。
「天壊人はもっと使うんですよね」
「……」
「メリナさん?」
「あれは、剣技ではない。世界最強の剣士も嘘っぱちだ」
「どういうことです?」
「あー……いや。まあ、怪物の異名は正しいな」
「話が見えないんですけど」
「……触ってくれたら教える」
急にしおらしくなって、猥褻を要求された。
とりあえず下唇、否、卑猥な意味での下唇を触った。
やかましいわ。
「ん…いいよぅ…」
さっさと教えてくんないかな。
屋外でヤバいだろ、これ。
俺も我慢できなくなる。
「現天壊人は…腕が……六本ある」
「は?」
「だから…押さえ付けられて…んあっ!」
「あ、ごめんなさい。なんだって?」
「世界最強の剣は……六本で振るう神剣。触れたら…消滅する」
ここで俺は手を引いた。
腕が六本必要な剣とは、一体。
「消滅とは能力ですか?」
「それもある。けど、大部分は素の破壊力。腕一本一本の筋力が、巨人と変わらない」
「そりゃまた物騒な」
「だからこそ動きは鈍い。でも、間合いは冥界。掴まれてもダメ、斬られてもダメ。中距離に立てば転移してくる」
「つまり遠距離戦が望ましいのですね」
「と思うだろ? 残念、奴は天から雷を落とす。その時大地は焼かれ、国は消し飛ぶ。逃げも隠れもさせんよ、あれは」
「とんでもないですね」
「わたしも執拗に狙われたからな。強い子孫を残そうとする、支配者の思考回路はまだ生きているらしい」
「なんとエッチな」
「……」
俺は木陰に引き摺り込まれた。
支配者とは何たるか、身体に叩き込まれた。
なるほど、これが支配か。
「こうしてハルは産まれた。母親も災難だな」
「全くもって同意です」
「そう考えると、テオネスは幸せ者かもしれないな」
メリナがファスナーを閉めて、ベルトをカチャリと締め直した。
圧倒的支配者は、あんただよ。
天壊人より余程怖い。
「今のお前なら、食い下がる程度は可能かもしれん。ま、最終的に一刀両断がオチだろう」
「なら助けてくださいよ」
「私と結婚してくれるなら、全力でサポートするぞ」
「じゃあいいです」
「死ね」
とか言いつつ、ちゃんと俺の呼び出しに応じてくれるメリナ。
根は優しい人だと思う。
多分、わかんないけど。
これからも、鍛錬に付き合ってもらおう。
俺が天壊人を倒す、その日まで。
それは世界各地で目撃されている怪物。
その力は守護者を切り裂き、天空をわかつ。
一呼吸の間に数十、或いは数百の太刀を振るうというのだ。
にわかには信じがたい話である。
この話は、御伽噺のように伝え聞いていた。
度々両親が口にしていた。
ガキの頃の俺はそいつに関して何の興味も無かったが、今は違う。
親族に末裔が加わったので、興味無いよ、なんて言えるはずもない。
形式上は同居人とするが、いつコルチカムが乗り込んでくるか…ヒヤヒヤするな。
「あややっ、あやっ」
テオネスの子供、トレミー・ティッカード。
俺の姪っ子にあたる、赤髪の女の子だ。
毎夜元気よく夜泣きするので、その度にびっくりする。
まあ、自分も泣き虫だったので、何も言いませんよ。
可愛い可愛い姪っ子です。
「うーん…出ないなぁ」
テオネスは、ひたすら自分の乳を揉んでいた。
母乳が出なくて困っているらしい。
「……」
まじまじと眺める気持ち悪い兄貴。俺。
テオネスの真後ろで、ギョッとした顔をするスレナ。
「母性に反応する男性って、意外と多いらしいですよ」
「マジで?」
「マジです。私も、もう出るのー? て、よく聞かれます。以前話したあの大臣補佐官にセクハラ紛いの質問ばっかされますよ」
立派過ぎるものをお持ちだもんな。
というか、消していいか? そいつ。
ピチピチの16歳になんて質問してんだ。
「ねぇお兄ちゃん」
「ん? なんだ?」
「お兄ちゃんが揉めば、出るかな?」
「出るでしょう! 多分!」
そう言った途端、ドタドタと慌ただしく階段を駆け下りてくる少女がいた。
あ、少女ではなかった。
少女に見える大人だった。
「出て行きなさい!」
ミラお母さまに追い出された。
絶賛涙が止まりません。
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今日は休日だ。
鍛錬にもってこいの休日だ。
ということで、メリナ宅へおじゃま。
恐ろしい拷問器具が床に散乱していた。
「あの、これなんですか?」
「絶対に帰さん」
「いや帰して」
冗談はさておき、早速鍛錬開始。
メリナ様ご指導の元、剣を構えた。
「一合目、不意打ちを狙った袈裟懸け。二合目、誘導の真向斬り。三合目、必殺の一文字斬り。意図が見え見えだ」
ボロクソに批評された。
精神が削り取られた気がした。
「そう、わかるもんですか?」
「わかる」
「ご教授を」
「剣士職である以上、次の動作が確実に露呈する。足の向きから60パーセント、構えから40パーセント前後露呈する。その構え、その体勢から放つことが可能な斬撃、間合いを敵に教えてしまう」
「つまり、下手に構えない方がいいと?」
「馬鹿め。構えなければ、隙だらけだろ」
「そりゃそうか」
「あ?」
「すみません…」
タメ口は怒られるので、今後自重しよう。
またメリナに唇を奪われる。
いや、もう奪われた。
「天壊人はもっと使うんですよね」
「……」
「メリナさん?」
「あれは、剣技ではない。世界最強の剣士も嘘っぱちだ」
「どういうことです?」
「あー……いや。まあ、怪物の異名は正しいな」
「話が見えないんですけど」
「……触ってくれたら教える」
急にしおらしくなって、猥褻を要求された。
とりあえず下唇、否、卑猥な意味での下唇を触った。
やかましいわ。
「ん…いいよぅ…」
さっさと教えてくんないかな。
屋外でヤバいだろ、これ。
俺も我慢できなくなる。
「現天壊人は…腕が……六本ある」
「は?」
「だから…押さえ付けられて…んあっ!」
「あ、ごめんなさい。なんだって?」
「世界最強の剣は……六本で振るう神剣。触れたら…消滅する」
ここで俺は手を引いた。
腕が六本必要な剣とは、一体。
「消滅とは能力ですか?」
「それもある。けど、大部分は素の破壊力。腕一本一本の筋力が、巨人と変わらない」
「そりゃまた物騒な」
「だからこそ動きは鈍い。でも、間合いは冥界。掴まれてもダメ、斬られてもダメ。中距離に立てば転移してくる」
「つまり遠距離戦が望ましいのですね」
「と思うだろ? 残念、奴は天から雷を落とす。その時大地は焼かれ、国は消し飛ぶ。逃げも隠れもさせんよ、あれは」
「とんでもないですね」
「わたしも執拗に狙われたからな。強い子孫を残そうとする、支配者の思考回路はまだ生きているらしい」
「なんとエッチな」
「……」
俺は木陰に引き摺り込まれた。
支配者とは何たるか、身体に叩き込まれた。
なるほど、これが支配か。
「こうしてハルは産まれた。母親も災難だな」
「全くもって同意です」
「そう考えると、テオネスは幸せ者かもしれないな」
メリナがファスナーを閉めて、ベルトをカチャリと締め直した。
圧倒的支配者は、あんただよ。
天壊人より余程怖い。
「今のお前なら、食い下がる程度は可能かもしれん。ま、最終的に一刀両断がオチだろう」
「なら助けてくださいよ」
「私と結婚してくれるなら、全力でサポートするぞ」
「じゃあいいです」
「死ね」
とか言いつつ、ちゃんと俺の呼び出しに応じてくれるメリナ。
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多分、わかんないけど。
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
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