【完結】雇われ勇者の薬草農園 ~チートスキルで薬草栽培始めます~ 【累計13万PT & 123大賞4一次通過】

近衛 愛

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第8章 変わってしまう日常編

【雇用№116】突発!魔族襲撃7

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念には念を入れて、

「アースウォーターネット」

 3体の絡みあっているデーモンにダメ押しで、粘着ネットをプレゼント。まだまだ、ハエのようにブンブンと飛んでいるデーモンがいるので、止めをさしに行くことは出来ない。

さらに落とし穴にハマったデーモンにも同じく

「アースウォーターネット」

をプレゼント。これで4体は、しばらくの時間は拘束されて動けないはずだ。残すところ、元気なデーモンは上の4体のみ。

◆ ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆

その頃、街の各所では、インプは退治して、デーモンを複数人でとりかかり、犠牲者を出しながらも、倒すことが出来ていた。

しかし、

「モグモグ」

「うきゅっうきゅうきゅきゅ」

一匹のデーモンより小さいサイズの羽の生えた魔族が、倒されたインプを人に見られない用に食べていた。

 その小魔族は、食べる毎に体を大きくしていった。インプを一体食べ終わる頃には、インプと同じくらいのサイズへと変化したいた。

 その小魔族は、人に見つかることなく、同族の死骸を楽しそうに食べていく。食べていく。食べていく。人ほどの大きさになってからは、人目を憚(はばか)らずに食べ始めた。

同じ種族を食べる行為は、人族では、禁忌とされている。稀に虫の蟷螂(かまきり)や蜘蛛(くも)などは、同種を喰らうことで知られているが、人の形態をしたもので、同族を食べるのは聞いたことはない。

 その者がいれば、同種のものは、いつ自分が食べられるかと不安で安心出来なくなるからだ。そう、同種喰は、基本的には、恐れをなした同族によって討伐されるのである。

 しかし、今、同族に知られずにこっそりと同族を喰らう小魔族に気づくデーモンはいなかった。なぜ、今回に限り特異な魔族が現れたか知る術はない。

「モグモグ」

「うきゅっうきゅうきゅきゅ」

 食べ終わった小魔族が、不気味に笑い声を上げる。その様子を目にした町の人は、あまりの悍(おぞ)ましさに、恐怖に陥り、逃げ出してしまった。

 小魔族は、誰かに干渉することもなく、人に倒されたデーモン、インプを次々と喰らっていく。食べられた後は何もない。魔石すらも残されていない。。。

◆ ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆

「ふー、なんとか全部倒せたな。」

「ええ、そうな。これもティタニア様の的確な対応のお陰よね。」

「うん、ティタニアちゃんのお陰で私達、目の前の的に集中出来て助かったよ。ありがとう。」

「.ええ、ええ、ティタニア様のお陰で無事大した怪我もなく退治することが出来ました感謝です。」

うやうやしく、ティタニアの前に跪き首(こうべ)を垂れて、感謝の意を表明します。感謝されたのが嬉しいのか、ティタニアは更にグリーンスーツを着ながら、胸を逸らして高笑いし出した。

「ほーっほっぼっほっほっ.この調子でデーモンを残らず退治しに行くわよ。」

「いや、ティタニア。その前にセバリンと奥さんを救出に行かないと。」

「そうね。なら、チルとリュウはセバリンさんのとこに行って、私はウェルザとモニカちゃんを連れて避難誘導しに行くわ。」

「ラジャー」

と僕とチルがセバリンさんのとこに向かおうとした時

「やっぱり二人ともちょっとまっておかしな魔素の塊がこっちに向かってくる。今のスーツを着ている状態でも感知出来るくらいに魔素が大きいから、デーモンとは比べものにならないわよ。」

「なにっ?デーモンと比べ物にならないって不味いぞ。そもそも攻撃が効くかどうかが分からんてことじゃないか?それに、ここに来る前に通信で聞いてさた限りでは、デーモンより強い者の存在に関しては何も言ってなかっただろう。」

「知らないわよ。その後にゲートを通って来たのかも知れないし、魔素を隠蔽してたのかも知れないわ。ゲートはもう既に閉じているから、残っている魔族を倒せば終わりなのよ。」

「でも、デーモンより強いボスが来たってことか。モニカちゃんとウェルザさんはそのまま待機だな。チルも………」

「私だって戦うよ。今の戦闘だって私がいなかったら厳しかったんでしょ。私にも出来ることがあるんなら、リュウ兄ちゃんと一緒に戦うよ。」

「いや、でもな……うん、一緒に戦おう。チル。スピードが早いみたいだから疾風の魔法をかけとこう。」

「うん。」

元気よくチルが返事する。

『疾風』

そのあと、女神の祈りを唱え終わったチルが遅れて

『疾風』

「ティタニアそれで、敵はどっちから来るんだ。あとどれくらいだ?」

「そっちよ。もう目視できる範囲にいるわ。………げっ、あいつは、魔族からも忌みされる存在のデーモンイーター。魔族喰らいよ。」

「デーモンイーター?」

「厄介なやつが来たわね。手早く説明すると、同族喰らいのデーモンよ。通常は、インプより弱いんだけど、同族を喰らえば喰らうほど強くなるのよ。それにここにはデーモンの死骸が沢山あるわ。あいつの食糧にもなるのよ。」

「げっ、そんなアニメや漫画みたいな特性の敵がいるのか。対応策はなんかないのか?ティタニア!」

「ないわ。というか知らないわよ。でも、分かっていることは、デーモン以上にとんでもなく強くなってるってことよ。あと、これ以上強くさせないために、デーモンの死骸を食べられないようにしないとね。」

「二人とも死ぬなよ。」

「リュウも」
「リュウ兄ちゃんもね。」

僕たち3人は、分散して走り出した。

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