【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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外伝「友情?それとも最強?ドタバタ村バトルトーナメント!」

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 王都での激闘、陰謀の解決、栄光の優勝――。
 伝説のカードクリエイターとなったリオたちは、新たな旅立ちに備えての準備で慌ただしい日々を送っていた。

 

 そんなある日、村から一通の手紙が届く。

 

 「村祭りで“第一回バルド村カードバトルトーナメント”を開催するから、絶対参加してくれ、だって!」
 カイが手紙を高々と掲げている。

 

 「えっ……まさか本当にやるとは……」
 リオは苦笑しつつも、村人たちの顔を思い浮かべて胸があたたかくなる。

 

 「せっかくだし、みんなで行こうよ! これが噂の“里帰りイベント”ね!」
 ユリエルが目を輝かせ、ティアナは「村の皆さんのデッキ、どんなのか楽しみ……」と興味津々だ。

 

 かくして一行は、ちょっぴり“世界の英雄”気取りで里帰りを果たした。

 

 *

 

 当日の村は大盛り上がりだった。広場には仮設アリーナが設営され、手作り看板には「最強無双リオvs村の精鋭たち!」と大書されている。

 

 「リオおかえり! この日のためにオリジナルデッキ作ったんだぞ!」
 幼なじみの子供たちや、村のおじさんおばさんまでが、みんな気合い十分だ。

 

 「まさか、あのリオが……村一番の“ネタカード製造機”と言われた少年が、本当に伝説になって帰ってくるとは!」
 村長も目を潤ませている。

 

 「うう、やめてくださいよ村長! 今回はちゃんとした“公式ルール”でやりましょう!」

 

 「いいのか? 公式ルールだぞ?」
 カイがニヤリ。

 

 「なんかみんな、俺をいじめる気満々じゃ……」

 

 「ふふ、精製バトルは“本気”こそお祭りの花形よ」
 ユリエルが悪戯っぽくウィンクする。

 

 そんな中、ティアナは村の子どもたちにカードの手入れや並べ方を指南し、ミナはリオの後ろから「今日も負けたらご飯抜きね」と釘を刺している。

 

 「ひええ……!」
 リオの表情が凍りついた。

 

 *

 

 トーナメント第一回戦。

 

 リオ vs ミナ。

 

 「ええっ、いきなり俺とミナ!?」

 

 「当然でしょ! あたしだって、公式戦デビューなんだから!」

 

 ミナは“村の花束”カードデッキで勝負。カードには「おにぎり」「かかし」「畑のカブ」など、ゆるキャラ満載でリオの心を惑わせる。

 

 「……カブが必殺技!? なんでカブが俺の《希望の黎明竜》を眠らせるんだ!」

 

 「愛情は最強なのよ! ほら、リオ、村の畑を思い出して……」

 

 「ぐうっ……俺の魂が、里芋に負けそうだ……!」

 

 観客の爆笑と子どもたちの歓声が響きわたる。

 

 *

 

 次の対戦はカイ vs ユリエル。

 

 「俺の雷牙狼ルガノスで、一撃必殺だ!」
 「フフン、そうはいかないわよ。“遅刻魔法カード”で、あなたの狼は今日も遅刻よ!」

 

 「ズルいぞそのカード! 現実でも遅刻しないのに!」

 

 場外乱闘寸前のスピード対決に、村人たちの応援もヒートアップ。

 

 「やっぱり“村ルール”は自由で面白いな……」
 ティアナがほのぼの眺める一方、シュトラは村の老人たちに囲まれ「お茶とせんべい」を渡されて困惑している。

 

 「……カードバトルって、こんなに平和的なものでしたっけ?」

 

 *

 

 そして準決勝。
 リオ、なんとかミナの“カブ猛攻”を耐え切って勝ち進む。

 

 「やったなリオ! 次は俺だ!」
 カイが満面の笑みで対戦を申し込む。

 

 「おおっ、真剣勝負……! でもさ、俺、村のみんなの前で負けるわけには……」

 

 「こい! 俺の“伝説級ドヤ顔カード”!」

 

 カイの新カード《村一番のドヤ顔》が場に現れる。
 「え、なにこの顔……」
 カードのイラストはカイの爆笑ドヤ顔。
 「対戦相手を一回だけ“恥ずかしさ”で行動不能にする」というとんでもない効果だ。

 

 「ちょっと待って! 公式ルールはどこ行ったの!? これ絶対“村ローカル効果”でしょ!」

 

 「村バトルは“恥ずかしさ耐性”も公式です!」
 村長が高らかに宣言。

 

 「ひどいよ村長!」

 

 *

 

 決勝戦、リオ vs ユリエル。

 

 「いよいよね。伝説の竜 vs 魔法連携デッキ、最強決定戦よ!」

 

 村人たちが固唾をのんで見守るなか、白熱の頭脳戦とギャグ効果カードの応酬が繰り広げられる。

 

 「ここでリオ、必殺“畑の思い出”発動だ!」
 「やられた……! 私の“徹夜スペル”が、田植えの思い出でキャンセルされるなんて……!」

 

 「村の伝統行事パワー、恐るべし……」
 カイも頭を抱える。

 

 ラストターン、リオは《希望の黎明竜》を場に召喚。
 ユリエルの“イタズラ封印スペル”もすり抜け、竜の咆哮でフィールドを制圧した。

 

 「優勝は――リオ・バルド!」

 

 観客が総立ちで拍手喝采。村の子どもたちがリオに抱きつき、大人たちも「あっぱれ!」と肩を叩く。

 

 「やっぱりリオはリオだな!」
 「カードバトル、最高に楽しかったよ!」

 

 リオは照れくさそうに頭をかきながら、心からの笑顔で応えた。

 

 「みんなありがとう! 村のみんながいたから、俺は今ここにいる。カードバトルは勝ち負けじゃなくて、みんなと笑い合うためのものだよ!」

 

 グラン=ヴァルドが心でそっと囁く。

 

 『リオ。お前の“無双”は、どこでも輝いているな』

 

 リオは胸を張って、カードを高く掲げた。

 

 「次の村祭りも、絶対負けないからな――!」

 

 夏の夕暮れ、村に笑い声と竜の小さな咆哮が響いていた。
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