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第6章 精霊樹の苗木 準備編
【雇用№80】薬儒の森 熊との対決 決行編3
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「いや、ティタニアさん、ドン引きって。こちらはなにも負傷がなかったんだからそこはいいじゃないですか。」
僕は、ボスの背中から降りて、諸々発動している魔法を解除していった。うん、もうダメ眠い。疲れた。そのまま崩れ落ちて、穴の縁で寝てしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「チル、リュウがボス熊を倒したわよ。」
とティタニアが、空を飛んで、森の中に退避しているチルに言った。そのままウリの背中に直行である。
「さっすがリュウ兄ちゃん。ティタニアちゃん。リュウ兄ちゃんは大丈夫なの?怪我はしてない?」
「それがね。リュウは・・・・」
「えっ、嘘。リュウ兄ちゃん。ウリ、ティタニアちゃん行くよ」
と言って、ティタニアが来た方向へ走り出した。もしかしたら、リュウ兄ちゃんが危険な状態かもしれない。そう思うと胸が苦しかった。やっぱりあの時無理してでも、リュウ兄ちゃんの傍にいればよかったよ。
森を抜けると、大きな穴が空いている場所にでた。
「あっ、リュウ兄ちゃんが倒れている」
チルはものすごい勢いで、穴の周りを走り、リュウの傍にかけていく。
「リュウ兄ちゃん大丈夫?しっかりして」
そばに着くとあらん限りの大きな声を出して、リュウに呼びかけた。でも返事はなかった。その代わり聞こえたのは
「ぐすぅ、ぐすぅ」
リュウ兄ちゃんの寝息だった。えっ、どういうこと?チルはわからなくなって、現場を知っているティタニアを探した。
ウリに乗ってトコトコとこっちに歩いてきている。
「ちょっとティタニアちゃん。これどういうこと?リュウ兄ちゃんなんともないじゃない!!」
「そうよ。なんともないわ。」
「だって、さっきは怪我してるって。。。。。」
「私は何も言ってないわよ。」
とティタニアが意地悪そうに、ニヤケテ言ってきた。
「確かにそうだけど、あの時の沈黙って、普通は肯定じゃないの。。。」
「今回は違ったってことね。でも、そういう未来もあったのよ。なにせ、最後にボスと一緒にリュウは特攻しようとしてたからね。」
「えっ、あのボス熊相手にそんな危険なことをしようと。」
「そうよ。もうあらゆる手段を試しての打つ手なしの状態だったし。最後になぜか、ボス熊が突然倒れて暴れ出したのは気にはなったけど。その後もなぜか痙攣して動かなくなっていたし。結局その状態で最後の止めに特攻しようとしてたのよ。もし、熊がそこで反撃してたら、リュウもボスもここにはいなかったかもしれないわ。」
ボスも疲れているのか、リュウから離れた所で地面に寝転がっている。
「そうだったんだね。リュウ兄ちゃんお疲れ様。」
っと言って、頬っぺたにキスをした。本当は起きている時にしたいけど、まだそんな関係じゃないもん。
「でもここだと、少しずれたら、穴の中に落ちちゃうよ。ウリ手伝ってくれる?」
「ぷぎゅっ」
一人と一匹で、穴から少し離れた所に引っ張って寝かせた。その後は、リヤカーまで毛布や食料品を取りに戻った。
「もう、こんな所で寝たら、危ないし風邪ひいちゃうよ。」
チルは優しく、毛布をかけてあげた。本当は人肌で温めた方が、温度が高いからいいんだろうけど、そこまではね。代わりにリュウ兄ちゃんの毛布の隣に自分の毛布を持ってきて座った。
ここは、一応薬儒の森の深層なのだ。正直見張りを立てずに寝ていい場所なんかではないんだよ。チルは戦闘で、折れている枝を拾ってきて、魔法で火をつけて暖を取った。ウリはチルの膝の上に乗っかって来て、スヤスヤと寝ている。
ティタニアも戦闘で気を張って集中して、感知をしていたせいか、そのまま眠ってしまっていた。
私だけで寝ずの番だね。リュウ兄ちゃんが隣で話してくれれば最高だったんだけどな~
っと思いながら、リュウの寝顔を見て、ぽっぺたをつついていた。
「でも、リュウ兄ちゃんがいれば絶対なんとかなると思っていた、精霊樹の件でさえ、リュウ兄ちゃんは、ギリギリだったんだね。でも、そのギリギリの中で最後は、私とウリを危険から遠ざけようとしてくれた。私は、リュウ兄ちゃんの傍に立っていられるように、頑張って魔法を覚えて近接の訓練までしたのに、あのボス熊の前ではなんの意味もなさなかった。ボスやリュウ兄ちゃんの攻撃でさえ、効かなかったんだから仕方ないけど。。。私はどうしたらリュウ兄ちゃんの傍に立っていられるのかな。
ウェルザさんやセバリンさんは、経営で活躍しているし私ではとても真似できない。モニカちゃんは小さいからリフレッシュ担当で置いて置くとして、ティタニアちゃんは感知でちゃんと猪たちとの通訳で役にたってたし。
私ってこの冒険。リュウ兄ちゃんの役に立っていたんだろうか?リュウ兄ちゃんに聞いたらきっと役に立ってるよ、助かってるって答えてくれる。でも、私は、本当にリュウ兄ちゃんの役に立ちたいんだ。」
そうだ、今のうちにポーションをリュウ兄ちゃんとボスに飲ませておこう。その方がきっと疲れがとれるよね。チルは傍にリュウが置いたポーションをとって一人と一匹にそっと飲ませていた。
こういうことをしてくれるだけで、安心して旅ができるのにチルはそのことに気付いていない。
僕は、ボスの背中から降りて、諸々発動している魔法を解除していった。うん、もうダメ眠い。疲れた。そのまま崩れ落ちて、穴の縁で寝てしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「チル、リュウがボス熊を倒したわよ。」
とティタニアが、空を飛んで、森の中に退避しているチルに言った。そのままウリの背中に直行である。
「さっすがリュウ兄ちゃん。ティタニアちゃん。リュウ兄ちゃんは大丈夫なの?怪我はしてない?」
「それがね。リュウは・・・・」
「えっ、嘘。リュウ兄ちゃん。ウリ、ティタニアちゃん行くよ」
と言って、ティタニアが来た方向へ走り出した。もしかしたら、リュウ兄ちゃんが危険な状態かもしれない。そう思うと胸が苦しかった。やっぱりあの時無理してでも、リュウ兄ちゃんの傍にいればよかったよ。
森を抜けると、大きな穴が空いている場所にでた。
「あっ、リュウ兄ちゃんが倒れている」
チルはものすごい勢いで、穴の周りを走り、リュウの傍にかけていく。
「リュウ兄ちゃん大丈夫?しっかりして」
そばに着くとあらん限りの大きな声を出して、リュウに呼びかけた。でも返事はなかった。その代わり聞こえたのは
「ぐすぅ、ぐすぅ」
リュウ兄ちゃんの寝息だった。えっ、どういうこと?チルはわからなくなって、現場を知っているティタニアを探した。
ウリに乗ってトコトコとこっちに歩いてきている。
「ちょっとティタニアちゃん。これどういうこと?リュウ兄ちゃんなんともないじゃない!!」
「そうよ。なんともないわ。」
「だって、さっきは怪我してるって。。。。。」
「私は何も言ってないわよ。」
とティタニアが意地悪そうに、ニヤケテ言ってきた。
「確かにそうだけど、あの時の沈黙って、普通は肯定じゃないの。。。」
「今回は違ったってことね。でも、そういう未来もあったのよ。なにせ、最後にボスと一緒にリュウは特攻しようとしてたからね。」
「えっ、あのボス熊相手にそんな危険なことをしようと。」
「そうよ。もうあらゆる手段を試しての打つ手なしの状態だったし。最後になぜか、ボス熊が突然倒れて暴れ出したのは気にはなったけど。その後もなぜか痙攣して動かなくなっていたし。結局その状態で最後の止めに特攻しようとしてたのよ。もし、熊がそこで反撃してたら、リュウもボスもここにはいなかったかもしれないわ。」
ボスも疲れているのか、リュウから離れた所で地面に寝転がっている。
「そうだったんだね。リュウ兄ちゃんお疲れ様。」
っと言って、頬っぺたにキスをした。本当は起きている時にしたいけど、まだそんな関係じゃないもん。
「でもここだと、少しずれたら、穴の中に落ちちゃうよ。ウリ手伝ってくれる?」
「ぷぎゅっ」
一人と一匹で、穴から少し離れた所に引っ張って寝かせた。その後は、リヤカーまで毛布や食料品を取りに戻った。
「もう、こんな所で寝たら、危ないし風邪ひいちゃうよ。」
チルは優しく、毛布をかけてあげた。本当は人肌で温めた方が、温度が高いからいいんだろうけど、そこまではね。代わりにリュウ兄ちゃんの毛布の隣に自分の毛布を持ってきて座った。
ここは、一応薬儒の森の深層なのだ。正直見張りを立てずに寝ていい場所なんかではないんだよ。チルは戦闘で、折れている枝を拾ってきて、魔法で火をつけて暖を取った。ウリはチルの膝の上に乗っかって来て、スヤスヤと寝ている。
ティタニアも戦闘で気を張って集中して、感知をしていたせいか、そのまま眠ってしまっていた。
私だけで寝ずの番だね。リュウ兄ちゃんが隣で話してくれれば最高だったんだけどな~
っと思いながら、リュウの寝顔を見て、ぽっぺたをつついていた。
「でも、リュウ兄ちゃんがいれば絶対なんとかなると思っていた、精霊樹の件でさえ、リュウ兄ちゃんは、ギリギリだったんだね。でも、そのギリギリの中で最後は、私とウリを危険から遠ざけようとしてくれた。私は、リュウ兄ちゃんの傍に立っていられるように、頑張って魔法を覚えて近接の訓練までしたのに、あのボス熊の前ではなんの意味もなさなかった。ボスやリュウ兄ちゃんの攻撃でさえ、効かなかったんだから仕方ないけど。。。私はどうしたらリュウ兄ちゃんの傍に立っていられるのかな。
ウェルザさんやセバリンさんは、経営で活躍しているし私ではとても真似できない。モニカちゃんは小さいからリフレッシュ担当で置いて置くとして、ティタニアちゃんは感知でちゃんと猪たちとの通訳で役にたってたし。
私ってこの冒険。リュウ兄ちゃんの役に立っていたんだろうか?リュウ兄ちゃんに聞いたらきっと役に立ってるよ、助かってるって答えてくれる。でも、私は、本当にリュウ兄ちゃんの役に立ちたいんだ。」
そうだ、今のうちにポーションをリュウ兄ちゃんとボスに飲ませておこう。その方がきっと疲れがとれるよね。チルは傍にリュウが置いたポーションをとって一人と一匹にそっと飲ませていた。
こういうことをしてくれるだけで、安心して旅ができるのにチルはそのことに気付いていない。
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