退魔師巫女はお付きのキョンシー男に気がありますが一筋縄とはいきません。

最終話 キョンシーの正体と精一杯の告白

「やったわ！」

嬉しさにメイユイはエイレンに駆け寄る。

「そのようですね」

ヨキは衛兵達によりとっくに取り押さえられ、牢に連れられて行かれた。
奴は気に入らない物達を葬り、疑われる前に屋敷を変えながら逃亡していたのだろう。


今は2人きりだ。

「エイレン？」

「やはり、元友人に殺されたという事実はキツさがありますね」

キョウチクトウの匂いで亡くなった当時を少しずつ思い出していたらしい。
最初に亡くなったのがエイレンならその前にヨキは呪術師と知り合っていた事になる。

「近くの骨董で財をなした主人の付き人に昇格したと当時、同僚だったヨキに伝えたらこうなってしまいました。最期にあなた様に仕える事ができてよかった･･･ 」

そう少し悲しそうに笑う彼の体は少し透けていた。

（そうだ。自分の死因が分かったから）
エイレンは成仏してしまうとメイユイは悟った。

（そんなの、そんなの絶対にだめ！）
メイユイは彼に抱きついた。

「メイユイ様？」
突然の事にエイレンは驚いた。

「エイレン、これからは私の為に生きて！」

「！」
情熱的な言葉にエイレンは目を見開いた。

メイユイは照れたのか
「ほらあなた、お姉ちゃんにも忠告されたじゃない？」
と弁解を入れる。


「そうですね。メイユイ様みたいなせわしない女主人はそういません」

「あー！失礼なんですけど」

せっかくのムードが台無しだ。

兎にも角にもこうやって一人の退魔師とキョンシーは仕事をこなした。





そしてまた、夜は明ける。

いつものように仕事に出向くメイユイの側には、顔を札で隠した美しいキョンシーがいて彼女を今日も護っているのであった。

完