【完結】雇われ勇者の薬草農園 ~チートスキルで薬草栽培始めます~ 【累計13万PT & 123大賞4一次通過】

近衛 愛

文字の大きさ
148 / 188
第8章 変わってしまう日常編

【雇用№147】魔法石と空の魔石とウェルザさん

しおりを挟む
 それから幾日かが経過した。

 ウェルザさん、セバリンさんの経営コンビにより空魔石の入手はほぼただ同然で手に入れることが出来た。空魔石自体は水晶の様に透き通っていて綺麗なものだった。

 それ自体も加工すれば価値が出そうなものだけど、ゴミとして扱われていた為、身につけるというか、加工するという観点がなかった様だ。

 某テレビ番組の0円食堂とかではないが、使えないものを捨てるってのは当たり前のことだけど、そこに価値を見出すことが出来れば、コストは大分抑えられるね。魚の下魚やもつ、なんか前は見向きもされなかったから。

 使用用途が見つかれば、価値は自ずと上がってくるし、廃棄にかかっていた費用もそれを欲しい人が勝手に取りに来てくれるから、廃棄コストも無くなるしお互いにウィンウィンですね。

 ウェルザさん達は、その空魔石を、使って彫金し、ネックレスやブレスレットなどのアクセサリーを製作していた。役所に説得材料として提示した手前作る必要があるのだとか。

 これらも富裕層の貴族達がターゲットになっている。量産品にするつもりはないらしく、一品一品が完全オリジナルとなっている。

 そして、夜な夜なウェルザさんがアクセサリーを装備して、お茶会やダンスパーティーに参加して、アピールしているらしい。

 彼女自身が歩く広告塔となっている。何やらウェルザさんにはファンクラブものもあると言う噂もチラッと耳にする。一児の母であり、シングルマザーであれば、狙う人もいるし、応援する人いるのだろう。

 ウェルザさん自身が広告塔になり、営業も行い、製造も行う。第三次産業も形なしの役割ぶりである。しかも今後は、魔石を作って、売り出す地産地消も出来るエコ経済路線である。

 もはやこの国の経済の行く末は彼女に委ねられているのではないだろうか?うちのファームももはや実質ウェルザさん1頭体勢に近い。僕?僕はお飾りみたいなもので、社長の隣に座って相談を受ける臨時顧問職である。

「さっ、今日はウェルザさんがどんな一日を過ごしているか一日密着してみようかな。」

 朝のステキな朝食の団欒の席で不用意な発言をしてしまったのが、不幸な始まりだった。朝の自分の迂闊な発言を呪わずにはいられない。

 ギギギっと、正面に座って食べていたチルの顔がこちらに動く。目が鋭く笑っていない。人を眼力だけで殺せそうな威圧を放っている。

「ちょっとリュウ兄ちゃん。今なんて言ったの?」

 今の不用意な発言を繰り返す様に言われる。しかし、これは言う意味があるのだろうか?得手して女性はこの手の無駄と思われる発言をしたがる。

 なにやましいことは、何もない。それに彼氏彼女の関係のないチルになにを言っても問題ない。。。そう、問題ない。。。と。。。思う。。。

「ええッと、ウェルザさん密着24時しようかなって。」

 ギロっと鋭い視線でチルがこちらを睨んでくる。でも顔は、満面の笑みである。怖い怖すぎる。年がかなり離れているにも関わらずこれだけな威圧が来るものだろうか。

「ふっうーん。それで、1密着24時ってなにするの?」

「何って。テレビ番組では、憧れのアイドルの朝の寝顔のドッキリから、お風呂入った後のおやすみまで、こっそり密着して、どんな生活をしているか色んな人に知ってもらう為の企画だよ。。。。テレビの企画はね、」

  もっとも僕はそこまでしないし、出来ないけど。ウェルザさんの寝顔って、ウェルザさんのお屋敷に泊まらないと住居不法侵入で捕まっちゃうし。もっともこの幻想世界にそんな法があるのかどうか知らないが、現代の法律に照らし合わせて行動すれば問題はないだろう。

 窃盗は犯罪で、強盗も犯罪で、おいらオイラ詐欺も勿論犯罪だ。異世界に来た所で、人が困ることをするならそれは全て犯罪で問題ないだろう。

 で密着24時だが本人の了解を取らずに行うとやはりダメな、気がする。


「ふーん、リュウ兄ちゃんは、私が一緒に住んでるのにウェルザさんにそんなことするんだ。」

「いや、ほらね。チル。あれだあれ。一緒に住んでいる分チルの可愛い寝顔は何度か見てるし、チルが何が好きで嫌いかも見てきたしね。それにチルとは朝からこうやって雑談を結構交わすだろう。あらためて24時密着しても新しく分かることなんてないだろう?」

「えっ、嘘っ、可愛いって言ってくれた~。うふっうふふっ。でもでも好きな人に寝顔見られるって凄く恥ずかしいな。ヨダレ垂れてなかったかな。変な寝言言ってないかな。」

 また、チルのあれが始まってしまった。さっきから目が空に、焦点が定まらず注意を見ながらぶづぷつと小声で何か呟いている。ほんと、これがなければ完全に美少女でどこにお嫁に出しても恥ずかしくないのになー。

 これがあるばっかりに他所にお嫁に行けるかどうか兄貴分としては、不安の種でしかない。ほんと嫁に行けなかった時はチルはどうしようかな?一緒に住んでるから縁が遠のいているなら、結婚しやすい時期に早めに一人暮らしさせないとね。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...