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8話 魔法使い伯爵とルナの記憶
しおりを挟むあまりにいろんな事が起きて混乱しているといつのまにか背後から誰かが肩を触った気がした。
「ヒッ!」
恐怖で固まると
「これは失礼した」と通った声が聞こえた。
目を開けるとそこには黒髪の見目麗しい青年がいた。
黒いスーツ、マントに手袋をし倒れた私の手を取って引き上げる彼は魔物ではなく王子に見えた彼は
「遠いとこから遥々お越しくださいました、ルナ嬢。
僕があなたの花婿のノア・ジャスパー・ウィンザードです」
と跪いて言った。
がまありの出来事に頭が追いつかなくて私は倒れてしまった。
ルナ嬢!と名前を呼ばれた気がしたが私はバラの匂いが鼻腔をくすぐったのを感じながら意識を手放した。
気がつくと私は6つか7つの頃の姿が自室のベッドにいるのが見えた。
横にはお母様がいて側で絵本を読み聞かせてくれている。
お母様が生きている!
と喜びを感じるも束の間これは過去だと気づく。
ちょうど魔法使いが出てくるお話を読んでいるのだ。
確かに、あの頃はよくお姫様のお話が好きでお母様によく読んでってお願いしていたなとその姿を見て懐かしさを覚える。
魔法使いの登場シーンのページを見ながら
「お母様、なんで魔法使いや魔女は怖い姿で描かれるの?魔法使いって怖い生き物なの?」
そう質問すると彼女は少し困って
「そうねぇ、ルナ。例えばルナはパパとママは怖くないでしょう?」
と聞かれ頷く。
お父様もあの頃は穏やかだったからだ。
「でもママの知り合いのマリア叔母様はどう?」
と聞かれ困惑した。
マリア叔母様には小さい頃に会ったと聞かされているが全く覚えていない。記憶にないのでどういった人か分からないのだ。
「分からないわ」と答えると
「そうね。きっと魔法使いも同じよ。会った事はないからママにも分からないわ」
「お母様にも分からない事があるの?」
「ええ。つまりね、ルナも私も分からない人の事は怖いのよ。でもマリア叔母様はママと仲良しなの。
知らない者同士でも分かり合おうとすれば怖くないわ。それは人も魔法使いも一緒よ」
そう私の頭を撫でながら笑う彼女に
コクッと頷くと
「じゃあ私、魔法使いとお知り合いになったらお友達になってお母様に会わせるわ」
と言うと彼女はコロコロ笑って咳き込んだ。
「お母様、大丈夫!?」
彼女の背中を咳きが柔らかくようにさすると
「大丈夫よ、ええ。きっと魔法使いも驚くと思うわ。
ルナがもし彼らとお友達になったらママに会わせてね。約束よ」
そう言われ指切りをするとそこで私の意識は戻った。
「ー!」
涙が止まらない。
懐かしい母の姿に恋しさが募ったが、いつのまにかオレンジ色の炎が燃える暖炉の前のソファで寝ていたみたいだ。
「これは・・・、マント?」
黒く襟元に鮮やかな宝石ピンと羽がついたマントを誰かが私に掛けてくれていたみたいだ。
(そうだった。確かこのマントを付けていた人に倒れる前に会っていたんだわ)
ソファから立ち上がり周りを見渡すとその人はすぐ見つかった。
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