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前編
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「本当に行ってしまうのですか……?」
「え、ああ……すまない。でも、君を嫌いになったとかそういうのじゃないんだ。ただ、エルミアが心配なんだ……。君だって妹のことなんだから同じことを思っているだろ?」
そんな風にどこか遠くを見つめて言わないでほしい。
私はアイシア。
そして、エルミアは私の実の妹だ。
彼は私よりも彼女を選んだ。
「では戻ってきてくるのですか?」
「それは、たしかに……ごめん。僕は心配に言い訳をしているのかもしれない。彼女のことを好きじゃないと言えば嘘になる。むしろ彼女としか結婚も考えられない」
ほら。結局そうなんだ。
だから嫌だったんだ。
難病になって体調をを崩したという妹。
どうせそれも嘘だ。
あの子は昔から私の大切なものを奪っていくのが好きだった。
いつからだろうか、妹のことをこんなにも心配しなくなったのは。
どうせ嘘だから大丈夫なのにと素で思えるようになってしまったのは。
「じゃあ、な」
「待ってください……!」
本当に愛していたし、結婚すると思ってたんだけどなあ。
私だけだったのかな。そう思っていたのも。
「え、ああ……すまない。でも、君を嫌いになったとかそういうのじゃないんだ。ただ、エルミアが心配なんだ……。君だって妹のことなんだから同じことを思っているだろ?」
そんな風にどこか遠くを見つめて言わないでほしい。
私はアイシア。
そして、エルミアは私の実の妹だ。
彼は私よりも彼女を選んだ。
「では戻ってきてくるのですか?」
「それは、たしかに……ごめん。僕は心配に言い訳をしているのかもしれない。彼女のことを好きじゃないと言えば嘘になる。むしろ彼女としか結婚も考えられない」
ほら。結局そうなんだ。
だから嫌だったんだ。
難病になって体調をを崩したという妹。
どうせそれも嘘だ。
あの子は昔から私の大切なものを奪っていくのが好きだった。
いつからだろうか、妹のことをこんなにも心配しなくなったのは。
どうせ嘘だから大丈夫なのにと素で思えるようになってしまったのは。
「じゃあ、な」
「待ってください……!」
本当に愛していたし、結婚すると思ってたんだけどなあ。
私だけだったのかな。そう思っていたのも。
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