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白と黒の饗宴2
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「さあ、もっと遊ぼう」
鬼が、今度は刀を持ってこちらに駆けてくる。光明は呪術で鬼を焼き尽くそうとするが、鬼が息を吹くと炎が消えてしまう。鬼が光明に斬りかかろうとした時、鬼の手が止まった。水の渦が鬼の刀を取り巻き、動かせないようにしていたのだ。
「先生、無事ですか!?」
見ると、呪符を持った法眼がすぐ側まで来ていた。申し訳程度に烏帽子を被っている。
「ああ? 鬼じゃないか。何で鬼が俺を止めるんだ。呪術まで使いやがって」
鬼は水の渦を消すと、眉根を寄せた。
「人を食う鬼と一緒にするな。お前、沢山人を食ってるだろう。分かるんだよ」
法眼はそう言うと、呪術で炎を出そうとした。
「法眼、その鬼にはそういう術は効かな……」
光明が言い終わる前に、鬼が扇で煽いだ。法眼は勢いよく吹き飛ばされ、近くの塀に激突する。
「……っ……!!」
「何だ、もう終わりか?」
鬼が法眼に近づいた時、鬼の背後から声がした。
「黒曜」
その落ち着いているが恐怖を感じさせる声に、法眼は聞き覚えがあった。
「その子の事は、私に任せてくれないか」
法眼は顔を上げた。白い髪、作り物めいた笑顔。そこにいたのは――法眼の兄、白樹だった。
「あ? 何でお前がここにいるんだ、白樹。俺が朱雀門から攻めて、お前が反対側の偉鑒門から攻めるはずじゃなかったのか」
「そのつもりだったが、せっかく可愛い弟がここにいるのだから、こちらを構いたい。お前が偉鑒門に行ってくれないか」
「こいつ、お前の弟かよ。……しかしなあ……」
「頼む」
黒曜と呼ばれた鬼は、白樹の目をじっと見ると、溜息を吐いた。
「わかった」
そう言うと、黒曜は風のように走り去っていった。
「まずいですね」
光明が言った。
「偉鑒門から避難する者も多いはずですが、朱雀門に武官が集まっているという事はあちらの警備は手薄。このままあの黒曜とかいう鬼を行かせたら、多数の犠牲者が出るかもしれません」
隣にいる基家が考え込むようにして言った。
「そうだな……しかしこちら側にも倒すべき鬼がいる。どうする?」
「仕方ありません……法眼!」
光明は、遠くにいる法眼に声を掛けた。
「私は基家様と共に偉鑒門の方へ行きます。お前はこちらで頑張って下さい」
「俺が同行する前提なのか」
基家が口を挟んだ。
「術者一人で何とかできる相手ではないですからね。……で、代わりと言っては何ですが、呪符を大量にこちらに残しておきます。これを武官の弓に巻き付ける等して応戦してもらえば、少しは法眼の助けになるでしょう」
「戦力が二人もこちらからいなくなるのは痛手ですが、わかりました」
法眼が答えると、光明は近くにいた武官に呪符について説明し、基家と共に去って行った。
「さて、話し合いも終わったようだし、宴を始めようか」
白樹が、笑顔で法眼を見つめた。
鬼が、今度は刀を持ってこちらに駆けてくる。光明は呪術で鬼を焼き尽くそうとするが、鬼が息を吹くと炎が消えてしまう。鬼が光明に斬りかかろうとした時、鬼の手が止まった。水の渦が鬼の刀を取り巻き、動かせないようにしていたのだ。
「先生、無事ですか!?」
見ると、呪符を持った法眼がすぐ側まで来ていた。申し訳程度に烏帽子を被っている。
「ああ? 鬼じゃないか。何で鬼が俺を止めるんだ。呪術まで使いやがって」
鬼は水の渦を消すと、眉根を寄せた。
「人を食う鬼と一緒にするな。お前、沢山人を食ってるだろう。分かるんだよ」
法眼はそう言うと、呪術で炎を出そうとした。
「法眼、その鬼にはそういう術は効かな……」
光明が言い終わる前に、鬼が扇で煽いだ。法眼は勢いよく吹き飛ばされ、近くの塀に激突する。
「……っ……!!」
「何だ、もう終わりか?」
鬼が法眼に近づいた時、鬼の背後から声がした。
「黒曜」
その落ち着いているが恐怖を感じさせる声に、法眼は聞き覚えがあった。
「その子の事は、私に任せてくれないか」
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「あ? 何でお前がここにいるんだ、白樹。俺が朱雀門から攻めて、お前が反対側の偉鑒門から攻めるはずじゃなかったのか」
「そのつもりだったが、せっかく可愛い弟がここにいるのだから、こちらを構いたい。お前が偉鑒門に行ってくれないか」
「こいつ、お前の弟かよ。……しかしなあ……」
「頼む」
黒曜と呼ばれた鬼は、白樹の目をじっと見ると、溜息を吐いた。
「わかった」
そう言うと、黒曜は風のように走り去っていった。
「まずいですね」
光明が言った。
「偉鑒門から避難する者も多いはずですが、朱雀門に武官が集まっているという事はあちらの警備は手薄。このままあの黒曜とかいう鬼を行かせたら、多数の犠牲者が出るかもしれません」
隣にいる基家が考え込むようにして言った。
「そうだな……しかしこちら側にも倒すべき鬼がいる。どうする?」
「仕方ありません……法眼!」
光明は、遠くにいる法眼に声を掛けた。
「私は基家様と共に偉鑒門の方へ行きます。お前はこちらで頑張って下さい」
「俺が同行する前提なのか」
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「術者一人で何とかできる相手ではないですからね。……で、代わりと言っては何ですが、呪符を大量にこちらに残しておきます。これを武官の弓に巻き付ける等して応戦してもらえば、少しは法眼の助けになるでしょう」
「戦力が二人もこちらからいなくなるのは痛手ですが、わかりました」
法眼が答えると、光明は近くにいた武官に呪符について説明し、基家と共に去って行った。
「さて、話し合いも終わったようだし、宴を始めようか」
白樹が、笑顔で法眼を見つめた。
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