41 / 41
第41話 #好きって言ってないのに
しおりを挟む
――気づけば、空が春の色に変わっていた。
入学当初の喧騒も、誤解ばかりの騒ぎも、今では笑って話せる思い出になっている。
StarChatのトレンドに、今日もタグがひとつ上がった。
───────────────────────
StarChat #好きって言ってないのに
【校内ウォッチ】
「真嶋&七瀬、放課後の星見坂でついに相思相愛!?」
コメント:
・「#長かった誤解物語」
・「#青春の証明」
───────────────────────
「……ほんと、何でもバレるよな」
苦笑しながらスマホをポケットに戻す。
でも、もう恥ずかしさよりも、温かさのほうが勝っていた。
放課後。
夕日が差し込む教室に、ひよりが現れた。
窓辺で光を背に受けたその姿は、初めて“誤解”が起きたあの日と重なる。
「蒼汰くん」
「おう」
「これ、覚えてますか?」
ひよりが差し出したのは、あの“また話そうライト”だった。
少し黄ばんで、ところどころに細かな傷。
でも光をつけると、まだちゃんと灯る。
「ちゃんと光りますね」
「お前が作ったもんだからな」
「ふふっ。じゃあ、これでおしまいです」
「え?」
「“また話そうライト”は、“また話そう”って言い続けたから完成なんです。
もう、“また”を待たなくてもいいですから」
ひよりがそっとスイッチを切った。
光が消えて、教室の空気がやさしい夕暮れ色に戻る。
「なあ、ひより」
「はい」
「俺たち、いろいろあったな」
「ありましたね」
「誤解も、炎上も、先生のポエムも」
「ふふ。全部、青春ですね」
「でもさ、俺……もう誤解されても構わないわ」
「どうしてですか?」
「お前のこと、好きなのは本当だから」
ひよりの目が一瞬、揺れて、
次の瞬間、やわらかく笑った。
「……私も、です」
「言葉にすると、あっけないな」
「でも、言葉にしないと伝わらないですよ?」
「たしかに」
二人の笑い声が、夕日の中で小さく混ざる。
その夜。
StarChatを開くと、新しい投稿が流れていた。
───────────────────────
StarChat #好きって言ってないのに
【七瀬ひより@2-B】
「“誤解”は、言葉が足りない証拠。
でも、足りなかった分だけ、心で補えた気がします。」
コメント:
・「#告白完結」
・「#誤解から始まる恋の証明」
───────────────────────
続いて、俺も投稿する。
───────────────────────
StarChat #好きって言ってないのに
【真嶋蒼汰@2-B】
「好きって言ってないのに、
なんでバレたか、やっとわかった。
――ちゃんと、伝わってたからだ。」
───────────────────────
画面の光を見ながら、心の底で思う。
“誤解”から始まった俺たちの物語は、
ようやく“理解”に変わったんだ。
もう、隠すことなんて何もない。
だからこそ――笑える。
誤解も、全部、愛しい。
そして、校内ウォッチが最後に投稿した。
───────────────────────
StarChat #好きって言ってないのに
【校内ウォッチ・最終報】
「結論:誤解は恋のはじまり。
StarChat史上、もっとも“いいね”された物語。」
───────────────────────
窓の外、春の星が一つ瞬いた。
小さな光が、まるで“また話そうライト”の続きのように見えた。
――俺たちの物語は、
“好きって言ってないのに”から始まって、
ちゃんと“好きだ”で終わったんだ。
(完)
入学当初の喧騒も、誤解ばかりの騒ぎも、今では笑って話せる思い出になっている。
StarChatのトレンドに、今日もタグがひとつ上がった。
───────────────────────
StarChat #好きって言ってないのに
【校内ウォッチ】
「真嶋&七瀬、放課後の星見坂でついに相思相愛!?」
コメント:
・「#長かった誤解物語」
・「#青春の証明」
───────────────────────
「……ほんと、何でもバレるよな」
苦笑しながらスマホをポケットに戻す。
でも、もう恥ずかしさよりも、温かさのほうが勝っていた。
放課後。
夕日が差し込む教室に、ひよりが現れた。
窓辺で光を背に受けたその姿は、初めて“誤解”が起きたあの日と重なる。
「蒼汰くん」
「おう」
「これ、覚えてますか?」
ひよりが差し出したのは、あの“また話そうライト”だった。
少し黄ばんで、ところどころに細かな傷。
でも光をつけると、まだちゃんと灯る。
「ちゃんと光りますね」
「お前が作ったもんだからな」
「ふふっ。じゃあ、これでおしまいです」
「え?」
「“また話そうライト”は、“また話そう”って言い続けたから完成なんです。
もう、“また”を待たなくてもいいですから」
ひよりがそっとスイッチを切った。
光が消えて、教室の空気がやさしい夕暮れ色に戻る。
「なあ、ひより」
「はい」
「俺たち、いろいろあったな」
「ありましたね」
「誤解も、炎上も、先生のポエムも」
「ふふ。全部、青春ですね」
「でもさ、俺……もう誤解されても構わないわ」
「どうしてですか?」
「お前のこと、好きなのは本当だから」
ひよりの目が一瞬、揺れて、
次の瞬間、やわらかく笑った。
「……私も、です」
「言葉にすると、あっけないな」
「でも、言葉にしないと伝わらないですよ?」
「たしかに」
二人の笑い声が、夕日の中で小さく混ざる。
その夜。
StarChatを開くと、新しい投稿が流れていた。
───────────────────────
StarChat #好きって言ってないのに
【七瀬ひより@2-B】
「“誤解”は、言葉が足りない証拠。
でも、足りなかった分だけ、心で補えた気がします。」
コメント:
・「#告白完結」
・「#誤解から始まる恋の証明」
───────────────────────
続いて、俺も投稿する。
───────────────────────
StarChat #好きって言ってないのに
【真嶋蒼汰@2-B】
「好きって言ってないのに、
なんでバレたか、やっとわかった。
――ちゃんと、伝わってたからだ。」
───────────────────────
画面の光を見ながら、心の底で思う。
“誤解”から始まった俺たちの物語は、
ようやく“理解”に変わったんだ。
もう、隠すことなんて何もない。
だからこそ――笑える。
誤解も、全部、愛しい。
そして、校内ウォッチが最後に投稿した。
───────────────────────
StarChat #好きって言ってないのに
【校内ウォッチ・最終報】
「結論:誤解は恋のはじまり。
StarChat史上、もっとも“いいね”された物語。」
───────────────────────
窓の外、春の星が一つ瞬いた。
小さな光が、まるで“また話そうライト”の続きのように見えた。
――俺たちの物語は、
“好きって言ってないのに”から始まって、
ちゃんと“好きだ”で終わったんだ。
(完)
20
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる
九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。
※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編4が完結しました!(2026.2.22)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
天咲リンネ
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
25歳の俺とJKギャルの恋は、社会的にアウトですか?
雪奈 水無月
恋愛
雨の夕暮れ、金髪ギャルが道端で固まっていた。
傘も差さず、スマホも財布もないらしい――そんなピンチ女子高生を放っておけるほど、俺・桜井翔真(25)は冷たい人間じゃない。
でも助けた相手が、ツンツンしつつも妙に距離を詰めてくる“ギャル”だなんて聞いてない!
「アンタ、なんか優しいじゃん。……もしかして、アタシのこと好き?」
「いやいやいや、そっちの方向性じゃないから!」
そうやって誤魔化していたのに、次に会ったときはお礼に手作り弁当を渡され、
派手な見た目と裏腹な家庭的すぎる一面を見せられて――俺の心は、ちょっとだけ揺れた。
だけど、25歳と17歳。
年の差も、世間の目も、俺たちの前に立ちはだかる。
これは、ひょんな出会いから始まった“絶対にバレちゃいけない、だけど止められない”年の差ラブコメの物語。
【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件
中島健一
恋愛
織原朔真16歳は人前で話せない。息が詰まり、頭が真っ白になる。そんな悩みを抱えていたある日、妹の織原萌にVチューバーになって喋る練習をしたらどうかと持ち掛けられた。
織原朔真の扮するキャラクター、エドヴァルド・ブレインは次第に人気を博していく。そんな中、チャンネル登録者数が1桁の時から応援してくれていた視聴者が、織原朔真と同じ高校に通う国民的アイドル、椎名町45に属する音咲華多莉だったことに気が付く。
彼女に自分がエドヴァルドだとバレたら落胆させてしまうかもしれない。彼女には勿論、学校の生徒達や視聴者達に自分の正体がバレないよう、Vチューバー活動をするのだが、織原朔真は自分の中に異変を感じる。
ネットの中だけの人格であるエドヴァルドが現実世界にも顔を覗かせ始めたのだ。
学校とアルバイトだけの生活から一変、視聴者や同じVチューバー達との交流、eスポーツを経て変わっていく自分の心情や価値観。
これは織原朔真や彼に関わる者達が成長していく物語である。
カクヨム、小説家になろうにも掲載しております。
サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜
野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」
「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」
この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。
半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。
別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。
そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。
学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー
⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。
⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。
※表紙絵、挿絵はAI作成です。
※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※特別編9が完結しました!(2026.3.6)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
始まりはイタズラっぽい感じだったのに周りの学校職インフルエンサーや親友のお陰で?2人の物語は優しい物語でした。
読めてよかったです。ありがとうございます
ありがとうございます!
最初はちょっとした“イタズラの延長”だった二人が、
気づけば周りに支えられながら少しずつ優しさを育てていく――
そんな変化を感じ取っていただけて本当に嬉しいです。
この作品は、誤解と笑いの中にある“誰かを想う温度”を描きたかった物語です。
最後まで読んでくださって、こちらこそありがとうございます!