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第3章 ベジタル家と家族
【男の娘019】ガーネットの秘密
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「調理場にね~。上流貴族の御令嬢様がね~。それに料理はしたことないんじゃなかったのかな?」
「えぇと、それは・・・」
もぅ、ダメかもしれない。いやでも、説明ってどうやってすればいいんだろう?余計嘘ついているって思われないかな?
「ガーネット安心おし。なんのためにこの場に二人しかいないと思っているの。あなたには何か特別な事情があるんでしょう?でも、あなたは色々と賢そうに見えるのに、ところどころで迂闊(うかつ)で、そして、正直すぎるわね。昨日の料理も美味しいって言ってくれてたけど、本当は美味しくなかったんだろう?」
あぁ~~~、お母様が鋭すぎる。誤魔化せば誤魔化すほど泥沼化していきそうな感じだわ。
「はい、黙っていてすみません。実は料理はしたこともあるし、パンを作っているのを見たこともそして実際に作ったこともあります。」
「えぇ、それは手つきと料理の段取りを見ていれば、わかるわ。それで、それはどこで学んだのかしら?」
「それは、信じて貰えないかもしれませんが、ここから遠く離れた世界で元々暮らしていたからです。」
「ガーネットの言うことを私は信じるよ。だって、私たちは家族でしょ。誤魔化さなくていいから、私にわかってもらおうとしなくていいから、すべて正直に話して頂戴。」
そう言われて、私は日本での生活のこと、男の子だったこと、死んで神様に会って、ガーネットの身体に転生したこと、それがつい先一昨日(さきおととい)の出来事であることをかいつまんで話した。
「そうだったんだね。本来の名前は茜(あかね)ちゃんか。辛かったろう。親元を離れて寂しかったろう。一人でどことも知らない、常識もわからない世界に飛ばされて、いつの間にか本人が知らないとこで婚約してたんだから。」
お母様はそういって、私を抱きしめてくれた、ガーネットではなく、黒沢 茜として。
私は、泣いてしまった。もうあの懐かしい故郷の日本には2度と帰れないんだ。地震は起きたけど、お父さんもお母さんも、お祖父ちゃんだって生きているかもしれないのに、私はお別れの挨拶もこれまでの感謝も伝えることも出来ずにこっちの世界に来てしまっていた。
こっちに来た当初はやること、ガーネットとしての振る舞い、王子との婚約破棄にベジタル家の婚約、そして、また破棄に移動、そして結納金の返済の計画などやることが次から次へと来るので、その処理に追われて、心を休めることが出来ていなかったんだ。
それに、この世界では私は、私の秘密を未来永劫私一人で抱えていくものだと思っていた。だって、異世界からの転生なんて信じられるわけないもの。そんなこと説明したって、嘘つき呼ばわりされるか、頭がお花畑で評価されておわるだけなんだよ。
だから、この世界で本当に心から分かりあえる相手が出来るとは心の底では出来ないと思っていたんだ。でも、こうやって、私の存在に気付いて、本来の私、茜に気をつかってくれる人が出来るなんて思ってもみなかった。
心の底に沈めておいた感情が、その優しさで封が開いて、ドバっと大きな波のように押し寄せてきた。それにはもう、私は感情を抑えておくことができなかった。
ただただ、お母様の胸の中で私は泣き続けた。涙が枯れるんじゃないかってくらい泣き続けた。お母さまはそんな私を何もいわず、抱きしめ、そして頭を撫でてくれていた。
「えぇと、それは・・・」
もぅ、ダメかもしれない。いやでも、説明ってどうやってすればいいんだろう?余計嘘ついているって思われないかな?
「ガーネット安心おし。なんのためにこの場に二人しかいないと思っているの。あなたには何か特別な事情があるんでしょう?でも、あなたは色々と賢そうに見えるのに、ところどころで迂闊(うかつ)で、そして、正直すぎるわね。昨日の料理も美味しいって言ってくれてたけど、本当は美味しくなかったんだろう?」
あぁ~~~、お母様が鋭すぎる。誤魔化せば誤魔化すほど泥沼化していきそうな感じだわ。
「はい、黙っていてすみません。実は料理はしたこともあるし、パンを作っているのを見たこともそして実際に作ったこともあります。」
「えぇ、それは手つきと料理の段取りを見ていれば、わかるわ。それで、それはどこで学んだのかしら?」
「それは、信じて貰えないかもしれませんが、ここから遠く離れた世界で元々暮らしていたからです。」
「ガーネットの言うことを私は信じるよ。だって、私たちは家族でしょ。誤魔化さなくていいから、私にわかってもらおうとしなくていいから、すべて正直に話して頂戴。」
そう言われて、私は日本での生活のこと、男の子だったこと、死んで神様に会って、ガーネットの身体に転生したこと、それがつい先一昨日(さきおととい)の出来事であることをかいつまんで話した。
「そうだったんだね。本来の名前は茜(あかね)ちゃんか。辛かったろう。親元を離れて寂しかったろう。一人でどことも知らない、常識もわからない世界に飛ばされて、いつの間にか本人が知らないとこで婚約してたんだから。」
お母様はそういって、私を抱きしめてくれた、ガーネットではなく、黒沢 茜として。
私は、泣いてしまった。もうあの懐かしい故郷の日本には2度と帰れないんだ。地震は起きたけど、お父さんもお母さんも、お祖父ちゃんだって生きているかもしれないのに、私はお別れの挨拶もこれまでの感謝も伝えることも出来ずにこっちの世界に来てしまっていた。
こっちに来た当初はやること、ガーネットとしての振る舞い、王子との婚約破棄にベジタル家の婚約、そして、また破棄に移動、そして結納金の返済の計画などやることが次から次へと来るので、その処理に追われて、心を休めることが出来ていなかったんだ。
それに、この世界では私は、私の秘密を未来永劫私一人で抱えていくものだと思っていた。だって、異世界からの転生なんて信じられるわけないもの。そんなこと説明したって、嘘つき呼ばわりされるか、頭がお花畑で評価されておわるだけなんだよ。
だから、この世界で本当に心から分かりあえる相手が出来るとは心の底では出来ないと思っていたんだ。でも、こうやって、私の存在に気付いて、本来の私、茜に気をつかってくれる人が出来るなんて思ってもみなかった。
心の底に沈めておいた感情が、その優しさで封が開いて、ドバっと大きな波のように押し寄せてきた。それにはもう、私は感情を抑えておくことができなかった。
ただただ、お母様の胸の中で私は泣き続けた。涙が枯れるんじゃないかってくらい泣き続けた。お母さまはそんな私を何もいわず、抱きしめ、そして頭を撫でてくれていた。
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