【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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90話「家族写真と未来への約束」

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 春の陽射しがまぶしい朝。
 村の広場には、昨日のフェスティバルの飾りがまだ残っていた。

 

 「みんな~、こっちこっち! 今日は“村のみんなで記念写真”を撮るぞ!」

 

 長老の元気な呼びかけに、子どもたちも大人たちも続々と集まってくる。

 

 リオは、ミナや弟子たちと肩を並べて立ち、どこかくすぐったいような気持ちだった。

 

 「リオ、なんか緊張してる?」
 ミナが笑いながら、そっと手をつないでくる。

 

 「べ、別に……ただ、こうやってみんなと並ぶのって、ちょっと照れるだけさ」

 

 ユウトやリリィたち弟子も、
 「先生、今日は“先生スマイル”で頼みます!」
 「ミナ姉ちゃんも、最高の笑顔で!」

 

 村の母さんたちも、
 「こっち向いてー、リオくん!」
 「ほらほら、おじいちゃんも入って!」

 

 村の中心に特製の台を作り、
 グラン=ヴァルドのカードもちゃんと一番上に飾られた。

 

 「はい、全員、いい顔してー! 3、2、1……」

 

 カシャッ!

 

 “家族写真”のような大きな一枚が、春の光に包まれて焼きついた。

 

 ◆

 

 「写真っていいな。みんなの笑顔、未来にも残せるから」
 リオがしみじみと言うと、
 ミナは小さくうなずいた。

 

 「私は……ずっとこうしていられたらいいな。英雄とか、何か特別なことじゃなくても、みんなで並んで笑っていられるなら、それが一番幸せ」

 

 弟子たちも、写真を手にしてそれぞれの“夢”を語り始めた。

 

 「オレ、王都の大会で優勝して、村にでっかいカード研究所を作りたい!」
 ユウトが拳を握る。

 

 「私は、家族みんなが笑顔になれるカードを、世界中の子どもたちに届けたい」
 リリィはちょっと恥ずかしそうに、でも力強く言った。

 

 年配の村人も「孫とバトルするのが夢だ」「また村祭りで優勝したい」と
 それぞれ“未来”を胸に描く。

 

 その輪の中で、ミナがリオにそっと問いかける。

 

 「リオは、これからどうしたい? 英雄になるの? それとも――」

 

 リオは、静かにみんなの顔を見渡した。

 

 「俺は……どっちも目指すよ」

 

 みんなが一斉にリオを見つめる。

 

 「“英雄”って、世界を救うだけじゃなくて、
 家族や村、仲間の幸せを守ることも“英雄”だと思うんだ」

 

 「だから、俺はこれからも“最強のカードクリエイター”を目指すし、
 ミナと家族になって、みんなと毎日笑って暮らしたい。
 両方をあきらめない。それが、俺の未来への約束だ!」

 

 弟子たちが「さすが先生!」と拍手し、
 ミナは涙ぐみながら「うれしい……ありがとう」とリオの手を握る。

 

 長老が満面の笑みでうなずいた。

 

 「英雄でいてくれても、家族でいてくれても、お前はお前だ。
 ワシらも、これからの村を、世界を、ずっと応援しとるからな」

 

 グラン=ヴァルドのカードがキラリと光った気がした。

 

 ――記念写真は、ただの一枚の紙じゃない。
 その時その時の笑顔や、未来への夢、約束が刻まれている。

 

 夜になり、広場で“未来の夢”を語り合う集いが開かれた。

 

 「新しいカードバトルを考えよう!」
 「幻獣たちと一緒に“冒険フェス”をやろう!」

 

 笑い声と希望の言葉が絶えない。

 

 最後にリオが、みんなの前で宣言した。

 

 「俺はこれからも、英雄も家族も、全部を大事にしていく!
 みんなと、もっと面白い未来を作っていくから――期待しててくれよ!」

 

 みんなの笑顔と拍手が、夜空に響き渡った。

 

 未来へ――約束の春。
 リオの“次なる一歩”が、また始まろうとしていた。
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